10:14
このあたりは「馬の背」という場所らしい。
普通、「馬の背」といったら両側が切り立った稜線のことを指す。まるで三角木馬のように、稜線が細い場所というイメージがある。
しかし天城縦走路における「馬の背」は、馬というよりもゾウといった風情で、特に切り立った感じにはなってなかった。
写真を見ても分かる通り、緊迫感が全然感じられない、穏やかでのどかな山道だ。そもそもここが稜線であるのかどうかさえも、はっきりしないくらいだ。
くっきりとした稜線ではない道を歩く、というのがこの天城縦走路の特徴だ。なので道迷いを起こしやすく、後半になってくると進行方向がわからなくなる局面が何度もあった。
おっと、天城高原ゴルフ場を見下ろす場所があったぞ。
これは確かにすごい。
なんでこんな辺鄙な、山奥まで苦労して車でやってきてゴルフをやるんだ?と思ったが、開放感が素晴らしい。
相変わらず、ここからでも時折カツン!とゴルフボールをひっぱたく音が聞こえる。かなり距離が開いているはずなのに、音が響くものなのだな。
10:19
面白そうなエリアにやってきた。
木の形が何やら独特で、うにゃああああ、とねじれている。地味に、非日常感がある。
看板には、「アセビのトンネル」と書いてある。ここから先、アセビの木がトンネルのように登山道の両側を包み込んでいるらしい。
アセビという木はあまり馴染みがない。「アケビ」の間違いじゃないか?と思ったけど、そうじゃなくてちゃんと「アケビ」。漢字で書くと、「馬酔木」になるんだって。毒がある植物で、馬が食べると酔っ払ったようにフラフラして苦しむのだという。危ないな。
これがアケビのトンネル。やあ、楽しいなこの山歩きは。
登山は良い展望がなくちゃダメ、というわけではないことがよくわかる。
10:19
アセビのトンネルの脇に、真っ赤な植物の実がなっていた。
かなり立派で堂々としているので、「これがアセビの実なのだろう」と勝手に思い込んだ。でも後で調べたけど、どうも違うっぽい。すいません勘違いでした。
アセビはツツジの仲間らしいので、こういう実はならない。
10:21
では、これがアセビだろうか?
違うなー、おじさんこれ違うと思うなー。きのこでしょうさすがに。
「赤くないきのこは毒がない」という法則があるなら、今晩のおかずになるのに。知らないきのこを摘んで、毒にあたって死ぬのは嫌だ。間違えてもお持ち帰りしないように。
そもそもここは富士箱根国立公園内に位置するので、草木の持ち帰りは禁止だ。
ちょうどトンネルになるように、登山道が少しえぐれた状態になっている。
10:23
ああ、これはもうトンネルですわ。誰がなんと言おうと、トンネルですわ。
トンネルを越えるとそこは雪国であっても、誰も文句言いません。
10:30
トンネルを抜けると、万三郎岳が頭上に見えた。
えー、あそこまで登り返すのか。面倒だな。結構標高差がありそうだ。でも、あそこが本日の最高地点になるのだから、あともう少しとも言える。あの山を越えれば、まだまだ距離は長いけど、下る一方だ。
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