温泉に浸かってブルブル【中ノ沢温泉】

大浴場入り口

さあて、毎分10,000リットルを体感しようじゃないか。

もちろん、消防車の放水みたいにドヒャーとお湯が吹き出ているわけはないのだけど、「湯量が乏しくて乏しくて困ってます」ということはまったくない。

なので、贅沢な温泉の使い方をしているはずで、楽しみだ。

大浴場入り口

風呂場への入り口は、わざわざ瓦屋根のひさしがある。

殿方の湯、婦人の湯と並んでいて、奥に露天風呂の入り口。露天風呂は、混浴も女性専用も、いったん服を着用して風呂場から出てこないといけない。身体を洗ってからの内湯そして露天へ、という流れるようなプレイはできない。

脱衣場

やっぱり今日の僕はおかしい。

なぜ脱衣場の写真を撮っているのだ?

中ノ沢温泉のポスター

「源泉湧出量日本一の名湯 中ノ沢温泉」と銘打たれたポスターが脱衣場に貼ってあった。

「毎分10,000リットル」というのは一カ所の源泉から湧いているお湯としては日本一なのだそうだ。草津とか別府とか、湯が狂ったように沸いている場所はほかにもあるけれど、それは複数の源泉をあわせた話。一カ所でいうと、中ノ沢温泉(というか、沼尻元湯)がトップ、というわけだ。

なんにせよ、日本一の温泉というのは気分がいいぜ。

入浴心得

温泉の泉質は「硫化水素含有-酸性緑ばん泉」と記されていた。いいね、あんまり馴染みのない泉質名だ。

泉質でお湯の善し悪しを語るのは愚であると思いつつも、やっぱり「ナトリウム-塩化物泉」とか「単純泉」と書いてあるとちょっと残念な気持ちになる。いや、これらの泉質だって、すごく良い温泉はいくらでもあるのだけど、「なんだ、塩水か」とか、「なんだ、単純なのか」と思ってしまう自分がいるわけで。

その点、この温泉の泉質の、なんという旅情っぷりよ。遠路はるばる訪れた甲斐がある。

成分表

正確には、「酸性-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(酸性低張性高温泉)」らしい。

pHは1.9。かなり強酸性だ。湯船にレモン汁が満ちているようなものだ。傷なんてあった日にゃ、ヒリヒリする。みなさん、怪我などなく無事にこの温泉にたどり着きましょう。

ちなみに草津温泉の万代鉱泉はpH1.7で、毎分6,200リットル。ただし、万代鉱泉の湯温は95度と沸騰寸前に熱いため、加水したりすると一気にpHは下がることになる。

お湯の管理方法

源泉掛け流し。しかし、湯船に注がれる量は「毎分20リットル」と記されており、「あれっ?」と拍子抜けしてしまう。もっとドバドバ入れんかい!10,000リットルやぞ!この10倍注ぎ込んだって、まだお釣りがあるでしょう!?と思ってしまう。周囲の宿とお湯をシェアするといっても、全然余裕がある。

しかし、このケチ疑惑は、しょうがないものだ。というのも、せっかくの泉質を楽しめるように、加水・加温・循環濾過はしていない。そして源泉温度は71.6度だ。景気よくドバドバと源泉を流し込んだら、あっという間に風呂に入っている人が茹でカエルになってしまう。

沼尻元湯から長い距離の引き湯をしていても、それでも湯温は下がりきらず、注入口時点の湯温は57度だそうだ。これだったら、湯量を絞らざるをえない。

それでも浴槽温度は45度程度、ということなので、かなり熱い。ぬる湯好きの人は、地獄の釜で茹でられる気分を味わえそうだ。

沼尻元湯の源泉写真があった。

何の変哲もない岩場だ。間欠泉のように吹き上がっているわけでもなく、マーライオンのように噴射しているわけでもない。10,000リットルでこのさりげなさ?と目を疑う。

源泉付近の写真

沼尻元湯は、荒涼とした谷間に、硫黄をとるための湯畑が作られているらしい。

もともと、硫黄鉱山として機能していたそうだけど、石油が海外から安く輸入されるようになり、硫黄は石油から安価に取り出す方法が確立したので、硫黄鉱山は閉山となった。

これは沼尻元湯に限らず、日本各地の温泉地でも同じことがおきている。先ほど例にあげた草津の万代鉱泉も、素はと言えば硫黄採掘のために掘っていたところから湧出したお湯だ。

本当は明日の朝、ここまで散歩がてら遠征してみたかったけど、連れが行きたがらなかったので今回はパス。いずれ機会があれば、歩いてここまで訪れてみたい。

浴室

平澤屋旅館の殿方風呂。

「浴室にタオルを浸けないでください」という注意書きが書いてある。

タオルを浸けない、というのは風呂での当たり前すぎるマナーだけど、あれはそもそもなんでだっけ?タオルの雑菌がお湯の中で繁殖すると汚いから、という理由だったような気がする。でもこのお湯だったら、強酸性で雑菌は皆殺ししそうだけど、そう簡単なものでもないのだろうか。

浴室

カランを撮影する意味、あったのだろうか。

うおおお

今日は至ってシンプルな旅程だった。

朝、東京を出発して昼に福島。福島ブルブルを食べて、磐梯吾妻スカイラインを経由して宿。

「せっかくだから」精神を発揮してあちこち立ち寄ることなく、まだ日が沈む前からのんびりとお風呂。いやあ、いいもんだねやっぱり温泉は。

中ノ沢温泉はかなりビリビリくるお湯だ。アトピー性皮膚炎に効果があるということだけど、かゆくて皮膚がただれている場合は拷問に等しいと思う。皮膚がお湯に慣れるまで、大変だと思う。

(つづく)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください