憧れの遠島の刑【のっとれ!松代城2016】

いよいよ利き酒

爆弾処理班は、誰も爆死することなく無事除去に成功。爆弾を安全なシェルターである「胃袋」に格納したまま、次なる地雷原へと向かった。

ぽん酒館利き酒番所。

一般的に、「ぽん酒館」と言えば、ここを指すことが多い。実際は、酒風呂がある入浴施設やお土産物屋、爆弾おにぎりを提供するお店などの複合施設なのだけど。でもそれくらい、この「利き酒番所」のインパクトが絶大だということだ。

ここでは、500円を払えば5枚のコインがもらえる。そのコイン1枚で、1杯の利き酒ができるという仕組みだ。で、秀逸なのが、この利き酒番所には越後の酒蔵93蔵全部のお酒が揃っている、ということだ。本当の、容赦ない利き酒がここではできる。

さすが世間に名を轟かせる越後地酒の名所だけある。他にも、都道府県単位でいえば日本酒(清酒)の蔵元なんて星の数ほどあるのに、類似の施設がないというのが不思議だ。いや、あるのかもしれない、きっとあるのだろうけど、僕は知らない。

おなじみの酔いつぶれている人

相変わらず、利き酒番所の前では低迷したサラリーマンの旦那がひっくり返っていた。一升瓶を枕にして。

今や、こういう人は見なくなったなぁ・・・。少なくとも、清酒で酩酊している人は。僕が酒を飲まなくなったので、こういう場面に遭遇しにくくなったのも理由だろう。

だとしても、僕の周りでは、本当に清酒を飲んでいる人が少ない。清酒とか各地のうまいもんが好きです!と明言するような趣味人・グルメ人との会合では清酒が出てくるけど、職場の飲み会とか「つきあい酒」のたぐいでは皆無だ。大抵の人は、ビールで乾杯をしたのち、ハイボールに移ってしまう。ハイボール、いつの間にここまで普及してしまったんだ!?

多分、僕の周りがオッサンばかりだからだと思う。甘いサワーを飲む年齢でもないのだろう。

防犯カメラがあるらしい

ぽん酒館名物の「よっぱらい人形」の前では、ひっきりなしに記念撮影をする観光客がいた。しかしその一方で、

防犯カメラが稼働しています。たたいたり、けったりしないでください。

という警告が出ていた。昨年まではなかったと思うので、恐らくこの1年の間に「たたいたり、けったり」されたのだろう。ああかわいそうに。でも確かに、「たたいたり、けったり」するにはたやすい格好をしている。

人気地酒ランキング

さて、まずは人気ランキングを確認しよう。なにしろ、93蔵から100種類を越える酒が持ち寄られてずらっと並んでいるのだ。知名度は低いけど旨い酒、というのはきっとたくさんあるはずなので、やみくもに飲むわけにはいくまい。

・・・あ、僕は飲まないけど。でも、昔酒飲みだった時の記憶を頼りに、「ほほぅ、こういうのが人気なのか」などと我がごとのように「僕だったら何を飲むか?」と考える。

ちなみに、2016年2月の人気ランキングはこうなっていた。

1位 越後鶴亀
2位 越後桜
3位 鶴亀 山廃吟醸
4位 かたふね
5位 越の梅酒
6位 久保田 紅壽
7位 COWBOY
8位 白龍
9位 越後府 純米大吟醸
10位 越乃寒梅

「鶴亀」が2つもランキングしているのが興味深い。あんまり僕が知らない銘柄だが、人気らしい。

僕が初めてこの地を訪れたのは1990年代だったが、その頃は淡麗辛口の越後地酒がブームで、特に越乃寒梅は「幻の酒」といわれ手に入れるのが難しかった。手に入っても、本来2,000円くらいの本醸造の一升瓶が1万円超えの値段だったものだ。だから、「ぽん酒館に行けば越乃寒梅が気軽に飲める!」と興奮したものだし、それがぽん酒館に行く大きな動機付けでもあった。

それが時代が流れて2016年、相変わらず越乃寒梅はトップ10の座をキープしているものの、当時の勢いはない。とはいえ、飽きられていないという証拠でもあり、やっぱり地力がある酒なのだろう。

並ぶ越後銘酒

1990年代といえば、ちょっとした居酒屋に行けば、必ず越後湯沢のお酒「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」が置いてあったものだ。その名の通り水のような酒だったけど、宴席中にカパカパ飲むにはちょうどよい酒だった。あと、八海山、久保田、雪中梅、菊水あたりが名の知れた酒だっただろうか。

この利き酒番屋のランキングというのは、人気投票ではない。利き酒された数でランキングされているわけだから、ネーミング勝負、ラベル勝負という側面もある。酒蔵の人には申し訳ないが、「COWBOY」なんていう横文字清酒がランクインしているのは、物珍しさで飲んでみる人が多いから・・・という要素はあるだろう。

しかし、名前がオモロければよく飲まれるというわけでもない。上越市のお酒「スキー正宗」なんて、かなりトリッキーな名前だけど、残念ながらランクインはしていない。

お酒吟味中

めいめい、コインを買い求め、おちょこを借り、いざ試飲開始。

一杯あたりの量は少ないし、100円だ。あんまり躊躇せず、目に付いたらどんどん飲んでみるといい。一杯の量が多いと、ハズレたときにもてあましてしまうけどここではそれがない。クイッと飲めばすぐに終わる量。

お酒を選ぶ

おやびんは「純米吟醸クラスのお酒ばかりを狙う」作戦。たくさんお酒があるので、そういう絞り込みかたもありだ。「気になったお酒を飲もう」と思ったって、あまりに種類が多すぎて「気になったかどうかすらよくわからん」状態になるからだ。

試飲中

慎重にお酒を飲むたっぴぃさん。利き酒っぽい表情。

「モンドセレクション金賞受賞」だという「きりんざん」を飲んでいるところ。

プレミアムモルツの味がした!・・・ということはないよな、さすがに。

「きりんざん」は面白いもので、ボトルの色で種類が異なっている。「ブルーボトル」が純米大吟醸、「ブラウンボトル」が純米吟醸、「グリーンボトル」が純米、「ブラックボトル」が本醸造、「ホワイトボトル」が大吟醸生酒。お店に置いてあったのは、純米(グリーンボトル)。

銘柄

よこさんがボタンをポチーと押しているのは、「伊夜日子(いやひこ)」というお酒。メダルをスロットに入れ、ボタンを押すとおちょこにお酒がちょーっと注がれる。

時々、おちょこを装着し忘れてお酒1杯をまるまる無駄にしている人がいた。ああもったいない。カップのドリンク自販機のイメージがあるのか、「カップは自動的に出てくる」という先入観があるのかもしれない。

「淡き、雅。」というキャッチコピーが記されたラベル。はあー、最近の清酒ってのはラベルが凝っているものだなぁ。昔は、全く芸がなく毛筆書体でナントカ正宗、とかそんな名前が書いてある程度だったけど。今やカラーは当たり前、「デザイン」という概念がかなり浸透している様子。

清酒ラベルのデザインといえば、むかし僕は「庭のうぐいす」というお酒(久留米の酒蔵)を飲んだことがあるのだが、そのラベルにはびっくりした。余白だらけのラベルで、その片隅に鳥のうぐいすの絵が描かれているだけだったからだ。なんだこれは、と。

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未だにその記憶は強く残っている。だから、ラベルって大事だ。「酒なんて酔ってしまえばどれも同じだ!」なんて乱暴なことは言いたくないが、酒への愛を強くもつためにも、エピソードとなるギミックは酒の周辺にあれこれ仕込んでいてもらいたいものだ。

お酒

利き酒コーナーの片隅に、「利き酒師テスト」のコーナーがあった。どうやら、銘柄を伏せた状態で酒を飲んでもらい、さてこれは何のお酒でしょうか?と当てるものらしい。これは是非みんなに試してもらいたい!と思ったが、残念ながら調整中。惜しい。

銘柄

「越後おやじ」のところに、「親父系の方にお薦めの酒」という売り文句が書いてあった。どんな系統だよ、それ。

銘柄

とにかく、昔の団地のように・コインロッカーのように、お酒がびっちりと並んでいる。こんな中で、来場者の目にとまって飲んでもらおうとするとかなり大変だ。ほとんどのお客さんは、一人5枚のコインで試飲となるだろう。場合によっては、パパが3枚、ママが2枚とか。そうなると、ますます選んでもらうのが大変だ。ラベルに力を入れないと。

銘柄

しかしこれはなんだ?絵なのか、漢字なのか。

「杜氏の晩酌」という名前のお酒だった。吉乃川酒造。へえー、こんなお酒もあるのか。

ラベルのデザインだけでなく、ネーミングもだんだん変わってきているんだろうな。でも、それでいいと思う。古くから愛されているお酒だけど、伝統芸能じゃないんだからどんどん時代とともに進化していってほしい。

塩

塩の種類が昨年よりも増えているような気がする。さまざまな塩がシノギを削っている。これを舐めて鋭気を養い、また酒に向かってくれ!というわけだ。

なお、僕のように試飲をやっていない人は塩を嘗める権利がないので、ただ眺めているだけだ。

ちなみにこの利き酒番屋、食べ物の持ち込みは認められていない。そんなことをやると、居酒屋と化してしまうからだ。あくまでも利き酒をする場なので、塩で十分。がっつり飲みたいなら、お気に入りの銘柄を見つけたのちに隣の売店でお買い求めください。

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