屯田兵に帰れ【北海道ハタケ遠足】

13:39
手竹をどんどん差し込んでいく。

相手は地面だ。粘土ではない。いくらトラクターで地面をかきむしって土を攪拌しても、若干硬い部分と柔らかい部分が混ざっている。

さらには、手竹だってしなるやつ、硬いやつとが混ざっている。長さだってまちまちだ。そういうのを押したり引いたりなだめたりしながら、突き刺していくのだから案外大変だ。

13:39
既に手竹が植わっているところに、種をまいている人を除いて3名もが群がっているのが見える。これは、手竹のバランスがどうにも悪くて、三つの竹を押したり角度を変えたりして微調整しているからだ。

プロの農家なら、こういうのをビシイッと一発でキメるのかもしれないけど、みんな東京界隈でOLやらサラリーマンをやっている人たちだ。何事も体験、何事も修行。

13:41
ひとまず手竹は完成。

収穫の時は、単に豆を摘み取って「やったー!」とはいかない。手竹に巻き付いたツルをぶちぶちと引きちぎらないといけないし、そもそも豆というのはさやに納まっているものだ。さやから取り出すというのもひと手間だ。なんとも手がかかる植物だ。

14:01
一方手間がかかるといえばこちら、たんぽぽシロップ製造班は莫大な量のたんぽぽと格闘中。

日が高くなるについれてたんぽぽの花はふわーっと咲いたけど、それにつられてアリもやってきた。アリといっても、小さなサイズのやつなので、手でつまんで弾き飛ばすなんてのは難しい。そういう花は収穫しなかったけれど、それでも丹念に洗って汚れとゴミとアリを取り除く。ただひたすらに。

この後の工程を僕が見る機会はなかったけど、砂糖で煮詰めてシロップができた。

後日、お店で「本当においしいたんぽぽシロップ」という名前で売られているのを買ってみたが、噂にたがわぬ美味しさでびっくりした。えっ、これがたんぽぽなの!?という驚きがある。なにしろ、メイプルシロップみたいな香りがするからだ。あんなに身近な植物なのに、とっても不思議。

かといって、ご家庭でもぜひどうぞ!というわけにはいかないだろう。一体どれだけのたんぽぽが必要なんだか。今回は大人数でわーっとやったからこそ、できた成果だ。

14:32
お昼ご飯兼夕ご飯だかなんだかわからないけれど、まかないを出してもらった。

さすが商売人だけあって、飯の時間というのはフリーダムだ。僕のようなデスクワーカーの場合、お昼ご飯というのは「12時から13時の間がふつうかな」と考えるし、一日三食当たり前だ。でも、商売をやっている人だとそうはいかないので、自然と食事のタイミングや回数は変わってきそうだ。

わざわざカセットコンロで炊いたご飯がつややかでうまそう。

14:32
先ほどハタケの周辺で摘んできた植物がさっそく並ぶ。

まだ種が植えられたばかりのハタケよりも、今はその周辺の方が食べ物が豊富だという不思議。

でも、農耕が始まる前の時代って、こうやって野に生えている植物を摘んでは食べていたわけだ。農耕自体が特殊なことだ。

14:52
マメヒコの井川さんは本当に料理が上手だ。上手、というとなんか陳腐な誉め言葉で恐縮なんだが、ライブ感を大事にし、その場の勢いでレシピなんてなくてもあれこれ作る。辞書が脳内にたくさんあるのだろうし、普段からあれこれ食べ物について考えているからこそなのだろう。

僕なんか、冷蔵庫の中から肉や野菜を発見したら、「まずは中華鍋に油を敷いて、にんにくとしょうがと唐辛子を炒めます」というところからなんでもはじめてしまう。なのでどれも味が似てくる。

お味噌汁もインパクトがすごい。ネギ!水面いっぱいのネギ!

これだけでも、ネギのシャキシャキした食感やネギに少ししみこんでいるであろう味噌の風味やらを想像し唾がたまる。やっぱり味噌汁にはあれこれ余計な具はいらんかったんや。

そんなわけで、みんなでテーブルを囲んでごはんをいただく。

そういえばこうやって一斉にご飯を食べるって、なかなか機会がないな。居酒屋ならともかく、ご飯をいただく、というシチュエーションでは案外すくないものだ。楽しいひとときとなった。

(つづく)

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