終バスまでに下れ【両神山】

登山道

11:22
なにやら前方に団体が集まっている。

単なる休憩のようだ。

休憩しているそばに、標識が立っている。これ幸いと、この地を休憩場所に選んだのだろう。

人間、立ち小便をする際には、木が生えていたり壁だったり、そういう「何か目印になるもの」を好む。だだっ広い空き地では、普通立ち小便はしない。

それと同じで、登山中に休憩する場合、何か明確な目印がある場所が好まれる。標識があるとか、ベンチがあるとか、つづら折れで道が折り返している場所とか。

石碑

虚空蔵童子、と書かれた石碑が建っている。

「廿八丁目」という記述もあることから、ひょっとしたらこの登山道沿いに昔はたくさん石仏が立っていたのかもしれない。そういえば、「表参道」という言い方をしてたっけ、この道。

石仏

え、ひょっとしてこの人が「虚空蔵童子」さん?なんか怖いんですけど。剣を持ってますやん。目がつり上がって、髪が逆立ってるし。

不動明王じゃございませんか?「わらべ」と呼ぶにしては随分オッサンっぽい。

・・・と思ったら、半分正解で半分間違い。不動明王は36人の「童子」を従えていて、その二十八番目が「虚空蔵童子」なんだって。へええええー。なるほど、だからさっきの石碑に「廿八丁目」って書いてあったんだ。てっきり百丁目まで続くのかと思ったけど、ラストは卅六丁目ということなんだろう。

ちなみに虚空蔵童子さんは「無限の慈悲を現す」という意味があるんだって。無限の慈悲でこのお顔。「怖い」と僕が感じてしまうのは、やましいことがたくさんあるからなのだろう。ああ心を清めたい。

ちなみに不動明王は大日如来の化身なので、こういう像があるということは真言密教系というわけだ。あれ?修験道はこの山にはないと思っていたけど、どうやら存在したんだな。現存しているのかどうかは不明だけど。

登山道

11:26
傾斜がきつくなってきた。きついのぅ、きついのぅ。

こういう斜面は、明確な休み処がないのでヒイヒイ言いながらひたすら登り続けることになる。

登山道

11:28
途中道を一回間違えたのは内緒だ。踏み跡がけっこうあるので、登山道を見誤ることがあった。行き止まってしまったので、無理矢理目の前の崖をよじ登ろうとしたが、柔らかい土でズルズルと体が滑ってしまい、断念。おとなしく今来た道を戻った。

鎖場

11:31
さりげなく鎖場もあるのです。

この鎖は、手すり程度の位置づけであって、これがないと登れないというわけではない。

登山道

11:35
白い標識が見えてきた。

左に向かえば「白藤の滝」。徒歩5分だという。「転落注意」と赤字で書かれている。

滝を見に行くのも乙なものだけど、まだ僕はこの時点で15時台のバスを諦めきっていない。ひょっとしたら乗れるかも、という淡い期待を胸に、わっせわっせと登山中。もし立ち寄るとしたら、下山時にしよう。

まあ、15時台のバスは無理なんだけど。間に合うわけがない。

石仏

11:40
おっと、ここにも石像が。

やー、物騒だな。ここでも刀持ってるよもー。

ええと、妙空蔵童子さんだそうです。33番。

登山道

11:40
木の根っこがウネウネしている登山道を歩く。

なんでよりによって登山道のところだけ木の根っこが・・・他の土地は土で覆われているのに・・・と思う。いや、違う違う、登山道を整備して、そこを人が歩くものだから土が削れて、地中の木の根っこが浮き彫りになったんだ。

こういう木の根っこは、濡れていると滑りやすい。雨の日は気をつけないとつるっと滑って怪我をする。

清水

11:50
おー、「弘法之井戸」に到着。石棺に二本の塩ビパイプが刺さっていて、そこから清水がこんこんと流れ出ている。もちろん、飲み水になる。

ありがたくのどを潤す。

やっぱり「弘法」という言葉が出てくるあたり、真言密教なんだな。弘法大師(空海)から名前を取っているのだろうから。

ヤマトタケルノミコトがこの山に登った、とか役行者がここで修行したとか、いろいろ伝説はあるようだ。弘法大師がここを訪れたというのはさすがにないと思うけど・・・どうなんだろうか。

登山道

11:52
弘法井戸を過ぎたあたりで、沢はほぼ枯れてしまう。川の最上流までやってきた、ということだ。

登山道


12:02
丸太が転がっている。まだ伐採してさほど時間が経っていないようだ。

太い幹で立派な木だけど、これを下界まで引っ張って、木材として売る・・・というわけにはいかないな。その手間とコストを考えたら、到底手が出せない。

そろそろ清滝小屋に到着するはずだ。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください