法事と登山と深夜バス【伯耆大山】

駐車場を見下ろす

08:15
バス停留所からぼちぼち歩き始める。駐車場を見下ろすと、なかなか景色が良い。なんだかこの光景、見たことがあるな・・・と既視感を覚えたのだが、記憶を紐解くと鳥海山に登ったときの風景に近い。日本海沿いの独立峰、ということで雰囲気が似てくるのだろうか。

鳥海山は二度挑戦しているけど、二度目のほうの話だ。一度目は、どしゃ降りのせいで風景もへったくれもなかった。ひたすら雨雨アンド霧で、眺めなんて楽しむどころじゃなかった。

大山

前方に大山が見えた。こうやって見上げる感じも、心なし鳥海山と似ている。

手前には県立の大山自然歴史館がある。この界隈は、大山登山の基地であると同時に大山寺を中心とした山岳信仰の霊場でもある。そのため、旅館やお店が軒を連ねているらしい。ちなみに、ジンギスカンが名物でもある。

ジンギスカンというのは変わった料理で、急にポツンとごく一部の町や集落で名物だったりする。山形県蔵王とか、長野県の信州新町とかが特に知られているが、この地、大山寺もそう。羊毛を得るために羊が飼われていて、それが食用としても活用されたのは想像に難くないが、それが広く文化として周辺地域に伝播していかなかったというのが面白い。きっと、「うっわ、羊肉クセー!お前ら馬鹿じゃねーの、こんなクセーの食べられないよ」といった軋轢があったんだと思う。

というわけで、「とっとと下山して、バスを待つまでの間に名物ジンギスカンに舌鼓」というプランも考えていた。しかし、バスの便数が少ないなか、本当にジンギスカンをじっくり焼いて食べる余裕があるのかどうか怪しい。場合によっては、いくら焼いても時間に余裕があるぜ!チクショウ、次の便まで2時間待ちだ!やけ食いだ!ということもあるかもしれないが、こういう場合はえてして「うっわ、次のバスは15分後ではないか!肉焼いてる暇なんかない!」とバタバタした挙句肉にありつけないというものだ。なので、「下山、ジンギス、バス・電車」というスムーズな流れは無理だとあきらめた。

街中にある牛丼屋じゃないんだから、注文したら肉がすぐに出てくるということはないだろう。ゆっくりと時間は流れ、卓上にゆっくりと鉄板が運ばれ、牛脂がやってきて、ガスに火が・・・カチカチやってもなかなかつかない、「あら、チャッカマン切れてるわ。変えてくるので少々お待ちください」とか。そうこうしているうちにバスの時刻が迫るという恐怖。想像するだに、怖い。

こういうシチュエーションにはまってしまえば、引くにひけない、前にも進めないのでひたすら脂汗が出る。おなかを壊しているときに満員電車に乗っていて、「●●駅で非常停止ボタンが押されましたので、安全確認のためしばらく停車します」とアナウンスがあったときの恐怖に近い。あれはいやだ。ジンギスカンでそれはやりたくない。NO WAR!

プラティパスに水を詰める

08:18
「消費税増税したら値段が上がっちゃうからね、必用なものは買っておかなくちゃ」という言い訳とともに、今年の春に買ったものの一つがプラティパス。最近すっかり山では当たり前のアイテムになっているのを目の当たりにして、自分も欲しくなったクチだ。

しかし、肝心の登山にぜんぜん行っていないので、宝の持ち腐れ状態だ。せいぜい、奥多摩トレックリングのときに持参し、喉が渇かなかったのでほとんど使用しないままチューブをブラブラさせていただけだ。今回こそ、是非つかわなければ。

プラティパスは、ザックの隙間にうまいこと収まることができるので、とても便利なツールだ。水筒やペットボトルだと、どうしてもザックの重心が崩れるし、水を飲みたいと思ったら一度立ち止まり、ペットボトルを引っ張り出して、キャップを開けて飲んでまた格納・・・という手間がかかる。しかしプラティパスなら、チューブをくわえるだけで水を飲むことができる。立ち止まる必用すらない。

しかし、その構造上、カビが生えやすい。抗菌加工はされているのだろうが、使用後はちゃんと内部を洗浄し、しっかり乾燥させないといけないだろう。しかしこれが難しく、洗えない&干せないのにはまいった。数日陰干しにしても、内部に水滴が残っているのを見たときは「うーん」とうなってしまった。もし水のかわりにジュースを中に入れていたとしたら、確実にカビが生えているだろう。

そんなわけで、水質に不安があったので使用前にキッチンハイターを入れて殺菌消毒しておいた。さすが俺様、ちゃんと衛生面に気をつけているぜ・・・とニヤニヤしていたのだが、いざ現地で使おうとしたら漂白剤臭さが抜けていなかった。うわあ。それに気が付いたのは、登山を開始してしばらく経って、水を口に含んだときだった。まずい水に仰天したけど後の祭り。

サントリーは、ミネラルウォーターのブランドとして「○○の天然水」という商品を販売している。地域によって「○○」に入る名前は違い、東日本では「南アルプスの天然水」だ。九州は「阿蘇の天然水」であり、これが中国地方になると「奥大山の天然水」となる。つまり、それだけ水質が良い場所である、というにもかかわらず・・・そこで採取した水が、プラティパスを経由したらくさい水になってしまったとは。悲しい。あと、洗面所で取水したというのもひょっとしたらよくなかったかもしれない。上水ではなく中水かもしれないから。

いずれにせよ、今背中に背負っている水は全くたよりにならないものだ、ということはよくわかったので、この後極力水を飲まないようにした。おなかを壊したら、登山どころじゃなくなってしまう。

大山自然歴史館

08:12
大山自然歴史館。写真は一戸建ての家みたいな外観に見えるので、「個人がやっているの?」という風情だが、実際は2枚前の写真で正面に写っている大きな三角屋根の建物だ。県立だもの、そりゃあしっかりした建物だ。「ビジターセンター」に相当する施設なのだと思う。

時間が許せば、あらかじめここで大山の予習をしておきたかった。しかしさすがに開館時間は9時からだったので、そうもいかず。素通り。

地図

08:24
大山寺のバス停で下車したにもかかわらず、実際の大山寺は参道をかなり歩いた先にある。ここから先、車が走れないくらい道が険しくなるということはないので、下界の穢れは近づくな!ということだろうか。いや、それは考えすぎか。単にバスの転回場にできる場所が遠かっただけなんだろう。

地図を見ていると面白いのが、大山寺のさらに奥に、大神山神社奥宮があるということだ。大山寺を経由してこの奥宮に通じているのではなく、参道は大山寺をぐいっと避けるようにして回り込んでいる。寺社が並んでいるのは、神仏習合の影響なのだろうが、今はこうやって違う存在としてお互い構えている。

仲が悪いんだろうか?どっちが大山の所有権を持っとるんや、って喧嘩しているとか・・・と妄想たくましくするが、単に大神山神社のすぐ近くまで車が通れるようにし、駐車場を境内脇に設置したかったから、というのが正解っぽい。そりゃそうだよな、いろいろなものを運んだりするのに車は必要だ。大山寺の伽藍を経由して神社、ってなると物資輸送に支障がでる。

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