褒美の希望は島流し【のっとれ!松代城2014】

改札口

まつだい駅は、南側と北側にそれぞれ改札口があった。小さな無人駅だから改札は一つだろう、と思っていたので、これは意外。さすがお祭りを盛大に開くような場所だけある。

改札、といっても、両開きの手押しゲートがあるくらいだ。「特急列車が通過するので、降車後は速やかにホームから出るように」という注意書きがしてある。

特急が猛烈なスピードで走り抜ける

そういえばさっきから、我々が乗ってきた電車がなかなか発車しない。そしてカメラ小僧たちもソワソワしてホームでスタンバイしている。何事か、と思って意味もなく我々も居残っていたら、ちょうど「特急はくたか」越後湯沢行きが猛烈なスピードで通過していった。時速160キロ。在来線特急としては最速を誇るスピードだ。

こんなんがホームすぐ脇を通過するのだから、そりゃあ危ないわ。自殺したいという人ならこれ幸い、なんだろうが、そんな陰鬱な気持ちを持っている人は、この地に訪れたら「とりあえずメシ食って、温泉でも浸かってからにしよう」と多分考え直すはずだ。そうでもなけりゃ、JR総武線快速の新小岩駅で「成田エクスプレス」に飛び込むのが自殺の名所、なんてなるわけがない。

きっぷうりばは立ち食い蕎麦の自販機みたい

ワンマンカーに乗車する際に整理券を受け取り、それで精算・・・というバス方式だと思っていたのだが、ちゃんと自動券売機が設置されていた。最新のローカル路線ってのはこういうのもすごいんだな。まあ、「ローカル路線」っていっても1時間に1本のダイヤがあるのだから、そこまでローカルではないのだろうが。

まるで立ち食い蕎麦屋の自動食券機みてぇ、とこれを見て思った。うっかり間違ったボタンを押すと、「天ぷらそば」なんかの食券が出てきそうだ。

農舞台はこちら

まつだいの表玄関は、北口改札の方らしい。しかし我々は、人気のない南口改札から外に出た。なぜなら、この改札を出た先に我々のお昼ご飯会場があるからだ。

「まつだい農舞台」という施設の中にレストランがあり、そこが地産地消のビュッフェをやっているという事前情報だ。ただし、なにせまつだいなので情報量が少ない。口コミも、地図も。ええと、この辺のことなんだろうか?と雪の中を歩く。

へんな建物

で、駅出てしばらくのところにあったのが、謎の建物。なんだこれ。

雪に埋もれている部分もあるので、全体像がよく把握できないのだが、それにしても変な形をした建物だ。1階部分は何もなく、2階部分に施設が入っているようだ。そして3階が展望台のようになっている模様。これが「農舞台」?そもそも「農舞台」ってなんだ?

案内図を見てもやっぱり意味不明
中はますます変な作り

中に入れば謎が解消されると思ったのだが、中はより一層謎な空間だった。

とにかく、暗い。その暗い中、ダウンライトに照らされ浮かび上がるミュージアムショップ。何のミュージアムのショップなのかいまいちよくわからないので、唐突感が半端ない。しかも、建物の形がいびつで、なんだかとても不安な気持ちにさせられる。

何事だ、と唖然とする二人。なんだか来てはいけない場所に来てしまった感がありありだ。ショップの店員さん以外、人の気配がないし。

「・・・見なかったことにして、帰る?」
「いやでも、ここでご飯食べなかったらあとはどこで食べればいいのやら」

確かにそうだ。

解説文などを読んでようやく合点がいった。毎年夏になると、松之山温泉界隈では「越後妻有アートトリエンナーレ」という芸術祭が開催される。それはてっきり、ここよりはるか南の津南町を中心に行われているものだと思っていたのだが、津南町だけでなくこの十日町市もこの「大地の芸術祭」の開催地だった。この芸術祭は、田んぼの中にいきなりアート作品がぶっ建てられたり、古民家を改築して現代風にしたり、広大なエリアの中に作品が点在していることで知られている。その一環としての、この建物ということらしい。

まつだい地区は今となっては日本で失われつつある「棚田」が現存しており、その美しい景色も芸術であり観光資源であると考えているようだ。そこでこの建物の屋上に上れば、そういうのも楽しめるのかもしれない。

「・・・で、入場料600円すよ」
「行かない。だって山は雪に覆われてるし」

そりゃそうだ。

早く食堂を探そう。

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