なにやら大量の人が踊りながら入場行進を始めた。みんな酔っ払ってるのか?というようなご機嫌な顔で、ひらひらと踊っている。なんだなんだ、何が始まるっていうんだ?
何も知らないで見ているので、「振興宗教?」と思ってしまったくらいだ。先頭を切って行進している人がなんだか「ピエロかな?」というような格好をしていたからだ。
もちろんそんなことはなく、ただたんにみんな酔っ払っているだけだった。あ、違う、それだけ楽しいんだろう。しまった、その楽しさに乗り遅れた。僕らはただ、唖然とするしかない。
どうもこれは、夏に開催されている「越後妻有大地の芸術祭」の延長戦として、「雪の運動会 越後まつだい冬の陣バージョン」なんだそうだ。なるほど、この入場行進、言われてみれば単にご陽気な人ばっかりでなく、ちょっとした手間暇かかったものがあるぞ。
大きなそりに乗った武士が更新している。
こちらは青鬼。
赤鬼もいるぞ。「ちょっと待てい!」と先行する青鬼にタンマをかけている。
こりゃ到底素人が作れるレベルではないな、と思ったら、日大芸術学部がこのイベントに関係しているらしい。なるほど、道理で。
ステージ前に、にこやかな人たちが集結。
今日は「のっとれ!松代城」の当日ではないので、まだお客さんの数はそれほど多くない。明日になると、500名規模でのっとれ!戦士がやってくるのだから、それだけでかなりの賑わいだ。
なにやらステージでイベントが始まったが、それを横目に我々は本来のミッションである「会場下見」に着手する。
まず、会場を歩いていて「これはちょっとなぁ」と全員が口にしたのが、雪面だ。温暖な気候のせいで雪が溶けていないまでもぐずぐずになっていて、とても歩きにくい。雪が溶けて柔らかいところと硬いところが混じっていて、足元がおぼつかない。
この地面だと、くるぶしまであるハイカットのシューズでないと靴の中がびしょ濡れだと思う。
越後まつだい冬の陣の会場脇に、「のっとれ!松代城」のコースの一部がある。
ステージ脇にそびえ立つのは、「騎馬止め」と呼ばれるアスレチック風のネットだ。
高さは5メートル近くあるだろうか?
「昨年までと違って、今年は雪が少ないうえに溶けてるぞ。うっかり足を滑らせて落っこちたら、クッションの役目を果たさないぞ」
気をつけなければ。落ちたら怪我をする。まあ、それは雪が積もっていても一緒だけど。
ロープの張り具合などをチェックしてみる。
「うん、よし」
なにが良しなんだかわからんけど。
そして、騎馬止めの手前にある崖。ここは毎年除雪されていないので、つぼ足になりながら急斜面を登っていくことになる。・・・が、あれえええ?
かなり溶けてしまい、茶色くくすんだ斜面がそこにはあった。
これはもう、つぼ足どころじゃない。この上をザクザクと登っていくことになる。
「大丈夫かな?今晩急に冷え込んで、ここがツルッツルに凍結しないかな?」
さすがに危ないとなったら、主催者はストップをかけるだろうけど。なにせ主催者は地元だし、雪のプロだ。
「あああ!」
雪がかなり溶けた斜面から視線を先に向けると、水処理施設があるあたりはすっかり雪が溶けていた。アスファルトが剥き出しになっている。
例年、ここは「馬落とし」と呼ばれる、人の身長ほどあろうかという段差をいくつも乗り越えていく障害が設けられている。しかしこれじゃ、とてもじゃないが無理だ。
「というより、ルートはどうなってるんだ?どこに馬落としを作っているんだろう?」
本来なら、写真だと画面左側からやってきて、この崖をよじ登っていくことになる。しかし、画面左側に道はないようだ。コースの境界線を示すピンク色のテープを目線で追いかけていくと、どうやらコースは画面右側へと向かっているようだ。
「ほくほく線の高架橋があるあたりを走るの?かなり大回りになりそうだぞ?」
えー、面倒だなー。ただでさえ呼吸困難なので、とっととレースを終わらせたいのに。
視界に入らないところに別途「馬落とし」を作ったのか、それとも馬落としという障害は今年は無しになったのか、現状では判別不能だった。明日になって、公式アナウンスを待たなくちゃ。
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