全然、禅じゃなくても【伊豆半島】

2015年06月26日(土) 2日目

朝もや

05:30
2日目の朝。路面は濡れ、朝もやが出ている。

なんでこんなに早起きをしたのか、今となっては覚えていない。気持ちが舞い上がってしまったのだろうか。

思い出されるのは小学校の頃。「遠足の前日はワクワクして眠れない」というクラスメイトたちの話を聞いて、「いいなあ、うらやましいなあ」と思ったものだ。僕の場合、前日であってもいつもと同じで眠ることができたからだ。

もちろん、眠れる方が良いに決まっている。でも、子供というのは、「眠れない」というエピソードトークがある、ということの方に価値を見いだす。

朝風呂

で、中年男性おかでん、今日は早起きをしてしまったわけだけど、じゃあ何をするかというと朝風呂。さすが年齢を重ねて苦み走っているだけある。

とはいえ、温泉旅館に泊まると、入浴回数に関しては相変わらず大人げない行動をとっている。「チェックイン後、夕食後、寝る前、朝食前、チェックアウト前」の1泊で5回風呂。「元を取ろう」なんていう卑しい考えではないけれど、温泉で身体をくりゃんくりゃんに柔らかくしたい!という願望は強くある。

とはいえ、さすがにこの「大人げなさ」も最近は低迷してきて、「朝食を食べてからチェックアウトまでの間」に風呂に入るのはあまりやらなくなった。こんなところで「老いたなあ」と感じる。

朝ご飯

07:48
禅の湯の朝ご飯。

伊豆半島なのであじの干物が出るのはお約束。

そういえば昨晩の夕食も今朝も、伊豆半島名物である「わさび漬け」が出てこなかった。何故だろう。すぐ目と鼻の先の天城あたりが名産なのに。

酒かすで作るものなので、「禅の食事には向かない」と判断したのだろうか?その辺はわからない。いや、でも夕食時にはお酒を頼むことができるので、「当館は禁酒です」というわけではなさそうだ。ということは、単にわさび漬けを出さなかっただけなのだろう。

お寺

09:52
チェックアウト時間ぎりぎりまでお風呂に入ったりしてダラダラ過ごす。全く「禅」スピリットのかけらもないひとときを過ごすことができ、くつろいだ。

禅の修行といえば、以前この本を読んだことがある。永平寺で1年間修行した方の体験記だ。

まともに寝食すらできないような厳しい環境で、いじめに近い指導を受け、そこで我を忘れることによって僧侶としてステップを踏んでいくという話は、あまりに壮絶でギョッとさせられる。修行中に脱走する雲水が後を絶たない、というのも納得だ。

それを承知の上で、僕はここに体験修行させて貰おうと思っていた時期がある。しかし、体験とはいえまとまった日程が必要となるし、安易な気持ちでできるものではない。気になったまま今に至る。

・・・とここまで書いて、たった今永平寺のwebサイトを見てみたら、随分とカジュアルに体験ができるようになっていた。

https://daihonzan-eiheiji.com/taiken.html

坐禅をするなら予約なしでもできるし、1泊2日の体験もできるようだ。webサイトの写真を見ると、どうやら修学旅行でも使われている模様。

あー、これだったらやってみたい。近々行ってみるかな。

話を戻すと、宿のすぐ隣がお寺だった。チェックアウト後にして、ようやくお寺と宿の位置関係を正確に把握できた。すいませんね、僕ら裏口から入ってきちゃったんで。

お寺から宿を眺める

お寺の脇に、白い建物。これが「禅の湯」。

内装も独特だったけど、建物外観もかなり特徴的。入り口が目立たない。

お寺の庭にはウッドテラスがある。夏になるとここでバーベキューが出来るそうだ。お寺の境内で、バーベキュー(しかも豚肉含む。追加注文すればお酒だって出る)をやって盛り上がる、というのはなかなか見慣れない構図だ。でもそれが今風なんだろう。

「四つ足動物は汚れている」とか「酒はいかん」というご時世ではない、ということなのかな。

ループ橋

10:09
今度訪れるときは禅の体験をしてみたいものだ、と思いつつ宿を後にする。

車を天城峠方面に向けて走らせると、すぐに巨大な河津七滝ループ橋が見えてきた。

大滝温泉の案内

大滝温泉天城荘の案内。

ここは温泉もあるし、滝もあるという観光にうってつけの場所だ。

以前は「日本秘湯を守る会」の会員宿だったけど、今は退会している。「秘湯を守る会」は、「いや、秘湯とは言えないでしょ?」という宿も加入していたりして採用基準が不思議な組織なのだけど、入退会が結構激しい。

「秘湯を守る会会員宿に10回泊まってスタンプを10個溜めると、その10軒の宿の中からどれか一軒を無料宿泊できる」という特典がある。なので僕も昔はスタンプ集めに余念がなかったものだ。しかし、10泊すれば1泊無料、という制度は宿側としてはかなりの負担になる。「秘湯を守る会に入って、無料宿泊分の負担金を拠出するよりも、自力で集客した方が得」と判断した宿もきっと多いだろう。

たとえばこの天城荘なんて、「秘湯を守る会」を名乗らなくても自力で集客はできそうだし。

天城荘は、河津七滝の「大滝」を眺めながら露天風呂に入ることができる。そのほかにもいくつも外湯・内湯があり、いつかは泊まってみたい宿だ。

河津七滝案内

河津七滝を巡る際の所要時間が書いてある。

一番下流にある大滝から、最上流の猿田淵まで約60分。往復すると2時間かかることになる。

「七つあるなら、全部歩いてみたい」という気になるけど、今回はやめておこう。ちなみに、大滝は土砂崩れの影響で遊歩道が閉鎖されていた。ここは2017年夏に再開した。

いやん、天城荘の露天風呂から大滝が楽しめる、ということだけど、それだと遊歩道のお客さんにも裸を見られてしまうのでは?と心配になるが、大滝が見える露天風呂は水着着用(レンタル有)なので、その点は安心。

河津七滝周辺案内図

河津七滝周辺案内図。

ひとまず、駐車場から一番近い「出合滝」に行ってみることにする。高さ2メートル、幅2メートルと随分小さな滝だけど、「河津七滝に行って、滝を見た」ということが大事なのですよ。ここで滝を見ないで素通りするのは惜しい。

出合滝への道

10:18
出合滝に向かって谷を下る階段。80メートルですぐに滝なので、余裕だ。

出合滝への道

ほー。

こうやって階段を下りていき、谷底に向かう道がある。

皮

川。

出合滝

10:21
ものの3分程度で、出合滝に到着。

ハート型絵馬

滝のたもとには、ハート型の絵馬が沢山奉納されていた。

「出合滝」という名前にあやかりたい、という人がいっぱいいるらしい。名前を付けたモン勝ちだな、これだと。

「出合」というのは山用語としてはポピュラーで、二つの沢が合流する地点によく付けられる。なので、全国各地に「○○出合」という地名はある。大抵どこもクッソ山奥だけど。

でも、南アルプスの「野呂川出合」なんて、そこにバス停があるし、便利だ。ただし、甲府駅からバスで2時間15分(広河原で1回乗り換えあり)かかるけど。

さすがに野呂川出合で絵馬を置いても、書く人はいないだろうな。観光地で、なおかつ「出合」という地名がある。そういう条件が揃わないと。

滝

で、これが出合滝。

「七滝のうちの一つ」という位置づけだから見る甲斐があるけれど、単体としては全然珍しくないレベル。でも、「ああ、河津七滝を見た!」という深い満足感を覚え、この場を後にした。

(つづく)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください