2016年11月20日(日) 2日目
07:33
2日目の朝。
どうだ、だらだらと文章を書くおかでんでさえ、昨晩から今朝にかけて、淡白な書きっぷりだろう?
さすがに二度目の宿泊、しかもわずか半年での再訪ともなると驚きも興奮もない。特に教育施設なので、「旅情」とか「風情」というものが皆無な施設だから。
とはいえ、食事のつど新鮮な驚きがある。しつこくて申し訳ないが、「一泊二食3,650円なのに、こんな朝ごはんが!」と、値段を引き合いに出してしまう。
さばの塩焼きをメインに、がんもどき、サラダ、野菜小鉢などが並ぶ。生玉子はさすがにないものの、納豆、味付け海苔がついている。
「これで一体何杯ご飯を食べればよいのだろう」
うーん、とうなってしまう。
いや、別にご飯をおかわりしなくてもよいのだけれど。でも、3,650円の宿で、ご飯とおかずのバランスを考えながら食事をすることになるとは。贅沢だなあ。
09:21
宿を出発する。
今日は昨日とうってかわって快晴。紅葉が青空に映える。美しいのだけど、寒々しさも感じさせる。もう冬は近い。
今日もまた日光そばまつりに行く、という気にはならなかった。ついさっき朝ごはんをしっかり食べたばかりだ。内緒だけど、ご飯を二杯食べた。いや、三杯だったか。このまったりした状況で、「さあ、今日もそばだ」とは思わないし、連れに提案する気もなかった。
かといって、「エアーズロック」と称される巨大豚肉料理を食べる機会を逸してしまったので、宇都宮方面を目指す気にもなれない。ひとまず、中禅寺湖を経由して群馬県の沼田方面に抜け、関越道で帰京することにした。
09:33
いろは坂に向かって走る。
紅葉シーズンは渋滞のメッカだと聞いている場所だけど、今日は車が少ない。もう紅葉シーズンは終わり、ということなのだろうか。
お天気が良いということもあって、快適なドライブ。しかし寒い。
日光・霧降高原界隈の観光そのものは半年前にやっているので、思いっきりスルーする。
09:50
明智平でひといき。
背後に、男体山の雄大な姿が見える。
火山性の山で、禿山・・・だったっけ?いや、違うな、木が生えているのだけど、もう冬の装いで落葉してしまったんだ。
やべえ、もう冬じゃん、ここ。
明智平の駐車場に車をを停めているわずか10分足らずの間に、次々と車がやってきた。やっぱり紅葉シーズンの余韻、ということでここを訪れる人は多いようだ。あっという間に駐車場がほぼ埋まってしまった。
男体山は日本百名山なので、いずれこの山も登頂することになる。富士山のように美しい山容だけど、それはすなわち「ひたすら登り続ける、しんどさMAXの登山道が待ち構えている」に他ならない。かなりしんどそうだ。特に真夏の灼熱の際に登るのは、キツいと思われる。
幾重にも重なる砂防ダム・・・と思ってよく見たら、いろは坂の下り専用道路だった。
日光いろは坂は一方通行の道路で、登り専用の道とは別に下り専用の道もある。眼下に見えるのは、くだり専用。
ずいぶん無理をして道を造ったんだな、というのが遠目からでもわかる。山の斜面に沿って作りました、というわけではなく、コンクリートの土台がせり出している。だから遠くから見ると砂防ダムに見えるのだった。
せっかく朝から日光にいるのだし、普段立ち寄らないような場所に行ってみることにした。
いろは坂を登りきった先、中禅寺湖のほとりに「昔の、イタリア大使館の別荘」があるというのを聞いたことあがる。こんなところに別荘を作っていたのか!と驚かされるが、国の威信をかけた(?)別荘がどんなものか、興味がある。
これまで、いろは坂を登りきったら、その開放感からファーっと戦場ヶ原方面に突っ走ってしまっていた。しかし、その気持ちをぐっとこらえ、湖岸を時計回りに回る。
途中、中禅寺というお寺があった。あ、そうか、「中禅寺湖」って名前の湖があるんだから、当然「中禅寺」というお寺が近くにあるはずだよな。今頃になって、お寺の存在に気がついた。
「おい、中禅寺があるよ中禅寺が」
と連れに声をかけているあいだに、そのまま車は素通り。とっさ過ぎて、立ち寄るという選択肢が出てこなかった。
ナビに従って、中禅寺からさらに奥に進む。だいたいこのあたり・・・というところまでやってきたのだけど、それらしきものが見当たらない。そもそも、駐車場すらない。湖岸の道だけだ。
10:09
なにやら違うっぽい、ということで首をひねりながらUターンしたら、「イタリア英国大使館別荘記念公園入り口」というバス停を発見した。いや、入り口ってどこよ、と思ったら、車は入れない歩道が、車道の脇から分岐していた。これか!
てっきり、別荘脇にバーンと車を横付けでき、往年のイタリア大使気分に浸れるのかと思った。でも現実は、ちょっとばかし遊歩道を歩かないといけないらしい。
ええと、このあたりに駐車場はないな。もう少し道を戻らなければ。
あ、この歩道で間違いない。
イタリア大使館別荘記念公園まで0.5kmと書いてある。
しかしちょっと待てよ、観光ガイド本では見かけなかった、「英国大使館別荘記念公園」という記述もある。そんなものもあるのか。
ここは、昔は別荘銀座だったんだな。
地図があった。
見ると、確かに遊歩道に沿って、英国大使館別荘があって、その先にイタリア大使館別荘が並んでいる。
今でこそ整備された鉄道と道路があるけれど、昔はこの地に訪れるだけでも大変だったはずだ。まさか滞在は一泊です、というわけにはいくまい。苦労してここまでやってきたからには、数日、なんなら一週間は滞在しただろう。その間、東京の大使館はつつがなく業務が行われていたのだろうか。のどかな時代だったのかな。
昔の大使たちが歩いたかもしれない道を歩いていく。
10:13
英国大使館別荘記念公園の看板が見えた。
英国大使館別荘。
もともと、アーネスト・サトウの別荘だったものが、英国大使館別荘になったのだそうだ。
黒っぽい外観で、和風建築。イメージしていた西洋建築とは違う。でも、この質実剛健な、カタいデザインがとても心地よい。
湖畔に面した側は、窓が大きく確保されていて、奥日光の朝晩を存分に楽しませてくれるだろう。
英国大使館別荘公園から中禅寺湖を眺めたところ。
いやあ、これはすごいな。わざわざここを避暑地にする理由がよくわかる。たぶん、この景色は実際に英国大使が滞在していたころと、ほとんどかわりがないだろう。
しばらく、ぽかんとこの光景を眺める。
(つづく)
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