カップヌードルミュージアムは決して広い施設ではないのだが、二つの「ファクトリー」で過ごす時間も考慮すると半日がかりの滞在になる。というわけで、まずは腹ごしらえといこうぜ。
この建物の4階には、「ヌードルバザール」というフードコートがある。ここで、世界各地の8種類からなる麺料理を食べ歩くことができるのだという。いいねえ、凡百の発想なら、「様々な種類があるカップヌードルを食べ比べることができます」というカップヌードルレストランを作るだろう。それはそれで素敵なんだが、自社製品にこだわりすぎていないところがいかす。麺料理を愛してるんです感がある。
ヌードルバザールは東南アジアの屋台街的な雰囲気になっていた。これも面白い。ただし、あいにくの昼飯時ということで、入場できるまでしばらく外で行列を作って待つことになった。こっちは13時からオリジナルのカップヌードルを作らないといかんのだ、ちょっと焦る。
8種類の麺料理。いろいろあって目移りする。・・・というか、既にこっちの腹づもりは決まっていたんだが。
「ここ、全部で8種類なんだよね。一人二品食べる計算をすれば、4人で8種類食べるのって簡単だと思うんだけど・・・どう?」
さすがに女性たちなので「いやそんなには食べられないですよ、おかでんさん頑張ってください」と言われるかと思ったのだが、「いっちゃう?いっちゃいますぅ?」とはしゃいでいた。あ、案外軽いノリなのね。よし、女に二言はない。後で後悔しちゃう前に、全員で手分けして全種類かき集めてこようぜ。
「麺が伸びちゃうので、食べる都度買いに行きましょう」なんて言わせねぇ。そんなことやったら、最初の4品を食べ終わったところで「私もうおなかいっぱい」ってなりかねない。全種類、一度にテーブルの上に並べるぞ。それ、行け。
ヌードルバザールの客席をぐるっと取り囲むようにお店は並んでおり、それぞれのお店には自動券売機がある。
カップヌードルミュージアム恐るべし!と思ったのは、この8種類からなる世界の麺料理、いずれも300円で提供されていることだ。激安。
「ハーフサイズ」、とメニューには但し書きがついているが、もちろんそれで大歓迎。折角だからあれもこれも食べたいわけで、ハーフというのは嬉しい配慮だ。「食べ歩いて欲しい」という運営側の愛情が感じられ、とても微笑ましく、嬉しい。
というわけで、8種類全部食べるのです。全部頼んだって、300円×8種類=2,400円。これで「世界の麺料理を、オレタチは制覇した」と胸を張れるんだから安いもんだ。
【中国】蘭州牛肉面
麺の本場・中国だけど、中国に旅行していざ麺を食べてみると、「あれっ?」とがっかりすることが多い。日本のラーメンとは全く別物で、麺もスープも微妙なことが多い。
ここで提供している蘭州牛肉面がどこまで本場を再現できているかはわからないが、結構美味しかった。五香粉による、いかにもチャイニーズな風味。加えて花椒。中華スパイシーな料理を旨いと感じる人なら、たまらん。逆にその手の風味が苦手な人は、きつい。
【韓国】冷麺
韓国の冷麺なので、蕎麦粉は入っていない。どんぐり粉が入っているのだそうだ。牛骨スープの透明感がとても涼やか。
【イタリア】パスタ
トマトソースのスパゲティ。8種類の中では一番俗っぽいというか、非日常感のないものだ。もちろん、弁当の添え物のケチャップスパゲティとは全く次元が違うものだけど。
もし僕が一人でこの地を訪れたとして、何を食べよう?と検討した際は真っ先に除外される料理だ。折角だから、マニアックな麺を食べたいものだ。
【マレーシア】ラクサ
香辛料が使われているけど、ココナツミルクが支配する味。僕はこのまったり感に少しイラッとしてしまう。もっとガツンと来いよ、と。でも旨いからついつい箸が進むんだよな。
【カザフスタン】ラグマン
中央アジアの麺、というだけあって、羊肉が使われている。太い麺は食べ応えがあり、くせのある具とよくあう。オイスターソースも使われているということで、男性でも満足感が高い麺。
【ベトナム】フォー
みんなーおいでー。 女性が大好きなフォーだよー。何でベトナム料理とかタイ料理ってのは女性が好きなのか。野菜が多いからだろうか。じゃあなんだ、和食も野菜を増やせばもっと女性に受けるのか?
コメから作った麺のフォーだが、日本では「米を麺にする」という発想はあまりなかった。銀シャリ至上主義だったからだろうか?
それにしても300円でこれだけの具、しかも青菜を載っけてしまうのだから恐れ入る。相当な太っ腹だ。
【タイ】トムヤムクンヌードル
驚いた。お海老様が一匹まるごと入ってるぞ!
ちくしょう、ヌードルバザール、通勤途中の駅構内に出来ないかなあ。立ち食いヌードルでこういうのが300円で食べられたら、毎日幸せだぞ。日替わりで毎日一食ずつ食べても、一週間で食べきれない。
【インドネシア】ミーゴレン
インドネシアの焼きそば、「ミーゴレン」。こちらも具だくさん。野菜もそうだけど、海老が二匹も入っていた。
以前、カップヌードルは無謀にもあのカップの形のままでミーゴレンを出したことがある。名前もずばり「カップヌードルミーゴレン」。カップ焼きそば同様、湯切りをするというカップヌードルとしては斬新な仕組みだったっけ。結構大々的にCMをやったし、実際旨かったのだけど「イロモノ」だったようだ。ほどなく、姿を消した。
8種類の世界麺屋台のほかに、 チキンラーメンの屋台もあった。折角世界の麺料理が食べられるんだから、チキンラーメンをわざわざ食べる人なんているわけが・・・あっ、いた!
むしろ、こういう日清のオフィシャル施設だからこそ、記念でチキンラーメンを食べるのかもしれない。
このヌードルバザールはドリンクバー制になっている。200円でドリンクの紙カップを買えば、あとは自由にジュースやお茶を注いで、おかわりも自由だ。これもなにげに嬉しいサービス。
かき氷もあったが、さすがに今氷を食べるどころじゃない。パス。これもまた300円というのが潔い。まあ、ラーメンを300円で提供しちゃったら、その他メニューも300円以上ってのは無理だよな、バランスを考えると。
というわけで、えいやーッ。全員、一人2種類ずつ買い求めてきたぞ。4人で8種類。取り皿も借りてきたので、この8種類をちょっとずつ味見できるという幸せよ。
「ハーフサイズ」と言うけど、それなりにひと皿ひと皿ボリュームがある。小食な女性なら、このハーフサイズ1皿でもいい、というかもしれない。
よーしよーし、どの麺が世界一か今この場で決めてやるぞ。
・・・決めたような気がするが、結果は忘れてしまった。トムヤムクン、とかいうありきたりな結果になってしまい、ラグマン推しだった僕がぶーぶー文句を言う、という展開だったような気がするけど、覚えてない。
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