09:19
のどかな里山の風景。あずまやがあり、休憩に最適。
体がかなり重たい。シーズン始めということもあるし、昨年山に登っていないからでもある。それ以前に、露骨に足音を立てて迫ってくる老化。たりー、かったりーと老化さんはぼやいている。
ついついそんな声を聞き入れてしまいたくなるけど、歩き始めて早々で休むわけにはいかない。
もしあずまやに先客がいなかったら、ここで「ちょっと一休み」をしていたと思う。で、「お日柄も良いことだし、ここでしばらくのんびり過ごしても良いのではないか」なんて都合のよいことを言い出した可能性が大だ。
2015年の温泉療養シリーズで、「根を詰めないこと。目標をあまり設定しないで、だらっと過ごすことがいい」ということを学んだ。その経験を前提にすると、「山頂を目指すぞ!キツくたって頑張る!」という今まさにやっている行為はなんともよろしくない。「やめて下山しようぜ」と頭の中で囁き声が聞こえてくる。
やめろやめろ、そんなことを言い出したら、「筑波までやってくる必要なんてなかったんじゃね?」「外に出ないで、家でのんびりしてりゃいいんじゃね?」「そもそも生きている必要、なくね?」とどんどん後ろ向きなシンキングになってしまう。とりあえず前へ進め。前へ進んでから考えよう。進む前から考えるのはダメだ。
09:22
おかしい。あれだけ平野からポコンと突き出ている筑波山なのだから、ゆるゆるとした上りであるわけがない。結構急な上りでないと帳尻があわない。
目の前の、のどかな登山道。だからこそ、むしろ警戒しまくっている。このあとに絶対ガツンとくるぞ、と。
09:25
良い天気です。梅雨シーズンなので登山の計画が立てにくい時期だけど、晴れてくれれば近場の山に行くには最適。あと一ヶ月もすれば、筑波山のような低い山は灼熱だ。もっと高い山にいって、ヒンヤリしたほうが気持ちいい。
09:27
よく歩かれている道。特に歩きにくいカ所はなし。
09:29
筑波山にはいくつもの登山道があって、そのうちの一つ、今歩いているのがつつじヶ丘から弁慶茶屋跡までの短いルートが「おたつ石コース」。
山頂まであと1,200m。
09:38
森の中、ぽっかりと広い場所に出た。ここが弁慶茶屋跡らしい。休憩している人もいるけど、まだ登山開始から間もない場所でもあるので、多くの人は素通りポイントになっている。
名前からして、昔はここに茶店があったようだ。今はもう跡形もなく、面影がない。筑波山は山頂近辺に茶店が多くあるし、山頂までの距離も短い。いくら山にやってくる人が多くても、商売にはならなかったのかもしれない。後継者不足だったのかもしれないし。
おたつ石コースはここで終わり。筑波山神社から女体山を結ぶ「白雲橋コース」に合流する形になり、今後は白雲橋コースで山頂を目指すことになる。
みんな、地図の分岐点を指さして触っているらしく、分岐の部分だけ塗装がはげて白くなっている。
筑波山の北側(地図の上側)からも山頂を狙う登山道が3本ほどあるようだ。しかしこれは一般的な登山ルートガイドには載っておらず、この地図で初めて知った。やはりほとんどの人は都心方面からやってくるので、南側の登山道が栄えて北は地味。
09:44
調子に乗ってんじゃねぇーーーっ!
と急に喝。弁慶茶屋を過ぎると、がぜん筑波さんがやる気を出してきた。筑波さん舐めんなよ、と。低い山だと思ってバカにするんじゃねぇ、と。
すいませんすいません、そんなことはこれっぽっちも思っていないんですけど。本当です信じてください。そりゃあ、「あー、かったりー」とは思ってましたけど。
ほら!そこのお前!かったるかったんだろ!バカもーん!
すいません!
というわけで、目の前になにやら大きな岩が見えてきた。
「弁慶七戻り」という名前らしい。
勇猛果敢で知られる弁慶でさえも、この岩に威圧され、七度も引き返してきたといういわれがある岩だとかなんとか。弁慶、こんなところにもいたの?
日本武尊伝説、役行者伝説、弘法大師伝説が全国各地にあるように、弁慶もあちこちにその名を残しているのだな。調べてみたら、なんと北海道にも「弁慶の土俵跡」というのがあるらしい。アイヌの力自慢と勝負したとかなんとか。ホントかよ。
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