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新鹿沢温泉、「旅館 鹿澤館」。今晩泊まる宿だ。
最近は「宿に電話をかけて予約を取るなんて、面倒くさくてやってられないよ。webで予約できない宿は考慮外だ」と思っている僕。でも、この宿だけはその手間をかけてでも泊まってみたいと思っていた。
見よ、この外観。
実物を見て、やっぱり唖然とした。写真で見るより、遙かにすごい。
アンタら、この写真と記事を読んで、鹿澤館のことをわかった気になってるんじゃないぞ?実物はもっとぐぐぐっと迫ってくる凄みがあるからな?
高原キャベツの産地だけあって、朝晩には深い霧が立ちこめるエリア。だからこその、神秘性もある。
霧が晴れている時に撮影した、鹿澤館の外観。
もうね、笑っちゃうしかない。
なんだこの重厚さは。豪商・豪農の家よりも迫力があるし、お寺にしてはなんか違うし、なんとも、不思議な建物だ。
これで、旅館内には仲居さんが大勢いて右へ左へと忙しく動き回り、宿泊客が大勢いて・・・と活気があるならまだわかる。「ああ、老舗の、古い建物で有名な宿なんだね」と。しかし、この宿は全然人の気配がない。あのー、今日は土曜日なんですけど。
そもそも、宿自体が積極的にお客さんを招こうとしていないように感じる。だからこそ、神秘さが増す。
建物の入口近くに、
誠に恐れ入りますが、敷地内での散歩・見学・撮影等、ご遠慮下さい
という注意書きが掲げられていた。
えーと、これはたぶん外来のお客さんに対してのことだよな?さすがに宿泊客はオッケーだろ。今まさに撮影しちゃってるけど。
確かに、こんな建物を見てしまうと、つい敷地内に侵入して写真を撮りたくもなる。でもダメだぞ、明確に「禁止」と謳われているんだからな?
散歩・見学・撮影を僕らがしているのは、宿泊客の特権だ。えへんえへん。
重厚さがある鹿澤館の入口。たばこのショーケースが玄関脇にある、というのが不思議だ。昔はここでたばこを売っていたらしい。
そうか、たばこを吸う人が多かった昔は、宿泊客が仲居さんに「おい、たばこを買ってきてくれ」と注文することが多かっただろう(今でこそ殆どないけど、昔は結構居酒屋とかでも当たり前の光景だった。そのつど店員さんが買いに走った)。かといって、近所にコンビニがあるわけでもないので、たばこの取り扱いをしていたと思われる。
さすがに今はたばこの販売を行っていないので、ガラスのショーケースには斜めにシールが貼ってあった。そしてそのシールは「マイルドセブン」と書いてあった。マイルドセブン!古い。今でいうところの「メビウス」だ。
入口脇には、「立ち寄り入浴は受け付けていない」という看板が出ていた。つまり、この宿の中に入ることができるのは、僕らのような宿泊客限り、というわけだ。これは楽しみだ。
鹿澤館の中に入ったところ。
味わいがありすぎる。壁にはボンボン時計、そしてたくさんの写真と賞状などが吊り下げられている。
古い家にいくと、この手の「写真や賞状を壁から斜めに吊り下げている」光景をよく見かける。これは、一軒家に住んでいると当たり前の光景なのだろうか?僕はずっと都会のマンション・アパート暮らしなので、こういう光景が結構珍しく感じる。
特に、東京に住んでいる都合上、「地震が起きたら落ちてくるな。危ないからこれは真似できない」と保守的な考えになってしまう。こういう発想はダサいでしょうかどうなんでしょうか?
いろいろな電話機がロビーに置いてある。
これは・・・民芸品のようだけど、「こけし」と呼んで良い物なのかどうか。
玄関脇に、がらんとしたロビー。
ピアノが置いてあるし、イベントに使えそうな広さ。
しかし、人の気配は全くない。時が止まったかのようだ。
フロント脇に、応接スペースもある。
しかし、誰もいない。
フロントでチェックインの対応をしてくれた方以外、まったく人と出会わない。
(つづく)
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