変わり続ける観光地【倉敷】

くらしき桃子

くらしき桃子。これも21世紀になってから出来たお店なので、比較的新しいお店だ。

もともと「おかやま桃子」という桃ゼリーがみやげ物として存在していたけど、おそらくその会社が展開しているのだと思う。webサイトを見ても、関連性がよくわからないので断定はできないけど。

関東の人からすると、フルーツ王国といえば山梨県や長野県を連想するかもしれないが、岡山もフルーツ王国を自認している。

瀬戸内海気候のおかげで「晴れの国」とも呼ばれるくらい日照時間が長く、フルーツの生産に適した環境だからだ。あと、「桃太郎伝説」のおかげで、岡山といえば桃、というイメージがある。

しかし実際は、岡山県の桃の収穫量・出荷量は全国6位で、1位の山梨や2位の福島などと比べて桁が一つ足りないくらい、少ない。ならば・・・ならばッ!ピオーネやマスカットといったぶどうがあるじゃないか!・・・と思って調べてみたけど、こちらは全国4位。やっぱり1位は山梨で、桁違いとまでは言わないけれどダブルスコア以上の大差をつけられている。

とはいえ、出荷量が多ければ偉いというわけではない。岡山県は「清水白桃」をはじめとし、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」など高級路線にも力を入れている。

くらしき桃子のパフェ

なかなかそういう高級フルーツを食べる機会がないのだけど、ここならばパフェとかジェラート、フルーツジュースといった形で気軽に食べられる。

さすがにフルーツなので、訪れた時期によって食べられるメニューに違いがある。やっぱり桃が食べたいなら、暑い季節にぜひ(冬でも、「冬に収穫される桃」を使ったメニューは存在する)。

ただし、見ての通りとても間口の狭いお店だ。奥行きもあまりない。二階が喫茶店になっているのだけど、週末はテイクアウト・喫茶利用も含めて順番待ちのお客さんが店頭に集まって大変なことになる。とても繁盛しているお店だ。

・・・と思ったら、後日ここから徒歩2分か3分程度のところに、もう一つ支店ができていた。美観地区内に二店舗も構えるとは、すごいことだ。

残念ながら僕はここでスイーツを食べたことはないのだけど、岡山土産としてよくここのゼリーを買っている。コーヒーのスティックシュガーみたいなサイズのチューブに入ったゼリーで、さまざまなフルーツ味がある。そのまま食べても良いし、凍らせてもシャーベットみたいでおいしい。

値段は手頃だけど、フルーツゼリーなので若干スペシャル感があるし、食べやすいし、なによりも一袋にいくつも入っているのでシェアがしやすい。職場に持って行く土産で、せんべいとかクッキーじゃ芸がない、というときに向いている。

川舟乗り場

倉敷川の川舟乗り場。

荷物の積み下ろしをしていた雁木のところから観光遊覧の小舟が発着している。

昔は、アイビースクエアからこの雁木まで、地面にレールが埋め込まれていた記憶がある。おそらく原材料や完成品を船に運ぶためのトロッコ用だと思う。しかし、その跡はもう今は全く残っていない。

何年前に線路を撤去したのだろう?それとも僕の思い違いだろうか?

とら醤油のお店

倉敷アイビースクエアと倉敷川との間にある通りに面したお店。

虎が描かれたのれんが掲げられている。「とら醤油」のお店だ。

倉敷市にあるローカルの醤油醸造所で、たぶんこの界隈でないと売っていないと思う。

岡山のおかでん家では昔から醤油といえばこの「とら醤油」で、過去に僕が年越し蕎麦を作る際にも写真で登場している。

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何故とら醤油を使っているのかは、母親に聞いたことがないのでわからない。虎がにらみをきかせているパッケージを見てビビったから、とかそういう理由かもしれない。

レスリングの吉田沙保里がオリンピックの時、胸に虎の絵が描かれたウェア(「シングレット」という)を着用しているのを見て、「あっ!とら醤油だ!」と倉敷界隈の人は思ったに違いない。

わらび餅タワー

わらび餅タワー発見。「300円」と書いてあるので「えっ!これで300円!?」とびっくりしたけど、6個で300円の見間違いだった。

kobacoffeeなどが入るお店

ここも新しい施設。築100年の空き家を使って2014年オープン。

倉敷川沿いという美観地区超一等地だからといって、ミッチリとお店が埋まっているわけではない。人が住んでいるのか住んでいないのかわからない、そんなひっそりとした建物がまだ残っている。

今や「クラシキ庭苑」として、ウナギの寝床建物に複数のお店が入居している複合施設だ。写真右奥に、石畳の通路があり、その通路に沿ってお店が並んでいる。

ショットバー、カフェ、ビスケット屋、そして二階には帽子屋。

カフェ「コバコーヒー」は、コーヒーを頼むと「ドリップにするか、フレンチプレスにするか、サイフォンにするか」と聞いてくる面白いお店。ちょっとコーヒーを飲みたいときに立ち寄るのだけど、こんな建物の奥なのにお客さんがいっぱいで、大抵入れない。悔しいのぅ。

建物の入り口部分にお店を構えている「cafe BISCUIT(カフェ ビスキュイ)」は、梶谷のシガーフライを売るお店。ビスケットなのでお値段は安いけれど、瓶詰めになっていたり包装がきれいだ。なので、「安く、でも美味しくて綺麗なお土産を買って帰りたい」ならばここのシガーフライはおすすめ。

デニムがつり下がる店

2010年代になって、急速に美観地区に児島のデニムを扱うお店が増えた。あれよあれよ、という表現がふさわしいくらいだ。

こうやって「グローバル化によって衰退の一途だった地場産業が、復活する」のを見るのはとても嬉しいことだ。でも逆に言えば、それまでは同じ倉敷市であるにもかかわらず、児島のデニムというのは観光資源としてほとんど理解されていなかったということになる。

時代の流れとともに、「観光資源」は変化する、という好例。

写真奥の「元祖きびだんご」ののぼりを掲げているお店が、倉敷川沿いの美観地区最果ての地になる。お客さんはここまで来て、橋を渡って対岸に沿って折り返していくルートを取ることが多い。

そのため、このきびだんご屋(廣榮堂本店)はとてもお客さんで賑わっている。以前ここは「雄鶏(ゆうけい)書房」という本屋さんときびだんご屋が併設されていたと記憶しているが、今では本屋は無くなり、きびだんごでお抹茶がいただけるスペースになっている。

立派な店構えだし、店名が「廣榮堂本店」だし、売っているものが「元祖きびだんご」だし、ここがあの桃太郎で有名なきびだんごの総本家なのか!と早とちりする人がいる。ネットでもそういう情報が書かれていることがあるけど、それは間違い。

廣榮堂本店、というのはあくまでも会社名であって、店名ではない。ちなみにここは「廣榮堂本店雄鶏店」だ。廣榮堂本店の本社は岡山市にあるし、美観地区内の別の場所にもう一店直営店がある。

さらに「元祖きびだんご」というのも商品名であり、桃太郎が犬猿雉に与えたきびだんごを作ったわけではない。当たり前だけど。

とはいえ廣榮堂本店は、今我々が一般的に連想する「きびだんごってこういう食べ物だよね」というお菓子を作った会社、というのは間違いがないようだ。なにしろ、「きびだんご」という名前なのに、「黍(きび)」が全く使われずに餅米で作っているのだから。

きびだんごは、岡山のみやげ物売り場に行けばいろいろなメーカーのものが売られている。しかしやはり一番目立つところに置かれているのが廣榮堂本店のものだし、実際に僕がいつも買っているのも廣榮堂本店のきびだんごだ。これが一番うまいと思っている。

きびだんごは値段が安い、というのも素晴らしい。岡山に旅行してきました感満載だし、知名度は十分だし、でもその割には案外「食べたことがない」という人は多い。渡して喜ばれること間違いなしの銘菓だ。職場みたいな大人数に配るのにもうってつけだ。

ちなみに僕は、さる女性に告白をする際にこのきびだんごを渡し、鬼退治に一緒に行こうと・・・ああいや、なんでもないです。昔の話です。

倉敷川

廣榮堂本店の前にある高砂橋から、倉敷川を眺めたところ。

夏は柳が垂れ下がり、季節感を醸し出してくれる。お盆の頃になると、セミがうるさい。

狭い路地

最近の倉敷のそら恐ろしいのは、こんな狭い路地の奥にも新しい施設ができている、ということだ。

狭い道大好き、町探検大好きの僕でさえ、こんなところに道があったことすら知らなかったくらいだ。

「くらしき宵待ちガーデン」という複合施設。2015年春にオープンしたので、わずか数ヶ月前に出来たばかりだ。

まるでチキンレースだ。どこまで秘めたるところに店を構えても、客はやってくるのか?商売として成り立つのか?というのを競っているかのようだ。

それもこれも、都会のように「場所がないなら、高いビルを建てればいいじゃん?」ということができない土地だからだ。古い町並みを壊すわけにはいかないので、今ある建物や家は壊せない。そうなると、路地裏でもなんでも、美観地区から近ければオッケー、ということになってくる。

宵い待ちGARDEN

おう、こんなものがあの狭い路地にあるとは。

このあたりだけ急に解放感がある。というのも、奥に竹藪があるからだ。

建物を見る限り、倉敷の古民家に経緯を払ってはいるものの新築に見える。さすがにこういう路地裏は、美観地区の建築制限から除外されているのかもしれない。

入店しているのは、フルーツパーラー、ギャラリー、イタリア料理店。

「パーラー果物小町」は、店員さんが大正ロマンな格好(ファミリーレストラン「馬車道」の店員さんのような格好)をしている。

竹林

宵待ちガーデンの奥には、催事場にもなるという竹林と芝生エリアがあった。

美観地区のど真ん中に、こんな空き地が未だに存在していたということに相当びっくりした。

そういえば遙か昔、ここには市場があったと聞いた記憶がある。その跡地なのだろうか。記憶が怪しいのでネットで確認してみたけど、この記憶を裏付ける情報は見つからなかった。

とにかく、観光地の雑踏と喧噪を離れてここで一息つくにはちょうど良い穴場スポットだ。ここも各店舗は狭く、すぐに満席になってしまいそうだけど、「空席はあるかな?」と覗きに行ってみる価値はある場所だと思う。

倉敷民芸館

倉敷川沿いに戻る。この建物(倉敷民藝館)の背後に、あの竹林があるとは想像もつかなかった。

なお、倉敷民藝館、倉敷館(旧倉敷町役場)と続いてその隣にあるのが加計美術館。そういえば美術館好きの僕でも、未だにここは訪れたことはない。外観が地味で、どういう展示を今やっているのかようわからないので、行きそびれていた。他意はない。

2017年12月にこの辺りを歩いていたら、普段は観光客から見向きもされていない加計美術館にカメラを向ける人がちらほらいる。中には記念撮影をする人までいる。

「ほら、モリカケ問題で話題になった、加計学園のカケでしょ?」
「ああ、あれね」

みたいな会話が聞こえる。あっ、そうか、言われてみればそうだった。

加計美術館の隣は、昔は「北田証券」という倉敷の地場証券会社があった。古民家で、建物の前には黒板が掲げられ、今後の経済見通しが几帳面なチョークの字で書かれていたものだ。

2012年の訪問時には、まだ北田証券の黒板は健在だった。

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僕のような世代は、証券会社といえばネット証券であり、「地域の証券会社」という存在自体が想像すらできない。ましてや建物が古民家なので、「中ではソロバンをはじいているのだろうか?」とか、「証券取引所に人を送り込んで、絶妙なジェスチャーで売り買いの注文をさばいているのだろうか?」なんていう偏見がある。いやすいません、ホントにこれは偏見です。

なので北田証券が廃業してしまい、「ああ、やっぱり厳しいのか」と思っていたら、その後釜に入ったのが「大山日ノ丸証券」。今度は鳥取の地場証券会社だ。

全国各地にはこういう証券会社があるのだな、ということを今更ながら知った。

(つづく)

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