11:07
道がコンクリートの舗装に変わっている。そこに、「これより石鎚神社中宮成就社です」の看板。ようやくこれで、石鎚山登山の入り口にたどり着いたことになる。
ロープウェーの山頂成就駅から徒歩20分ちょっと。
11:08
おお?なんか建物が見える。神社・・・ではなさそうだが。
ひゃあー。鳥居と、その両脇に控える売店群。知らなかった、ここは山上集落を形成しているのか。
集落、と呼ぶには大げさかもしれないけど、まさかこんなロープウェーから徒歩20分もの場所にお店やらなんやらがあるとは。まったく想定していなかっただけに、驚いた。ひっそりと神社がある程度だと思っていたのに。
石鎚山なめんな、ということだな。だてに朝3時からロープウェーが運行されているわけじゃねーぞ、と。それだけの人が集まる場所だからこそ、それなりの施設だってある。コンビニだって・・・いや、さすがにそれはあるわけないか。パンとかおにぎりを毎日どうやって運搬するのよ。
11:09
日の出屋旅館。
時期でないからか、一階のたたき部分はがらんとしている。廃業しているようには見えないので、シーズンになると参拝客でにぎわうのだろう。
こちらの建物も、営業をしていない。
平日だから、だろうか?
仮にも日本百名山。この時期、大勢の登山客が訪れてもおかしくないのだけど、周囲を見る限りさほど人の数は多くない。百名山百名山とキャッキャはしゃいでいるのは、それらの山々にアプローチしやすい関東近郊の人だけなんじゃないのか?と思えてくるくらいだ。
成就社の手前には、営業をしているお店もあった。旅館兼みやげ物屋兼食堂、といった風情だ。軒先に長いすが出て、道行く人の休憩を促している。今はまだここでくつろぐわけにはいかないけど、下山時には一服したいものだ。
一番神社に近いところにある建物は、「石鎚山修験道 神具・仏具・ホラ貝」を売るお店だった。先ほどの郵便やさんも、ここでホラ貝を買ったのだろうか?
それにしても、「神具」と「仏具」を一緒に売っているというのがややこしい。神仏習合ならではだ。
で、いよいよ石鎚神社成就社。
ええ!山中にこんな立派なお社があるの!とびっくりするスケール。良くも悪くも、最近の僕は事前学習をないがしろにする。だから、こうやって現地に到着してみてびっくりすることが多い。これがまさにそれで、まったく想定外だった。
そもそも無人の神社だと思っていたのだけど、ちゃんと神官さんがいるし、お守りなどを売る場所もある。そもそも、「ロープウェーが早朝から運行される」7月頭の大祭のときは、山開きもかねていて、この成就社からご神体を担いだ勇猛な人々が山頂まで駆け上がるのだという。そのお祭りはとても有名らしい。残念ながら僕は初耳だったけど。
山の上では水は貴重。手水を使うところは、水が枯れていた。ひしゃくに水をためるためには、プッシュ式の蛇口で水を一定量出す。
成就社境内案内図。
大きな本殿があり、その脇に「見返り遥拝殿」という石鎚山を見上げることができる位置の社殿がある。見返り遥拝殿と本殿の間には、八大竜王社という小さなお社があるのだが、その周辺には円陣をくんで座って瞑想する人たちがいた。何かいい感じで瞑想ができる場所なのだろうか?
成就社由緒が書いてある。
変わった名前の神社だけど、これは役行者が修行を全うした際に「わが願い、成就せり。」と言ったからだとか。
じゃあ、ここに祀られている神様は役行者そのものなのかと思ったら、そうではなく「石鎚大神」。アマテラスさんのお兄さんに当たる方だそうだ。
しかしこれが神仏習合の時代は「石鎚蔵王権現」でもあったわけで、今では「石鎚大神」は石鎚神社に祀られ、「石鎚蔵王権現」は前神寺に祀られている・・・はず。ややこしいので、僕の理解が正しいのかどうかちょっと怪しいけど。
いずれにせよ、俗人的に開祖となる人そのものが宗教の象徴ではない、というのが特徴だ。
成就社向かいにある白石旅館の玄関。「民芸茶屋」を名乗っており、軽食を食べることができるようだ。おにぎり、かきあげうどん、カレーライスといったメニューが並んでいる。ちなみにカレーライスは700円。
この茶屋に限らず、お店を開けているところはどこも「あめゆ」なるものを売っているようだった。この界隈の名物らしい。水あめを温め、しょうがを入れたものだ。体が温まるし糖分補給ができるから、登山で疲れた体にはうってつけだと思う。
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