11:50
鐘楼・・・っていうと日本語っぽいな。
鐘撞き堂・・・も違う。
ええと、こういう西洋の教会風の鐘を鳴らすところって、何て言うんだっけ。とっさに名前が出てこない。
「あの鐘を鳴らすのは、あ、な~た~ァ~~♬」
思わず歌ってしまう。
今ふと思ったのだが、この「鐘を鳴らす」というのは、まさかお寺の鐘ではないよな?何の疑問もなく、「ああ、西洋風の鐘なんだろうな」と思っていたけど。
スプリング・ベルという名前らしい。
春の鐘?
いや、それは違うと思う。もしそうなら、秋の今は鐘じゃないということになってしまう。泉の鐘、ということかな。
愛し合う二人がここで一緒に鐘を鳴らすとゴニョゴニョ、と書いてある。ああ、恥ずかしくて照れて、ボクはここに書き写すことができないよ。
鐘がある塔の上までは、らせん階段を登っていくことになる。
その道中、壁にはびっしりと名前が記されたプレートが貼り付けてあった。
なにせ、これだ。
名前を見ると、同じ名字の男女カップルのものばっかりだった。
どうやら、ここで結婚式を挙げて、二人で鐘を突いたら、その記念でプレートを掲示してもらえるらしい。
これだけの数のプレートがあるなら、もういっそのことプレートではなくレンガにして、積み上げていけばもう一つ鐘楼が出来てしまうんじゃないだろうか。
スプリング・ベル到着。
ロープが二本ぶら下がっているので、ちょうどカップルがカランカランと鳴らすのに塩梅が良い。
日本の仏教もこれを倣えばいいんだ。永久の愛の誓いで、鐘を鳴らすイベントを用意する。そのかわり、音は渋いぞ。ゴーン・・・・・という重たい音だ。
鐘楼(もう、名前が思い出せないからこのまま鐘楼で押し通す)から外を見ると、そこにはロックハート城の本丸が。
いかんな、「本丸」とか、すぐに日本風の名詞を使ってしまう。
西洋の甲冑があったので、その人の裏に隠れる。
何かあっても、大丈夫。
それにしても、西洋の甲冑って改めて見ると、むしろ近未来的でもある。アンドロイドというか、サイバーパンク的な雰囲気がある。こういうのが、数百年前では実際に使われていたのだからびっくりだ。
一方の日本はというと、鎧カブトの世界だ。もう、隙間だらけ。ただし、機動力はこの金属の塊よりは優れているだろう。
西洋甲冑VSジャパニーズ鎧カブト、それぞれの兵が戦ったらどっちが勝つのだろう?ついでにその戦いにブルース・リーも加えて、三つ巴で戦わせたらどれが強いのか、すごく興味がある。
11:59
スプリングベルの先には、カーブを描いた大きい建物があった。
ここはレストランとして使われている。
というわけで、チャペルも当然ある。
ここで「神前結婚がやりたいんですけど」とか「敢えて、和装で式を挙げたい」というリクエストをしてくる人は、さすがにいないか。
チャペルの中。
12:08
ロックハート城入り口から前庭を眺めたところ。
右にスプリングベル、左にレストラン。
ロックハート城の中。
外観を再現したところで満足しちゃいました、ということはなく、中までしっかりと作り込んでいる。
いやー、お金がかかってるわ。キンキラしているような成金っぽい贅沢はないけれど、インテリア一つ一つが手間暇かかっていらっしゃる。
なにせ、こういうお城だ。うっかり、ニトリやイケアの机や椅子を置くわけにはいかない。そういう拘りをちょっとでも怠ったら、一気に安っぽく、インチキっぽく見えてしまう。
それにしても、日本の北海道よりもさらに北に位置するスコットランドで、この天井の高さと空間の広さよ。夏はともかく、冬は極寒だと思う。お金持ちの家だから、ガンガンに暖炉に薪をくべ、暑いくらいに室温調整をしていたに違いない。
それでも、熱気は上へ上へと逃げていく。サーキュレーターとか扇風機なんてない時代だから、なんとも熱効率は悪かっただろう。
「プリンセス体験専用ラウンジ」という一角があった。
プリンセス体験なるものを申し込んでいないと、立ち入れないひみつのエリア。
そういえば、さっき屋内の大階段を、宝塚歌劇団みたいな格好をした女性がにこやかに下りてきていたけど、あれがプリンセス体験なのか。
なんでも、60分2,500円でドレスレンタルができ、プラス500円でウィッグやティアラの付け放題なんだそうだ。まあ、わかりやすく言うと「王女様コスプレ」なんだけど、そう言ってしまうと安っぽすぎる。なにせこの圧倒的存在感があるお城なので、写真を撮るにはうってつけだろう。ナルシスな人も、そうでない人もドレスを着用する価値はあると思う。
先ほどのプリンセスは、屋外に出て何やらポーズを沢山とりつつ、友達に写真を撮ってもらっていた。
僕らも、体験してみても良かったかもしれない。ペアだと4,000円。
人がゴチャゴチャいる時だと風情がないけど、今日みたいに平日で閑散としている時は、狙い目だったな。突然すぎて、判断ができなかった。
ロックハート城には、俳優・津川雅彦氏がコレクションした世界のサンタクロースを展示する部屋があったりする。そういうのを見てから、外に出る。
森の中に「テディの家」というのがあるらしいので、行ってみた。
あ、ここはテディベアが部屋の中にびっしり。
建物の中には入ることができないので、窓の外から覗き込む。なんてシュールな絵だ。
動物園でパンダを観察するような気分だ。ガラス越しだし。
ロックハート城、ということもあってか、石に関する展示室もあった。
これまでが、若い女性が「うわあ!かわいい!」とはしゃぐような場所と演出だったのに、急にシラフになって渋い内容。まさか化石をここで学ぶことになるとは。
敷地内のいたるところにサンタさんが潜んでいるのだけど、苦労していらっしゃるサンタさんも多い。
津川雅彦氏は、「サンタを馬鹿にするな!」とは思わずに、こういうのを面白がっていたのだろう。
建物の壁に、黒い箱のようなものが見える。おそらく防犯装置なんだと思うが、サンタさんは見事にその防犯装置をかいくぐっている。でも、宙ぶらりんになってしんどそうだ。ガンバレ。
いろいろ考えるものだなあ。
石を使って、本物そっくりなお菓子を再現している。
奥には、銘菓「ひよこ」。これ、石を着色したものだ。
うっかり食べたら、歯が欠ける。
でも大丈夫、重たいから、手にした時点で「うっかり」することはない。
いろいろな野菜や果物が再現されていた。
こういう石の展示ならば、もう少し「男根」とか「女陰」といったものをかたどったものがチン列されていてもおかしくないのだけど、さすがここはロックハート城。そういうエロ路線は一切なかった。
ロックハート城の敷地内だけど、ちょっと離れたところに「世界のブライダルドレス館」というのがある。面倒だったので、手前の池にいたアヒルたちの写真を撮っただけで引き返した。
石の展示の最後に、ビーズを売っている場所があった。
なるほど、これも石といえば石か。
ゴムに通してヘアバンドにしたり、腕飾りにするようだ。
値段を見ると1個30円から、高いのになると260円まであった。うっかり、子供からせがまれてOKすると、結構高くつくかもしれない。
回転寿司に行って、「いいか、100円のお皿以外は取るなよ?」と子供たちに告げるパパのように、ここでも「いいか、玉は1個50円までで、10個までだぞ?」と念押ししておかないといけない。
(つづく)
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