12:44
餃子を満喫した後、来らっせを後にする。「平日に堂々と、一人旅で温泉に2泊しやがる」けしからん自分を罰したい・・・と思っている矢先に、1,000円超えの昼食を食べてしまいちょっと凹む。うまかったし大満足なんだけど、なんだかいろいろな方面に申し訳が立たないような。
おとなしく療養するつもりが、餃子食べちゃった。うまかった。満喫しちゃった。
いや、うまいもん食べて心を落ち着かせる、というのは悪いことじゃない。カップ麺やコンビニ弁当を食べて心を荒ませているよりもよっぽどよい事だと思う。しかし、おなかいっぱい餃子を食べて、おでこを脂汗でテッカテカにしていたら、｢療養｣という言葉にあんまり説得力がない気がする。
僕の職場にもメンタルを病んで休職していた人がいる。その人は復職明け、随分気まずそうに、おとなしくしていた。ああまだ体調が本調子じゃないんだろうな、とあまり関わらないようにしていたのだけど、後で話を聞いてみたら、体調以前に「気後れ」があったし、「明るく振る舞うと、『なんだアイツ病気じゃなかったんじゃないか？』と思われるかもしれない恐怖」があったのだという。だから、「暗い自分を『演じる』ことを無意識のうちにしていたのかもしれない」と彼は語っていた。
その気持ちはよくわかる。で、結果的に、「暗い自分を演じているのか、実際に暗くなってしまっているのか」がよくわからなくなってしまい、全てが疑わしくなり、全てに嫌気がさし、また調子を崩すというパターン。
そんなわけで、今日の僕は、「餃子、うまかった。まる。」とだけ言っておこう。あんまりその感情に深入りすると、訳がわからなくなる。また、他人様の目だとか気にしないようにしたい。
とはいえ、さあこれから宇都宮観光をバリバリやるぜ、というわけにはいかず、そもそもそんな気力も体力もなく、とっとと宇都宮駅に引き上げる。あくまでも来らっせを訪問したのは、「食事のため」であり、観光のためではない。
外に出ると、巨大な鳥居がそびえていた。二荒山(ふたあらやま)神社だ。この鳥居のデカさだけでも飯が三杯食える、という見応え。本殿がどうなっているか気になるっちゃあ気になるが、もうおとなしく療養させてくれ。これ以上情報が頭に入ってくるのはイヤだ。今日はこれまでの旅行で、若干テンションが上がってしまい既に今の僕ではオーバーヒート気味だ。
ちなみに、源平合戦・屋島の戦いで有名な那須与一は、平家が差し出した扇を射止める際に那須湯本の温泉神社と、日光と、この宇都宮の二荒山神社に「弓が当たりますように」と祈願したという。これから僕が向かうのは、まさに温泉神社のお膝元である那須湯本だ。何かのご縁ではある・・・ので、鳥居の前で軽く会釈だけして失礼させてもらう。
駅に向かう。
天気がよろしくない。小雨が降っている状態だ。本降りにならないか心配だ。まあ、どうせ観光なんてしないで宿に籠もるんだから、雨が降っても構わないのだが。
12:52
道中、Googleのゲーム「Ingress」で宇都宮界隈のポータルを奪取したりする。Ingress、東京都内と比べて地方都市だけあって随分ポータルの守備がゆるい。
13:00
宇都宮駅に戻ってきた。
餃子像がお出迎え。ビーナスが餃子の皮にくるまれている、という奇抜なデザインコンセプトはともかくとして、移設工事中にポッキリと像が真っ二つに折れてしまったことが爆笑ネタとして後世に語り継がれている。テレビ撮影中に起きた事故だっただけに、その動画を今でも見ることができるが、見る度にもの悲しくも楽しく笑える。現在はパテで補修しているそうで、この像がぽっきりいったとは思えない修復具合だ。
宇都宮駅。
ここから北、東北本線はぐっと便数が減る。黒磯行きの電車に乗ることにする。
13:02
駅のホームに、「野州そば」という屋台があった。見慣れない名前だ。このあたりの地元の蕎麦屋さんが昔から営業しているのだろうか。どれ、旅の記念に一杯・・・と思ったが、やめておいた。このままでは食い倒れの旅になってしまう。
後日、このお店が「日本レストランエンタプライズ」によるお店だと知った。つまり、いわゆる「あじさい系列」のお店、ということだ。わざわざ食べなくて良かった。あじさい系の味だったら、東京界隈でいくらでも食べられる。
それにしても本当にJR東日本資本のNREって、地元の立ち食い蕎麦屋を駆逐してしまったんだな。旅先で、その土地の蕎麦屋の味・・・なんていう旅情はもう残ってないのか？
13:03
黒磯行きの電車に乗る。扉の開け閉めが半自動ドアになっている。そうか、いよいよ本格的に寒い土地に向かっていくのだな。自分の防寒体制もちゃんとやっているか、再度点検をしておく。よし、ズボンのチャックはちゃんとあがっているな。
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