ワカサギ釣らずに豚を喰う【松原湖ワカサギ釣り】

修行の始まり

ワカサギ釣りはひたすら地味だ。各自が自分の穴に向かって釣り糸を垂らし始めたら、早速お互いが無言になってしまった。

修行、といっても過言ではない。

ワカサギの注目をあつめるため、釣り糸はクイクイと動かす必要がある。それをただただ、ひたすら。よく考えると、こうもみんな黙ってしまうんだったら、一人ワカサギ釣りであってもあんまり変わらないかも、なんて思った。いや、でもそれは違うな。無言であっても、隣に仲間がいて、「自分と同じように修行に身を置いている」状況を観察できるだけ、心の平安がある。一人ぼっちだと、「何やってるんだオレ」と思えてくるだろう。

「何匹釣れるかなー?」
「今日の目標は100匹!」

とか最初はご陽気に話をしていたのだが、それが空元気であったということをものの数分で悟った。全然釣れる気がしねぇ。

本日はわかさぎ日より

それでも救いなのは、お天気が良いことだ。寒いけど、開放的な場所で釣り糸を垂らす、というのはとっても非日常的で楽しい。なんだか自然と頬が緩む。あ、違うか、寒さで引きつっているのかそれは?

転地効果を満喫する。このビビるほどの寒さも、むしろ気分転換の一要素だと思えば、嬉しくなってくる。おもわず鼻歌でも歌いたくなってくるぜ。

とはいえ、やっていることはひたすら地味だ。定期的に竿をしゃくる。釣れる気なんて早くも放棄してしまっているので、義務的に手首をスナップしているだけだ。竿に感じる微妙な抵抗感に一喜一憂し、「ひょっとして今のは釣れたかも!?」なんてワクテカしていたのは最初の数分だけ。

早くも長期戦の構え

それは僕に限らず他の人も同じ。達観しちまった結果、こんな感じになる。

長期戦になることを踏まえて、前のめりな格好ではなくふんぞり返る格好。やる気がない、楽しんでいるようには見えないと思われるだろうが、有限である自分の「やる気」を何時間もの長丁場に分散させるとなると、必然的にこういう姿勢になってしまうのだった。

早くも釣りに飽きる子供

子供はその点素直だ。早々にワカサギ釣りは飽きてしまい、それ以外のことを始めた。子供一人ひとりに竿を貸し与えない、というのは正解。すぐに竿は放棄してしまうから。

穴の氷をすくい上げるための網やスコップで遊びはじめた男の子。なるほど、お子様を連れて行く場合は、こういう「暇つぶしグッズ」の持参は必須なんだな。氷の上ともなると、何もないのだから。

濡れて帰ってきた子供

なにやらはるか向こうから、我々の仲間が子供を背負って帰ってきた。見ると、背負われた女の子は靴を脱いで靴下姿になっている。こんな寒いのになんで?

聞いてみると、「はしゃいで氷の上を走り回っていたら、誰かが開けた穴に足がはまった」のだという。それで氷水に足が浸かってしまったので、靴を脱いだんだと。驚いた!確かに、湖のあちこちには先人が開けた穴が残されている。しかしそんなところに足がはまってしまうなんて全く思いつかなかった。サイズがそもそも小さいし、いくらなんでも足がはまる前に気がつく。「無邪気に走り回っている子供」だからこその災難で、これには笑いつつも大いに驚いた。あるもんだなあ、こんなことが!

幸い、穴に足をひっかけたせいで足をくじいたりはしていなかった。怪我がなかったのは本当によかった。

とはいっても、濡れてしまった靴と靴下は代わりがきかない。この氷点下の気候の中では、濡れた靴はそのまま凍ってしまう。そんなものを履いていたら凍傷になってしまうし、良くない。

テント組み立て

そんなわけで、リーダーが荷物の中からテントを取り出した。なんて用意がいいんだ。テントの中に、濡れた子供を入れておけば、安全安心というわけだ。

テント完成

あっという間にテント完成。子どもたちは、まるで猫がダンボールを我が家として独占するかのように、このテントの中に飛び込んでいった。

先ほどまでは晴れていた空だが、急激に天気が崩れてきた。雪も降ってき始めたので、タイミングとしてはちょうどよかった。それにしても雪かよ・・・ますますワカサギ釣りが修行になってくるな。

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