15:56
浄土平を出発し、磐梯吾妻スカイラインを快適なドライブ。
ほどなくして、「猪苗代町に入ったよー」という表示が道路脇に出た。ああそうか、中ノ沢温泉がある場所って、猪苗代湖でおなじみの御苗代町なのだな。
現在、土湯峠は長いトンネルで東西を繋ぐバイパスが走っている。峠道である旧道は、オワコンっぽく見える。
しかし、磐梯吾妻スカイラインは峠道に接続している。観光道路として現役バリバリだ。そして、この峠道界隈には、思わず垂涎、ネコまっしぐら、な温泉地がゴロゴロしている。
興味がある人は、野地温泉、新野地温泉、赤湯温泉、鷲倉温泉、幕川温泉、横向温泉という名前でネット検索をかけてみるといい。「おお!?」と身を乗り出すような温泉ばかりだ。温泉街がある温泉地のほうがいいな、というなら、もうちょっと先の土湯温泉という選択肢もある。
とにかく、そういう「高密度温泉わくわくエリア」を今回見事に素通りしなければならないのは、大変に惜しい。本当なら、それぞれの温泉に一泊ずつしていって、一週間くらい過ごしたい。しかしそれはかなわない夢なので、今回は中ノ湯。これもまたいいお湯だと聞いてるので、楽しめそうだ。
16:10
土湯峠を下り、バイパスと合流してしばらくいったところで左に折れる。もうすぐ中ノ沢温泉。
電柱に中ノ沢温泉の看板が出るようになってきた。
青看板。
まっすぐ行けば「グリーンライン、中の沢」。左に曲がると「沼尻温泉」。
グリーンラインは、そのまま突き進むと山を越えて磐梯熱海温泉にたどり着く道。
沼尻温泉は中ノ沢温泉からもうちょっと山側に分け入った場所にある。中ノ沢温泉と源泉は一緒で、お互い安達太良山の山中にある源泉湧出地から引き湯をしている。
知名度からいったら、中ノ沢温泉の方が有名だと思う。僕自身、「あ、沼尻温泉ってあるんだ?」と今回初めて知ったくらいだ。
しかし一方で、沼尻という地名は「野湯好き」の間ではすごく有名な場所だ。「野湯」というのは、浴場がまったくない、野っ原の温泉のことで、河原などで自然湧出している温泉にそのまま入っちゃおう!というものだ。
日本にはこういう野湯があちこちにあるものだけど、もちろんこのご時世になっても温泉が放置されているというのは、よっぽどへんぴな場所にあるに他ならない。先人が温泉入浴施設を作る気になれないくらいの。
で、沼尻元湯と呼ばれる野湯スポットは、比較的アクセスが良い、ということで訪れる人が多いと聞く。ここは車が入れるギリギリのところから、徒歩で30分くらいだという噂だ。
ただし、かなり危険な場所だ。安達太良山西側の登山道で、火山性ガスのために登山客が死亡した例は過去に何軒もある。なんでこの沼尻元湯に温泉街を作らず、わざわざ面倒な引き湯をしたのかというと、つまりは元湯エリアが立地的にデンジャーだということに他ならない。
16:11
人間がいてセーフであり、なおかつ交通の便も良いということで温泉街が作られたのであろう、中ノ湯温泉。
このグリーンラインの両脇に、宿が並ぶ。とはいっても、静かなもので、歓楽街と呼べるような雰囲気はまったくない。ゆったりとした時間が流れている。
天ぷらまんじゅうのお店がある。
夜食にしよう、と思って夕方にお店を訪れたら、もう閉まっていた。そりゃそうか。買うならお早めに。
大きな旅館があるわけではない。せいぜい3階建て。
温泉街、といっても、電気屋さんだったり、宿以外の商いをやっているお店も多い。
16:16
本日のお宿、平澤屋旅館にやってきた。
宿にチェックイン。
フロントのすぐ後ろに、金ぴかのお仏壇があって一瞬びっくりする。
個人商店的な宿の場合、このフロントにご主人がいる時間が長いだろうから、お仏壇もここに置いたのだろうか。
いや、こっちにもフロントがある。
というか、フロントはこっちが正解らしい。ちゃんと「フロント」と書いてある。
じゃあさっきのは「事務所」か。
山あいの宿って、剥製の動物が飾られていることが多いけど、ここもそう。
自販機の傍らから、人の剥製がこっちを見てる!とギョッとしたけど、これは布袋さんの人形だった。なんでこんなところにいらっしゃるンですか?
こけし展示にとどまらず、博多人形やらドレスを着た人形やら、「白雪姫」に出てくる七人のこびとがたくさん並んでいる。
しかしどうしてこんなにこけしを集めたのだろう?
ときどき、こけしを大量に蒐集している人を見かけるけど、おそらく中毒性があるのだろう。一度集め始めると止まらない。
(つづく)
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