栃木市を後にし、北に向かう。今日はお昼ご飯を宇都宮で食べる計画なので、宇都宮方面を目指す。
その途中に、「えっ?」と思わず地図を二度見してしまう、そんな駅がある。
「おもちゃのまち」駅。
東武宇都宮線の駅だ。
都心に住んでいる人は、あまり東武宇都宮線とは縁がない。日光方面に観光に向かう時は、新栃木から東武日光線に分岐するからだ。そして、宇都宮に用事がある人は、JR宇都宮線を使うことが多い。
だから、沿線の駅名なんて全然馴染みがないものばかりなのだけど、これには驚いた。「おもちゃのまち」駅だぜ?
最初、「おかしのまちおか」なのかと思ったけど、ちゃんとした駅名だし、ちゃんとした地名でもある。この駅周辺には、「おもちゃのまち1丁目」から「5丁目」まである。
高度経済成長期に、玩具メーカーを積極的に誘致した歴史があり、そこからつけられた地名だという。それにしても地名、随分思い切ったな。賛成も反対もあっただろうけど、こうやってインパクトがある地名を付けたのは結果的に良かったと思う。
ほら、よくあるじゃない。「東○○」みたいな東西南北がついただけの地名とか、「新○○」っていう地名。全然面白くないし、記憶に残らない。それがどうだ、「おもちゃのまち」。我が軍は圧倒的じゃないか。あと10年は戦える(マ・クベ談)。
そんなわけで、「おもちゃのまち」の中には玩具メーカー大手のバンダイナムコ、トミーテック、エポックなどが工場や事業所を構えている。その一角にあるのが、「バンダイミュージアム」。
今回、初めてこの地を訪れた。いやー楽しみだわ。小学生時代はガンプラに憧れまくっていた世代なので、「バンダイ」という名前はある意味「神」に等しい。
昔は町の文房具屋などでもプラモデルを売っているのは当たり前で、ガラスのショーウィンドー一面にプラモデルの箱を積み上げ、建物の外からでもプラモデルの在庫状況が見えるような展示になっていることが多かった。子供達は毎日にようにそのガラス窓を覗きに行き、ガンプラが入荷していないかどうかをチェックしていたものだ。
昔は自転車でうろつける範囲に文房具屋や駄菓子屋、おもちゃ屋が何軒もあったから、頻繁にそれらのお店をハシゴして確認をしていたものだ。それくらい、ガンプラというのは1970年代から80年代にかけて、貴重な存在だったし争奪戦の対象だった。
ショボい文房具屋だと、ガンプラは置いてあるのだけど、明らかに誰も買わない「ボール」とか「ビグザム」といったものばかりで、もの悲しさがあった。
このあたり、語り出すときりがないので以降省略。
バンダイといえば、静岡に生産拠点があるというのは聞いていたけど、栃木県にミュージアムがあるのは知らなかった。二階建てのミュージアムとなっている。
中に入ると、1/1スケールのRX-78ガンダムがお出迎え。さすがだ。
「Ver.カトキ」みたいな凝りまくった作りではなく、シンプルな、昔1/144スケールで作ったガンプラ的なガンダムだった。
何を言ってるかわからないって?いやもう説明するの面倒くせえから、許せ。ガンプラひとつとっても、MGとかHGとか語り出すとキリがない世界だし。
数年前、等身大のイングラム(パトレイバー)がお目見えしたことがあったけど、あれを見ても大してワクワクはしなかった。パトレイバーの世界観が「作業用機械」の延長線上として「レイバー」が登場し、そのレイバーを使った犯罪を抑止するために人型のパトロールレイバーを作った、という話だからだ。現実の世界の延長線上にある、リアル感があるロボットがパトレイバー。一方、ガンダムって悪く言えば荒唐無稽なロボットだ。荒唐無稽の方が、子供心をわしづかみにするのだろう。
だって、ミノフスキー粒子だぜ?すげえよな、その発想・・・いや、もうやめておこう。
1/1ガンダムの傍らに、「かえるのことばみつけクイズ」というコーナーがあった。
どうやら、館内のあちこちにかえるが潜んでいて、それを見つけ出してかえるに書いてある言葉を転記してね!全部揃えるとプレゼントがあるよ!という企画らしい。
ほほう、せっかくだからやってみよう。
あ。あった。
「る」と書いてあるカエルが、吹き抜けのロビー二階にいた。
おい、よくみるとあれは楳図かずおの絵だぞ。目が独特だし、よーく見ると左手が「グワシ」のポーズになっている。
多分昭和40年代生まれの人ならば大はしゃぎできる施設だろうけど、果たして平成生まれの人は、ここに来て楽しいと思えるかどうか・・・。ちょっと世代間ギャップはありそうな気がする。
「JAPAN TOY」というコーナーに入ってみる。
ずらっと並ぶおもちゃ、人形、その他もろもろ。
写真撮影OKというのが心地よい。
あー!!
これ、ウチにあった!
「たまいれ運動会」。
兄貴とやってたなあ。
これはエポック社のおもちゃだけど、バンダイミュージアムではメーカーを問わずおもちゃを蒐集しているらしい。
なんだか、ウルトラマンたちが授業中。
このウルトラマン人形、関節がよくできているのでみんな好き勝手なポージングをさせられている。
というか、なんで授業中なんだ?
ウルトラマンは僕も幼少期見ていたけど、1974年生まれの僕は少し世代がずれている。再放送で見ていたクチだけど、ガンダムのようにははまらなかった。せいぜい、1980年に公開された「ウルトラマン80」というものをリアルタイムで見たくらいか。
ウルトラマンの身体に青い色が混ざっているのなんて、一体何者なんだ。全然知らない。
ウルトラマンだらけ。
比較的集めやすいおもちゃだったのか、このミュージアムの学芸員の趣味なのかはよくわからない。
僕としてはタイムボカンシリーズとかガッチャマンといったものを題材にしたおもちゃがもっと見たかった。
若干カオスでもある。
なんだこのウルトラマンは。マスクを脱いじゃ駄目だろ。
昔のロボットアニメは、名前からしてすごいよな。今見ると。
「UFOロボ グレンダイザー」
「惑星ロボ ダンガードA」
「大空魔流ガイキング」
「闘将ダイモス」
どれも無駄に強そうだ。僕と世代が違うのか、あんまり知らない名前だけど、もし僕が悪人ならば名前を聞いただけで震え上がってゴメンナサイしてしまいそうだ。
そんな中、我らがタツノコプロはやっぱり違うなあ。「とんでも戦士ムテキング」だもの。展示されている超合金おもちゃが「トカゲッテル」だもの。愛しいぜ、タツノコプロ。なにせ敵は「クロダコブラザーズ」だぞ?
異様なまでのフリーダムさはこんなところにも。
何故かコインランドリーからコンニチハ。それにびっくりするピンク色3人。
戦隊もののキャラクターらしいけど、こんなシチュエーションは劇中になかっただろ、さすがに。
そもそも、なんでコインランドリーの床が畳表なんだよ。どうなってるんだこれは。
あー、このあたりはドンピシャで世代っすわ。
任天堂の「ゲームウォッチ」が人気を博す一方で、専用筐体を持つビデオゲーム玩具が1980年代前半は多数存在していた。「ソフトウェアを交換して、同じゲームハードでいろいろなゲームを遊ぶ」という今からすると信じられない時代だ。
野球場の形をした野球ゲーム、釣り竿の形をした釣りゲームなど様々あったものだ。
(つづく)
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