24時間温熱をくらえ【四万温泉】

元禄の湯

赤い欄干の橋の上から、元禄の湯を眺める。

週末ともなれば、この橋の上で記念撮影をする観光客が大勢いる。しかし今は平日、しかも厳冬期だ。ほとんど人はいない。だから写真を撮り放題なシチュエーションとなっている。

うおおお

猛烈に写真を撮る、ここぞとばかりに。

いいねいいねいいねええええええ

さあ盛り上がって参りました。ここからがようやく療養生活のスタートだ。盛り上がる必要なんてないんだけど。

それにしても、目の前にある元禄の湯の建物はどうだい?なんかもう、上から押しつぶされている気配じゃあないか。実際、地面よりも低い位置にめり込んでいるようだ。

二階三階が木造建築になっているが、あそこにお客さんは泊まっているのだろうか?しげしげと観察してみたが、人の気配はまったくない。建物の外周に沿って廊下があり、廊下の内側に障子で仕切られた形で客室があるようだ。ふるーい温泉旅館で見かける形態だ。廊下に囲まれていて部屋に窓がない。アンド、部屋に鍵がかからない。

これが僕が泊まる一号館・・・ではなさそうだ。使われていないっぽい。もったいない話だ。さらなる格安プランでここを提供すればいいのに、とか無責任なことを考えてしまう。しかし宿泊客に部屋を汚されたりするのは面倒臭いし、そもそもこの建物にはトイレがないっぽいので不便だ。隙間風もありそうだから、ちょっと現実的には難しいのかもしれない。

それはともかく、このおんぼろ・・・おっと、余計なことを口走ってしまった・・・古い建物の脇から、橋が伸びているのが気になる。なんとも大げさな。

古い建物

で、川の上をまたぐ渡り廊下を渡った先が、先ほどの「通り抜け禁止」という看板が出ていた建物。こちらも・・・使われていないっぽい。これまたもったいない。従業員宿舎として使っていたりするのか?とこっちもガン見したが、どうも生活感がない。こちらも放棄してしまったらしい。もったいない。

それとも、修学旅行などの団体客が訪れたら、この建物一棟丸ごと開放したりするのだろうか?いや、それはやめとこうや、やんちゃざかりの少年少女がこの建物に泊まったら、壁が突き破られたり床が抜けそうだ。

本館

橋の左側、下流方面を見たところ。なんだか素っ気ない、「単に古い」旅館の建物が見える。後で知ったが、これが「本館」になるらしい。「元禄時代から続く木造建築」ではなく、あとで増築されたものだ。この建物自体は昭和レトロ的なものが好きならばきっとご満足いただけるだろう。逆に言えば、年期が入っていて、くすんだ感じがする建物でもある。

木造建築ならば、丁寧に管理していれば月日とともに味が出てくる(傷みも激しいが)。しかし、鉄筋コンクリート製の建物だと、月日が経てばどんどんくすんできてしまう。そう、まるで僕のように。

やめろやめろ、そうやって敢えて自分を「不幸で、惨めな境遇」な体に持っていくのはやめろ。テンションあげろー。

かなり年期の入った建物

いやあ、でもだって、一ヶ月二ヶ月も前から入念に計画していた旅行じゃないし。ここに決めたの、つい2日前だから。しかも、四万温泉自体は何度か訪れたことがあるし、元禄の湯などには立ち寄り湯をしたこともある。特に目新しいわけではない

しかしそれがいい。それが目的だ。目新しくて、今この瞬間ワクワクしっぱなしだったら先が思いやられる。そういうんじゃないから、今回は。「何もしない時間を過ごす」ってぇのがいいんだ。でも既に全開那須温泉の時と比べて、いろいろ遊んじゃってる気がして反省している。

さてあらためて元禄の湯の方を見ると、やっぱり迫力がある。古い温泉、って感じがしてしみじみと嬉しくなってくる。こういうのがいいんですよ、渋い、と形容すると安直だけど、「うむ。」と深くうなずいちゃうような作り。

積善館本館入り口

さて、橋を渡った正面が積善館本館入り口。どうやら、消去法で考えたらこの建物自体が「文化財」として指定されている古いたてものらしい。さすがに改築は加わっているので奇麗に保たれている。

チェックインカウンター

14時過ぎだというのに、もうチェックインするお客さんが何組もいる。

古い温泉旅館そのままなので、今風なチェックインカウンターとかロビーがあるわけではない。人二人が並んだらいっぱいなカウンターに人がたくさん。待ち客も何組も。みんな、温泉に入る気満々やないか!同じ仲間だ!

接客を担当している女性たちは、皆和服を着ていた。老舗旅館の粋、というのを意識しているのだろう。本館は湯治も想定した宿なので廉価に抑えられているが、それでもこのおもてなし。服を見るだけで旅情をかき立てられる。

よーし、今晩はあこがれの「あーれー」を。

あっ、でも「あーれー」が許されるのはお代官様かお殿様だけだったっけ。上級国民ではない庶民の出である僕は無理だ。そんな資格なんてねぇべ。

伝言板

日帰り入浴は1,200円。結構高い。積善館にはいくつもの浴室があるけど、この日帰り入浴で利用できるのは元禄の湯と岩風呂の二つだ。あとは、古い建物である館内を「ほほぅ」と見る権利がある程度。本館以外の山荘などには立ち入ることができない。

しかし、積善館といえば元禄の湯なので、この名湯に入ることができればとりあえず満足だと思う。

一方、目を惹いたのが「積善や」という軽食店舗だ。おや、本館内にそんな飲食店があったのか。見ると、釜揚げうどんやグリーンカレーといったものが食べられるようだ。明日のお昼はここを利用しようか、それとも外の温泉街に食べに行こうか、悩ましいところだ。とりあえず今は結論を出さないでおこう。

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