10:42,10:49
相変わらず、「水平移動、そのあとドーンと降下」が続く。きついきつい。下りがきつい。水平移動なんていらないから、もう少し道が平準化されないものか。登ってくる人も、ヒーヒー言っている。そりゃこれは相当キツかろうて。下りで悲鳴あげてしまうくらいだから、登りはかなりなもんだ。このルートを往復で登山する計画を立てていた人、ご愁傷様です。帰りにはヘロヘロに仕上がっていると思う。
道中、若者達数名のグループから「ここから山頂まで遠いですか?」と聞かれた。「まだ距離は結構あるけど、いずれにせよ今日は山頂付近はガスっているからオベリスク、見えないと思うよ」と教えておいた。すると、全員がくんとモチベーションが下がってしまい、「見えないんだったら下山しちゃおうか・・・」「どうする?」と相談を始めてしまった。いらん情報を与えてしまったかな。でも、それくらい「このまま登り続けるのはイヤだ!」という気にさせられるのがドンドコ沢ルート。
急な登り道、団体さんが登ってくるのをやり過ごす。20名ほどの団体さんが通り抜けるまでの間5分くらいかかったが、立っているのもしんどくなってきた。いかんな、本当に足にきたらしい。
10:55
岩のへりを歩く。こんな何気ない道も辛くなってきたぞ。
11:00
白糸ノ滝に到着。
ガスって何も見えなかった。あああ。せっかく、疲労困憊しているときのご褒美になると思っていたのに。ガスは山の上からどんどん下に下がってきているようだ。ガス以上のスピードを出して下山できていればこんな事にはならなかったのだが、さすがにそれは無理か。
ここでコースタイムを確認。先ほどの五色ノ滝から50分、というのが標準コースタイムなのだが、実際のおかでんは90分かかってしまっている。いかん、倍近く遅れが出ているぞ。90分といったら、登りの標準コースタイム(80分)より時間がかかっていることになる。随分と遅れたもんだ。鳳凰小屋からの累積で、標準と比べて50分遅れ。こりゃ、風呂だビールだなんて言ってられなくなってくるかもしれん。でもまだバスの出発時間まで4時間もある。まあ、余裕の部類でしょう。
11:08
ということで白糸ノ滝を後にしたが、どうにも足が前に出ない。これはいかん、ということで大休止をとることにした。お昼ご飯を食べて、体力を回復させよう。そして、食事の間を使って脚力を復活させないと。もう、チョコレートだけじゃ体が前に進まなくなってきた。
さて、お昼ご飯といえば昨日甲府駅で買った駅弁。二つ買ったうち一つ、「甲斐の国よっちゃばれ弁当」はもう食べてしまったので、今日はもう一つ、「秋露のささやき」だ。「秋露のぼやき」と言いたくもなるが、ぼやいても駄目。自力で怪我無く、きっちりと下山するしかないんだから。
お値段1,300円のお弁当。ひゃー、豪邸が建ちそうな価格だ。
11:10
いろいろ入っているなあ。さすが1,300円もするだけあって、目移りしてしまうおかずの数々。でも、今みたいに疲れている時って、ご飯中心の方がありがたいんだよね。正直、おかずはあんまりいらない。昨日のお昼も全く同じ事を考えたので、二日連続「炭水化物不足!しまったッ!」という結果に終わった。これだったら山小屋でお弁当(1,000円。多分おにぎり)を頼んでいた方がよかったかもしれない。
でも味はおいしいんですよ?紅葉見物なんかに持参して、暖かいお茶をポットから注いだりして、それでお弁当食べるといいでしょうなあ。山のぼりには向いていないというだけで。
12:42
急な下りはまだ続く。
元気な頃は、とんとんとーんと軽快に下りていく道でも、今や半ば尻もちをつくような体制になり、ずりずりと下っている状態。できるだけ、足の裏が着地する際の負担がかからないように、お尻や手で体重を分散させているありさまに。
13:08
疲労のあまり憮然としているおかでん。今日何度目かわからない沢の徒渉で一休み中の光景。
どこかでタオルを無くしてしまったらしく、汗をふくことすらできない。うつむき加減で歩いていたので、額に浮かんだ汗はぽたぽたと眼鏡に落ちる。そのため、眼鏡をふいてもふいてもすぐに汗がついてしまい、視界の妨げになる。それが、またうっとおしい。
13:43
沢を乗り越えたら、その直後にまた登りがあるのがしんどい。登ったら、その先にはしばらく平坦な道があるので助かるのだが・・・。先ほどの沢で10分ほど休みを取ったので、足の状態はやや回復している。またすぐにポンコツ足になってしまうのだが。
いよいよ歩けなくなってきた。平坦な道でも、よちよち歩きしかできなくなった。前に体が進まない。これはきついぞ。
足ががくがく震える、いわゆる「膝が笑う」状態にはなっていない。立ち止まっても、比較的立っていられる。もう疲れすぎて、膝が笑うどころではなくなってしまったのかもしれない。
しかし、そのかわり、どうも上半身・・・手がおかしい。歩いている時、頻繁に手を肩からぐるぐる回してしまうのだ。何でだろう、と不思議に思っていたら、体をまっすぐ直立姿勢で維持できなくなっていたのだった。体がフラフラするものだから、無意識の間に手をブンブン回して、それで平衡を保とうとしていたのだった。相当やばいぞ、これ。
でも、だからといってどうにかなるわけではない。できることといえば、慎重に、慎重に、一歩一歩下るだけだ。
写真のような比較的平坦な道であっても、滑落しそうな危機感を感じる。それだけ体のバランスが悪いということだ。
13:47
山の斜面を、細かいジグザグで下って行く道。
どうやら、ドンドコ沢からは外れたらしい。風景が明らかに変わってきた。全体的に優しい雰囲気になってきたというか。
時間的にも、そろそろ青木鉱泉まだあと一歩!というところに到達しているはずなんだが、どうなっているんだろう。
14:01
明るいところに出ると、「ああもう青木鉱泉到着かな!」とうれしくなるのだが、それは大甘。
そういえば、このドンドコ沢登山道、途中で分岐があり、山沿いルートと川沿いルートがあるはずなんだが・・・分岐に全く気がつかないまま突き進んでしまった。今歩いているのはどっちだ?多分川だと思うが・・・。
後で知ったのだが、確かにこちらは川沿いルート。山沿いルートの方はアップダウンがあってちょっときつい道らしいので、おかでんの体力を考えれば川沿いルートを歩いて正解だった。でも、当時のおかでんだったら、「川沿いはもうイヤだ!疲れた!山沿いで行く!」と判断していたはず。分岐に気づかないで正解だった。
14:13
まだまだ青木鉱泉に到着する気配はないのだが、道は今までのような「縦方向の移動」中心から、「横方向の移動」が増えてきた。明らかに、何か目的地に向けてターゲットを定めたといった印象。もう少しだ、頑張れ。斜度が緩くなったおかげで、よちよち歩きながらもなんとか身の危険を感じず歩いていくことができるようになった。前を歩いているパーティーにもそれほど突き放されずに済んでいる。
14:23
大きな砂防ダムに出てきた。本当はこの砂防ダムを右手にまっすぐ、川の左岸を歩いていけるはずだったのだが、工事中らしい。砂防ダムのすぐ下を通り、川の右岸を歩かなくてはいけないとのこと。大回りだ。この期に及んで大回りはイヤだなあ。
14:25
なるほど、左岸は急斜面を舗装中なのか。だから、あの麓にある道は通行止めにしてあるのだな。
それにしても、あんな崖の上、どうやって工事を進めているんだろう?不思議でしょうがない。
14:30
工事現場のある箇所を迂回して、また左岸に戻る。左岸に戻ったらまた登りが少しだけあるので、辛抱のしどころ。
やっべえ、もう14時30分だ。風呂とビールなんてとうの昔に諦めてはいたが、15時のバスはまだ諦めていないぞ。あと30分で青木鉱泉に到着できるのだろうか?どんどん心配になってきた。
14:36
登山道ではなく、車のわだちが見える「林道」になってきた。どうやら青木鉱泉はもうすぐらしい。
このあたりはキャンプ地に指定されているらしく、道路の脇にキャンプ用に切り開いたスペースがいくつも並んでいた。
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