ガリガリ君のお風呂に浸かる【箱根小涌園ユネッサン】

MOA美術館看板

12:09
今回、早い時間から熱海にやってきたのは、「ユネッサン」で大満喫するためだけではない。熱海にある、「MOA美術館」なる場所に行ってみよう、と思っていたからだ。

名前だけはよく耳にする美術館だけど、一度も訪れたことがない。どうも熱海駅からほど近い、山の斜面にある建物らしいということだけは知っている。

熱海駅から1時間に2本程度のペースで路線バスが走っているようだ。なので、その気になれば公共交通機関で熱海にやっってきた人も、簡単に訪れることができる。

しかし僕がこれまで一度もMOA美術館に興味を示さなかったように、「知る人ぞ知るスポット」なのだと思う。なにせ、熱海にやってきた人の大半が、「海!海産物!温泉!」という気持ちになっているからだ。まさか駅の背後に、美術館があるというのはうっかり見過ごしてしまう。

僕はてっきり「モア美術館」と読むのかと思っていたけど、「エム・オー・エー美術館」と読むのが正しいらしい。なんだこの名前は。

歓迎された

美術館名に「不思議な印象」を覚えていたら、美術館に近づいたところでもっとすごいことが。

「ようこそ瑞雲郷へ」という看板、そして「世界救世教」の矢印。

そう、ここは「世界救世教」という新興宗教が営む美術館なのだった。教祖の岡田茂吉氏が蒐集した美術品を、広く公開する目的で作られたのが「MOA美術館」。なるほど、MOAは何の略かと思ったら「Museum Of Art」の略かな?いや、違う違う、そうなると日本語訳が「美術館美術館」になってしまう。

あとで調べると、「Mokichi Okada Association」の略で「MOA」なんだそうな。ほー。

宗教施設

案内看板に従って山の斜面をぐいぐい登ると、そこはロータリーと、白い建物があった。

この白い建物が、世界救世教の中核をなす建物っぽい。新興宗教=ド派手な建物で内外の人たちを圧倒する、という構図が当たり前なのかと思っていたが、案外質実剛健な印象だ。

瑞雲郷地図

さっきから出てくる「瑞雲郷」とはなんぞや、というと、どうもこの宗教における「聖地」ということらしい。

瑞雲郷地図を見ると、「へえー」と感心させられ、面白い。すいません、人んちをジロジロ見るようで恐縮ですけど。

山の斜面のあちこちに、いろいろな宗教施設が建っている。こういうのも「伽藍」という言い方をするのだろうか?

そして、この瑞雲郷の中心に、我々がこれから目指す「MOA美術館」がある。

美術館入り口

MOA美術館。

立派な門構えで、この時点で「うお、お金がかかっているな」というのが地味にわかる。しかし、建物はそのまま山の斜面にめり込んでいる。まさか、地底美術館なのだろうか。

エスカレーター

そんなことはない。ここから山の上にある、美術館の本館に向けてものすごく長大なエスカレーターを登っていくことになる。

これはとても有名なので、「事前情報を極力集めないで当日に臨む」僕でさえ、知っていた。

エスカレーター

知っていても、笑っちゃうしかない長さのエスカレーター。これはすごいぞ、一見の価値ありだぞ。

約60mの高低差を、総延長200mにおよぶ7基のエスカレーターで結んでいる。

「たかが60メートル?長さ200メートル?短いな」と数字だけ見ると感じるかもしれない。しかし、実際に乗ってみるといい。「まだ続くの~?」と驚き、だんだんそれが「すげえ!」という感情に変わってくる。ドーム型の天井がライトアップされているというのも、何やら不思議な気持ちにさせてくれる仕掛けだ。

エスカレーター

踊り場に到着して、「やれ、これでもう終わりだろう」と思ったら、まだまだ先が延々と続く。

これが何度も繰り返される。1度や2度ではない。

笑ってしまうしかない。すげえな、と。

美術館の建物近くに大きな駐車場があるので、そこに停めれば済む話だ。しかしわざわざこのエスカレーターを作って来場者を運ぶ、というのがすごい。建造費、維持費、どちらもとんでもなくお金がかかることだ。

僕らはたまたま山の中腹の世界救世教施設脇の駐車場に車を停めたからこの体験が出来ている。せっかくMOA美術館を訪れるなら、ぜひこのエスカレーターには乗るべきだと思う。横着して、美術館脇の駐車場に車を停めるのはよした方がいい。楽しさの半分を失っているようなものだ。

エスカレーター

途中、踊り場部分に円形のホールがあったりする。ここでコンサートでも舞台でも、なんでもできる。

こういう余裕が随所にあるのが、この美術館のすごいところだ。宗教関連施設ならでは、ということなのだろう。公共施設じゃこんな遊びは無理だ。

いちいち舌を巻くしかない。

エスカレーター

舌を巻くついでに、まだ登りがあります。長いなー。

那智勝浦の「ホテル浦島」を思い出す。

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ようやく美術館

ムーア広場、というところに出た。ようやく美術館に入れるっぽい。

ここまで、玄関から所要時間10分。

この石造りも、かなりお金がかかってるぞ。

チケット

MOA美術館に入る。

入館料は大人1,600円。特に観光地物価で高い、とかエスカレーター代の分だけ高い、ということはない。あんな度肝を抜くエスカレーターに乗れただけでも、数百円分の価値は十分にあると思う。

特に宗教的な色合いは出しておらず、勧誘されたり、世界救世教の世界観を見せつけられたり、ということは一切ない。だから安心して美術鑑賞ができる。大人の余裕、というやつだろうか。

僕は学生時代にカソリック系の学校に通っていた時期があるのだけど、そこでもキリスト教の教えを生徒に強制することはなかった。学校によってはミサ出席が義務づけられたりするものだけど、そういうものもなかった。むしろ、強制がない分その宗教の懐の深さに感心させられたものだ。

能舞台

展示物はもちろん写真撮影できないので、省略。

館内に立派な能舞台がある、というだけでも笑っちゃうしかない。「とりあえず作ってみました」というレベルではなく、おそろしく立派な舞台だ。屋根を見ればそれがよくわかる。一体、これだけで何千万円?かかっているのやら。時々ここで能が披露されるらしい。

黄金の茶室

黄金の茶室もあった。

これはまあ、ちょっとした遊び心なのだろう。

「カネにモノをいわせて美術を集めたでー!」という下品な印象は、ここのコレクションを見る限りは感じられなかった。偉そうに僕が語るのは失礼だけど、真摯に美術を収集されてきたんだろうな、という感覚を覚える展示品だった。

とはいえ、もう、笑っちゃうしかないのですよ。なにせ、

国宝3点、重要文化財65点を含む約3500点

がこの美術館の収蔵品なんだから。作品をざーっと見て回って、「あ、また重文か。ああ、これもか」って感じ。もうね、重要文化財程度でいちいち驚いていられない、という有様。

国宝は、尾形光琳と野々村仁清だったと思う。よくぞまあ、こんな作品を集められたものだ。

館内

美術館の窓からは、熱海の海が見下ろせる。風光明媚な場所だ。今日はあいにくの天気だけど。

ここを瑞雲郷と名付け、聖地にした理由がなんとなくわかる良い景色。しかし、良い景色、ということはそれだけこの下が急斜面である、ということだ。さて、またエスカレーターを使って駐車場に戻ろう。

(つづく)

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