こうじやの解説。
こういうの一つとっても、ちゃんとしたデザイナーが丁寧に作っているのがわかる。文字のバランスやサイズ、レイアウトなどが素人技ではない。
「へー」
と感心していたが、肝心の文章の中身については全く覚えていない。デザインに感心して終わってしまった。すまん。
この千年こうじやは、今我々がいる売店スペースの両側に、雪温熟成室が2つ、雪温庫が1つあった。雪温庫はチルド品が陳列販売されているようだ。後でのぞいてみよう。
熟成室のうち一つは5度の部屋、もう一つは7~10度の部屋になっていた。あ、なるほど、道理で売店にソーセージとかが並んでいるわけだ。酒蔵にしては唐突な、と思ったけど、この雪温熟成室で肉を熟成させたのだな。
「やや、さらに奥に行けるぞ?」
千年こうじや自体が秘密めいた窓のない部屋だというのに、さらにその奥に通じる道があった。
訪れてみると・・・
やや!
酒瓶が並ぶバーカウンター、発見。
しかし、蝶ネクタイのバーテンダーさんではなく、八海山のはっぴを着た従業員さんが静かに我々を出迎えてくれた。
カウンターの奥は、ウイスキーでも貯蔵するかのような樽が、ずらり。聞くと、ここは焼酎貯蔵庫なのだという。
樽と反対の壁には、ボトルキープしました!といわんばかりに瓶詰めされた焼酎がずらり。やあ、壮観だ。
ここでは試飲ができるのだという。
それはありがたい。しかし、目の前にずらりと並ぶお酒の瓶、どれを頼んでよいのかわからない。「じゃあ、右から全部!」なんて頼むのはさすがに下品だし。
さすがに全部のお酒を試飲できるというわけではなかった。雪室見学をした人だけが飲める限定酒があったりする。
ちなみにここで熟成されている焼酎は八海山雪室限定、「面向未来」というものだった。720mlで10,00円。うわあ、すごい。
プレミアムがついて、流通段階で値がつり上がってしまった焼酎、というのは世にいくつもある。蔵元の卸価格はもっと安いのに・・・という嘆き節とともに。しかしこの焼酎、蔵元段階で10,000円もしますぜ。超高級品だ。中に金粉でも入っているんじゃないか?
さすがにこれのお試しは無理。
試飲中のご一同。
貯蔵蔵の中、しかも奥まったところなのでとても静かだ。しゃべっても、声が高い天井に吸収される感じがする。
なので、静かに、大人の時間としてお酒を確かめることができる。これはとても良い施設だと思う。
本来なら、明るい「ユキナカキッチン」のあたりで試飲してもらえば良いのだろうが、敢えて引っ込んだところに試飲スペースを作った、というのが「大人の楽しみ」的な、ちょい悪な秘めたる感じがして、いい。秘密クラブみたいな。
精米歩合が書いてあった。
これを見ると、「八海山」は安い「普通酒」であっても、精米歩合が60%だった。特別本醸造で55%。かなり贅沢に米を削っていることがわかる。普通、60%の精米歩合といえば、純米酒クラスのお酒用だ。
こんな展示を眺めながら、従業員さんのうんちくを聞きながら、傾ける試飲カップ。よいひとときです。
でも僕はお酒が飲めないのだった。
どうしたものか、と思ったら、なぜか豆乳が置いてあった。濃厚プレミアムクリーミー豆乳、と書いてある。これだったら飲んでも大丈夫。というかむしろ飲ませてもらいたい。
・・・飲んだ瞬間、「あ、これ後で買います」と即決。それだけ、良い豆乳だった。
豆くさい豆乳はごめんだけど、これはもう、湯葉を飲んでいるようなものだった。豆のうまさがバーンと華やかに香る。濃い。
あまざけもあるようだ。なんでも、最近「甘酒が健康に良い」とテレビではやし立てられたせいで、ここ八海山でも甘酒不足なのだそうで。「千年こうじや」では、一人一本まで、という制限がかけられていた。
僕は甘酒をいただく際、「これは酒かすから作った甘酒ですか?それとも、麹から作ったものですか?」と確認するようにしている。酒かすの甘酒の場合、酒の香りが強いし、アルコールが含まれているからだ。神経質になる必要はないけど、できるだけ酒由来のものは口にしたくないので、気をつけている。・・・まあ、そうはいっても時々酒かすの甘酒、飲んじゃうこともあるのだけど。
ここのあまざけは麹で作られたもの。安心して飲むことができる。
あと、右側には「酒瓶のスクリューキャップをやめました」というポスターの縮小版があった。え?スクリューキャップ、便利なのに。どうしたの?王冠に戻す?へえー。
理由は、「注ぎ口のシルエットがきれいだから」なんだそうだ。ああ、そういう観点って素敵だよね。利便性は大事だけど、美意識っていうのはもっと大事だ。清酒というのは今後ますます飲まれなくなっていくだろうから(残念ながら)、大衆迎合するよりもこういう美意識を強く持つことは大事だと思う。
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