海沿いの緑地は、すっかり人の数が増えてきた。みんな、戦利品を手に大いに喰らい、飲んでいる。
今日この場では、すべての日本人が等しくアメリカンだった。
場慣れしている人はレジャーシートを持参しているし、テントを持ってきている人までいる。
長丁場を楽しむ気、満々だ。しかし、うっかりビーチパラソルのような「細長いもの」を基地内に持ち込もうとしたら、基地入口の保安検査場で引っかかっていたかもしれない。銃器の類ではないか、と疑われるからだ。
あくまでもここは基地なので、調子に乗ってなんでもかんでも持ち込んじゃダメだ。どこまでが許容されるのかは、挑戦したことがないのでわからない。
「俺たちも自前でバーベキューをやろうぜ」と、基地内に炭火グリルと肉や野菜を持ち込むのはアリか無しか?「冷たいビールやジュースが飲みたいので」といって、大きなクーラーボックスを持ち込むのはありか?・・・いや、基本的にダメだろ、公園じゃないんだぞここは。
じゃあ、フリスビーは?・・・武器と思われるから、見つかったらダメだと思う。
タコベルが屋台を出していた。
タコベルといえば、アメリカでは結構な店舗数を持つタコスのファーストフードチェーンだ。僕自身アメリカに行った際に食べ、おいしいと感心したものだ。ではなぜ日本に進出しないんだ?・・・と思っていたら、2015年にいよいよ日本にも上陸した。しかし、店舗数はまだまだこれからの発展だ。
基地内にタコベルの実店舗がある、というのはGoogleマップで横須賀基地を見てみるとわかる。しかし、残念ながらそのお店はイベントに開放されていないエリアにあるため、我々が食べることはできない。
しかし目の前にタコベルの屋台が!しめた!・・・と思ったら、なんだか違うもの売ってるんですけど。
シナモンツイストとナチョ・チーズ、だって。いずれも500円。すまん、いらない。
しかもこのお店、どっちかの料理を買えば、緑色のオリジナルTシャツをプレゼント中なんだそうだ。それは安い。シャツの胸にはタコベルとNEX(Navy EXchange)のロゴ、背中にはJapanと描かれたイラスト付き。全世界数千店舗を誇るタコベルでも、このロゴTシャツを着ているのはごくわずかだろう。愛好家(?)にとってはプレミアムな価値があるかもしれない。
でも、すまん、いらん。
こちらは有限の胃袋と財布なんだ。入念に選別していかないと、キャパシティオーバーになってしまう。
難しいのは、慎重になりすぎて、結局不完全燃焼のまま基地を後にすることだ。それだけは避けたい。適切なところでえいやっと財布を開放させないと。
350円でビールを売る屋台。
「KANPAI CHEERS」
と書いてある。
KANPAI、という名前のビールが存在するのかな?と思ったが、カウンターの奥を見るとバドワイザーとミラーの段ボールが山積みになっていた。
先ほど見かけた「シャーキーズ生ビール」もいいけど、こうやって缶でビールを買えば、飲むタイミングを自分で調整できる。カップにビールを注がれてしまうと、その場で飲まないとどんどん泡が消えてしまうから。なのでこれはこれでニーズがありそうだ。
毎度おなじみ、アンソニーピザ。ネイビーフレンドシップデーの顔のひとつ。
まだ時間が早いせいで、これを手土産として紐でぶら下げながら帰宅の途についている人は少ない。あともう少しすれば、そういう光景が基地内のあちこちで見られるようになる。
さすがにこれを基地内で食べるのはばかばかしい。ひとつ買っただけで、2~3人がおなかいっぱいだ。ほかの料理が食べられなくなってしまう。
毎年、為替レートと物価変動で値段がコロコロかわるこのお店だが、今年はペペローニが1,800円、ミックスが1,950円というプライスだった。
で、今年も「ピザ工場」店テントが用意されております。いったいどこからこれだけの人数を確保したの?というくらい、大量の人がせっせとひたすらピザを焼いている。壮観だ。
ここまでマシーンのようにピザを焼いている現場って、日本広しといえどもなかなかないと思う。
なにしろ、秒単位で次々と焼きあがったピザが釜から出てくるんだもんな。ベルトコンベアで、ゆっくりと。
「ゆっくり」でも、上下二段同時にベルトコンベアが動いているし、ピザのすぐ後ろに次のピザが控えている。焼ける枚数は驚異的だ。
さらに、焼き釜がこれ一台ではなく、何台もずらーっと連なっているのだから驚きあきれる。それだけ焼いても、どんどん売れていくのが今日と言う日。よーし、僕も今日はどこかでのお店でピザを買おう。
フードコートがある建物の軒下では、長机を並べただけの屋台が何店舗も続く。このあたりの売り子さんも、みんなタコベルの緑色Tシャツを着用している。ただ、タコベルの店員さんというわけではなさそうだ。タコベルとは無縁のものも売っているし。
レーサーが着用するレーシングスーツに、スポンサー企業のワッペンが貼り付けてあるのと一緒・・・だろうか?
フードコート内で中華惣菜を売っている「マンチュー・ウォク」が屋台を出していた。丼ものを扱っているというのが、米軍基地っぽくなくてむしろ面白い。
「モンゴリアンビーフ&ライス」「オレンジチキン&ヌードル」なんてメニューがある。
酷暑の外にこの手の料理をずらずらと並べておくと、すぐにいたんでしまいそうだ。だから、サンプルだけを展示して、在庫はケースにしまっていた。
ハーシーズの「トリプルチョコレートブラウニー」だって。700円。
うーわーあー、甘そう、くどそうなチョコレートが山積み。
これ、こんな状態で置いていたらベッタベタになってしまうんでは?と心配になるが、とりあえず大丈夫らしい。そこまでチョコの塊というわけではないようだ。
ダンキンドーナツも、負けじと甘さ自慢。ドーナツをこれでもかと詰め合わせたものを売っていらっしゃる。デブになりたい?なあに簡単さ、まずはこの箱を全部平らげるんだ。話はそれからだ。
シナボンも頑張って、箱詰めのシナモンロールを山積み。ぱっと見ただけで甘そうなロールが箱の中からこんにちは。
「甘そうですね」
と店員さんに声をかけたら、
「ええ、一般的な日本人の感覚からいったら、甘いと思います」
とこたえが返ってきた。
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