09:02
振り返ると、尾瀬沼が眼下に広がっていた。やあ、眺めがいいな。もうちょっと雲がなくなり、標高が高くなれば尾瀬沼全体が見渡せるだろう。
でも、山の景色なんて儚いものだ。「まだまだ!この後もっと景色が良くなる!ここで写真を撮る必要なし!」なんて強がっていたら、後になればなるほど天気が崩れて見晴らしが悪くなることなんてザラだ。「たとえイマイチな光景であっても、撮れるうちに撮っておく」のがおかでんの座右の銘。
09:07
道がだんだん険しくなってきましたよ。標高稼ぐためには少々の荒療治も仕方があるまい。それ、一気呵成に登ってしまえ。
わー
わー
09:21
つ、疲れた・・・。「一気呵成に登る」という勇ましさは途中で尻すぼみに。それでも結構疲れた。こういう時は、糖分補充が効果的。今回はチョコレートを持参しているので、これを食べて復活しよう。
砂糖が入っているお菓子は消化吸収が早いので、食べてしばらくしたらシャキーンと体が復活するのがはっきりと分かる。おにぎりみたいなでんぷん摂取でも疲労回復には効果があるのだが、でんぷん→麦芽糖→ブドウ糖と変化していくのに時間がかかり、即効性がない。そんなわけで、甘いお菓子は便利。登山のお供にぜひどうぞ。
以前はアメ玉を持ち歩いていたのだが、思ったほど効果が出なかった。やっぱり、べっとり甘いチョコレートの方が効果があると思われる。それならなぜおかでんがチョコレートを今まで持参してこなかったかというと、夏場はすぐに溶けるからだ。これ、チョコレートの決定的弱点。溶けて周囲をべたべたに汚すチョコレートは始末におえない。そうなるとアメというのは取り扱いが雑でも問題ないので楽だった。
今回は、秋口の登山ということもあり、灼熱地獄の中の登山ではなかろうと想定した。だから、チョコレート持参した次第。実際のところ、チョコレートが溶けてねちゃねちゃしてモウ、ということは起きなかった。
09:34
森林限界が近づいてきたようだ。高く伸びた樹木が減り、登山道周辺がだんだん明るくなってきた。こうなってくると、がぜん登山が楽しくなってくる。「樹林帯の中の登山が楽しい」という人も中にはいると思うが、多くの登山者は「森林限界楽しぃーッ」と思っているはずだ。おかでんもその一人。うひょーッ。
09:37
登りつめたら、いきなり広場のような台地に出てきた。
えっと、ここからどう進めばいいのかな?案内標識がないので、どこから山頂に向かう登山道が伸びているか、わかりにくい。ガス時注意。
幸い、ガスが晴れ、俎嵓(まないたぐら。燧ケ岳山頂のうちの一つ)の姿が現れたので良かった。そうか、あっちに向けて登っていけばよいのだな。
09:51
俎嵓の山頂に人がたくさんいるのが遠目で見える。結構いるな。ゴルゴ13だったら、この中にいるターゲットを的確に狙い、狙撃することができるだろう。おか10(おかてん、呼ぶ)だったら絶対無理だ。視力0.1以下だし。
10:00
俎嵓山頂に向けて一歩一歩歩く。この辺りは岩場。あともう少しだ。山頂が見えてくると、がぜんやる気がでてくるのは誰しも同じだと思う。そのやる気を中腹の時点でも発揮しろよ、と思うが、それは無理だ。ばてる。
10:09
俎嵓山頂到着。標高2,346m。大勢の人が山頂標識周辺で写真を撮ったり、くつろいだりしていた。曇りのせいで、尾瀬沼の景色は全く臨めなかった。これはちょっと残念だが、仕方がない。さっき写真撮っておいて正解だったな。
10:23
俎嵓には10分ほど滞在し、すぐに出立した。他の人たちも同じように俎嵓での滞在時間が短い。それは、この頂の隣に「柴安嵓(しばやすくら)」という頂があり、そっちの方が標高が高いからだ。真の山頂はそっちだ!ちなみに標高は2,356m。10mほど柴安嵓の方が高い。
燧ケ岳、とは5つの山の総称。以前は火山で、盛大に噴火したから5つも山ができてしまったらしい。なお、その際に流れた溶岩のせいで川がせき止められ、今の尾瀬沼ができたのだった。
10:29
俎嵓からいったん標高を下げ、木道を歩いたのちに柴安嵓に取りつく。山頂まであと一息だが、ちょっと急な坂を上っていく。
10:35
俎嵓から歩くこと20分弱で柴安嵓に到着。
山頂の片隅に、墓石のような標識があった。山頂の隅っこのほうにひっそりとたたずんでいるうえに、岩場が近くにあるので記念撮影にむかない場所。どうしてこんなところに標識を建てちゃったのだろう。
10:36
でも安心、若干痛んではいるものの、木製の山頂標識もあった。こちらは写真撮影しやすい場所にあったので、喜んで記念写真を撮る。
10:47
かわいそうなので、墓石型山頂標識の方でも記念撮影をしておく。
汗がひいてきて若干肌寒くなってきたので、フリースを着ておく。この季節、体温調整がちょっと難しい。
10:36
柴安嵓山頂の様子。比較的スペースがある広場が広がっている。遠足でやってきた1学年が山頂でおべんと広げても大丈夫・・・というのは言い過ぎかな。
10:50
さあ、ここでお昼ごはんにしよう。
今日の行程は、この柴安嵓からまっすぐ下山して山小屋に行くだけだ。山小屋到着予定時刻は14時、と(おかでんにしては)結構早い。急ぐことはないんだから、ゆっくり山の上でくつろごうじゃないか。
そんなわけで、本日のドキドキイベント、「会津高原登山弁当(通称:きのこ弁当)」の登場だ。どんなお弁当なのだろうか?840円というお値段なわけだが、中身がどうなっているのか、とても気になる。
紙包みを取り除くと、中から出てきたのが、こちら。おお?二段重ねになっているぞ。ちょっと豪華な雰囲気があるぞ!?
10:51
一の重、とでもいうべきおかずエリア。魚、肉、野菜、玉子、豆、餅、漬物といろいろな種類のおかずがある。一つ一つはぜいたくな料理ではないが、トータルで見るとバラエティに富んでいてうれしい。おや?でもきのこがないぞ。きのこ弁当なのにきのこはどこへ行った?
二の重に目を移してみると、炊き込みご飯が入っていた。ああ、ここにきのこが入っているのか。あれだけおかずがいろいろあるのだから、白米でも全く問題ない。でも、あえてきのこの炊き込みご飯を用意しているところがにくい。
うん、これはうれしいお弁当だな。お昼ごはん、楽しめそうだ。
10:52
おかでんがこの弁当を見て特に喜んだのは、訳がある。それは、今回ビール持参で山の上まで担ぎ上げたからだ。今回の山歩きは車の運転無し!安心して飲める!そうなると、「一の重」ががぜん酒肴として立ち上がってくるのだった。恰好のビールのつまみではないか。ひゃっほう。
早速、ザックからビールを取り出す。持ち込んだのは、もちろん「キリン秋味」。秋だもの。大自然の中に今、身をゆだねているのだから、やっぱり季節に沿ったビールを飲みたいところだ。
それ、ビールを高々と掲げ、今我が胃袋の中に落とし込まん。
プシッ。
ぐぐぐぐぃっと。
おおう、いいねいいねいいね、ビール最高だよビール。ぬるい上に標高が高いので、泡ばっかり出てくるビールだけど、「ビールを飲んでいる自分」に酔ってしまいそう。ひゃっはー、「へべれけ紀行」というのはこういうのでなくちゃね。
お前、もういい歳なんだから、山頂でビール飲むのやめとけよ、と言われそうだ。若いころと比べて体力や平衡感覚が落ちているのは確実なので、その意見は非常に正しい。酔って下山時に滑落したら、末代までの恥だ。そんなことを見越して、今回持ち込んだビールは350mlのレギュラー缶にした。おかでんといえば500mlのロング缶を愛する人なわけだが、ここは若干ながらも抑制したわけだ。
もちろん明日登る至仏山山頂用に、まだビールのストックはあるぜ。こっちも「秋味」だ。
10:54
眼下を見下ろしたところ。写真上は尾瀬沼、写真下は尾瀬ヶ原の様子。
雲がきれいに晴れることはなく、微妙な景色だった。でもこれがきりっと晴れた日だったら、相当良い眺めになっていたに違いない。そうなると、景色を肴にビールが飲めちゃうだろうから、350mlの缶ビール1本じゃ不足だな。2本用意しておかなくちゃ。
11:34
下山開始。ここから、尾瀬ヶ原の端っこにある「見晴(下田代十字路、ともいう)」に向かって直滑降していきますよ。尾瀬ヶ原随一の山小屋密集地帯だ。標高1,400mのところに見晴地区はあるので、標高差1,000m弱を下っていくことになる。登山道は結構きつい、という話が耳に入っているので、慎重に下って行こう。
また、ここで気を付けないといけないのは、靴擦れを起こさないようにする、ということだ。前回四阿山に登った時、右足に靴擦れを作ってしまったわけだが、今回靴擦れを作ってしまうと翌日の至仏山登山を断念しなければならなくなる。それは避けたいところだ。靴ひもを結び直し、気合を入れて歩を進める。
11:37
おや。白い花が咲いている・・・。なんという名前の花だろう?
燧ケ岳は高山植物が少ない山という印象が形成されつつあったが、そうではないのだな。
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