神社仏閣町歩き、おまけに登山【鎌倉・衣張山】

富岡八幡賛同

10:38
「この先が鶴岡八幡宮ですよ」

とリーダーから言われて顔を上げると、大きな鳥居がそびえ立っていた。

えっ、鶴岡八幡宮ってここから入るの?唐突だったのでびっくりした。

鶴岡八幡宮といえば鎌倉を代表する観光地で、鎌倉駅からビューン!とまっすぐに参道が延びているのが印象的だ。

その「まっすぐな参道」の印象があまりに強いので、こうやって脇から中に入るルートがあるということを知らなかった。そうか、だから北鎌倉からスタートだったのか。

富岡八幡宮

10:40
石段を登ったすぐ先に、本宮。

富岡八幡宮

本宮から海方面を見下ろしたところ。

いやー、いい天気だ。

坂を下る

10:43
「こっちから行きます」

といって、リーダーは本宮から脇に逸れていった。

この人は鎌倉を頻繁に訪れているそうで、先週も別のグループとこの界隈の山を登ったそうだ。なので、お手のものだ。

自分で道に迷いながら慣れない土地を歩くのも楽しいけど、こうやって詳しい人に連れて行ってもらうのも良いものだな。

池

10:46
池の脇を通り抜ける。へー、こんなところがあるのか。

地図

鶴岡八幡宮の境内地図。

まっすぐの参道以外、全く知らなかった。

広い池

10:50
広い池を眺めつつ。

こりゃあ「池の水を全部抜く」向けの池だ。随分濁っているし、これだけ広いといろいろいそうだ。

でも、神社の境内の池だからそう簡単に水を抜いたらいけないかもしれない。バチがあたるとかなんとか。

藤棚

藤棚で、藤の花が咲いてます。いいね、こういうのも。

みんなで歩いているので、むしろこういうものを楽しむ余裕ができる。一人だったら、タイムトライアル的になってしまってガンガン脇目も振らずに歩いていってしまいそうだ。

歩く

10:56
裏道のようなところを歩いて行く。

歩く

11:03
いったん車の往来が多い車道に出たのだけど、歩きづらいということで敢えて脇道に逸れる。

川

かわー

橋を渡って裏道へ。

川

川沿いの裏道を歩く。さすがにここは人通りが少ない。

家の前が簡易店舗

11:09
しかしこういうところを散歩する観光客は結構いるようだ。

そういうお客さん向けに、家の前でガレージセールをやっているお宅があった。ちょっとした花や、器を売っている。

ワンちゃんが寝ている

ありゃ。テーブルの下にわんこがいた。まだ午前中だというのに、机の日陰で横になってうつらうつらしている。おーい、元気かー。

(つづく)

田楽?

11:18
滑川(なめりかわ)から一本奥に入った道は、「田楽辻子のみち」という名前が付いている。昔、田楽師がこの道沿いに住んでいたからだ、と解説には書いてある。

田楽師?

味噌田楽を作っている人だろうか。豆腐とかこんにゃくとか。

真剣に困惑した。そんな商売をやっている人が密集していても、儲からないだろう、と。あんなのは売店の店頭に売られていればいい「ちょっと目を惹くけど、脇役」の食べ物だ。田楽だけで商売が成り立つほど、日本人は田楽大好きではない。

気になって後で調べてみたら、「田楽」って、田植えの時などに豊穣を祈願して踊ったり歌ったりする伝統芸能のことだった。ああ!それなら納得だ。

言われてみれば学生時代に習ったような気がしなくもないような。食い意地が張りすぎて、「田楽=あまいじょっぱい味噌」ということしか想像力が働かなかった。

それはともかく、この豆腐田楽の道・・・じゃなかった、ええと、田楽辻子のみち界隈は、歩いていてとても楽しい。川を挟んだ対面を走る金沢街道のように車の往来がないので、のんびり歩ける。しかも、先ほど見かけたように、ハイカー向けのちょっとしたお店があったりして、変化がある。「単なる住宅街散歩」とは違う発見があって、ウキウキ感が持続する。

案内看板

案内標識。

えーと、杉本寺はこの後すぐに行きます。報国寺も行きます。衣張山も行きます。なんだ、ここに出ている場所のほとんどにこれからいくじゃないか。いいね、いろいろ見ることができて。しかも、いずれも「200m」だの「150m」だのと近い。えっ、今回、唯一山サークルらしい目的地である「衣張山」まであと15分?登山口までの距離じゃなくて、山頂まで?いやちょっとまだ心の準備ができていないぞ。

この道の先に、「釈迦堂切通」がある、と案内標識には書いてあった。

この鎌倉界隈には、やたらと「切通し」がある。山を削って、凹型にした細い道だ。トンネルを掘るのは技術が必要だし、かといって従来の山越えルートは疲れるし、ということでエーイと力任せに掘って掘って、巨大な溝を作って便宜を図っている。

ただし、時間の経過とともに両側の崖が崩れたりするのだろう。今、この「釈迦堂切通し」は通行止めになっている。

ここから見る限りは、普通ののどかな斜面に見えるんだけどねぇ・・・この先、山が迫っているのか。

衣張山の道

リーダーが、「ここから衣張山に登ります。先に杉本寺、報国寺に寄るので、またここに戻ってきます」と教えてくれた。これが衣張山の「平成巡礼道」なのか。

五体投地を繰り返しながら前に進む僧侶とか、巡礼者目当ての物乞いとかがひしめいているかと思ったけど、そのような光景はなし。のどかなものだ。

ところで「平成巡礼道」って何?何を巡礼するの?

これは、板東三十三観音霊場巡りの「巡礼」のことで、1番札所の杉本寺から逗子市にある2番札所の岩殿(がんでん)寺に通じるルートだそうだ。

三十三観音霊場か。スタンプラリーストの僕にとって、こういう概念を提唱されると、がぜんソワソワしてくる。鎌倉歩きは楽しいし、今度挑戦してみてもいいな・・・

と思ったところで、はたと気がついた。ああ!これって、以前伊集院光が深夜ラジオで語っていたやつだ、と。伊集院光は、電動アシスト付き自転車でこの板東三十三観音霊場巡りをやったのだけど、相当にしんどかったらしい。というのも、日光いろは坂の上にある中禅寺とか、千葉県の銚子市にある円福寺とか、関東一円まんべんなく移動しなくちゃいけないからだ。

・・・少なくとも、チャリンコで制覇しよう、なんて考えるのはやめておこう。公共交通機関だな、やるとしても。

杉本寺参道

11:21
杉本寺にやってきた。

鎌倉についててんで疎い僕は、杉本寺とはなんぞや、ということを全く理解していない。

旅に行く際にはあれこれ下調べをする僕の性格をもってしても、先導してくれる人がいると、この体たらくだ。

登山ツアーの団体客で、「地図すら持っていない、今日の行程をまともに理解していない」という人がいてとんでもない、という話を聞く。でも、他人任せに出来ちゃうとわかった瞬間に、人間って手を抜いてしまう生き物だ。

杉本寺地図

鎌倉には数多くのお寺があるけれど、このお寺は鎌倉最古なのだそうだ。

拝観料が必要

おっと、拝観料が必要なのか。大人200円。

石段

狭い石段を登っていく。前の人が倒れたら、ドミノ倒しになりそうだ。気をつけて。

苔むした石段

おおお。

杉本寺名物の、苔むした石段。へええ。本当に苔がびっしりだ。これは驚いた。

さすがにここは通行止めになっている。参拝客は、お苔様に配慮して、回り道をすることになる。

これ、苔が生えたから通行止めにしたのか、それとも通行止めにしたから苔が生えたのか、どっちだろう?普通に人が利用していたら、なかなか「見応えある苔」にはならなかっただろう。

観音堂

お苔様を迂回して、石段の上に登るとそこは茅葺きの立派な観音堂。十一面観音がいらっしゃる。

石段を上から

観音堂から苔の石段を見下ろしたところ。

ここから見ると、そりで滑り降りることができそうに見える。実際は石段なので、そりで滑るのは無理だけど。

藤

藤の花がここでも咲いている。

藤

藤の花。

杉に巻き付くツル

しかし、その藤は杉の木に寄生して、ツルがぐるぐるに巻き付いていた。「藤棚」がない自然の藤というのはこういう成長の仕方をするのか。

藤のツルは左巻き。朝顔と一緒だ。

杉本寺からの景色

杉本寺からの眺め。東方向。

いやー、解放感がある。

こうやって見ると、3階以上の建物がないように見える。アパートはあるけれど、マンションがない。あと、家の合間に緑が結構あり、それが眺めの良さを生んでいるようだ。

鎌倉市の景観条例について調べてみたら、膨大な資料があったので面食らった。

鎌倉市景観計画について

鎌倉市は市全域に建物の指針が設定されていて、細かくエリアが分けられていてそれぞれにお約束がある。数値で規定されるガチガチのルールはあまり多くないものの、鎌倉市が「市の魅力を高めるための景観」にかなり力を注いでいることがわかる。全部読もうかと思ったけど、途中で面倒くさくなってやめたくらい、すごい。さすが鎌倉だ。

ちなみに旧市街は、「路地空間の魅力を高めている敷地のゆとり、低いスカイライン、敷き際の空間構成の継承 」というのが重要項目として挙げられていた。なるほど、だからこの景色なのだな。

五輪塔

五輪塔がびっしり。南北朝時代のもの。

境内の端を歩く

五輪塔から仁王門まで、境内の端っこを歩くことができる小さな石段があった。そこを使って下山。

こういう道を通ることができるのも、現地事情に明るいリーダーがいるおかげだ。

(つづく)

金沢街道

11:38
苔むした石段が美しい杉本寺を後にして、次は報国寺を目指す。

鎌倉から金沢文庫に通じる道、金沢街道を歩くけど、歩道がものすごく狭い。二人が並んで歩くのは無理で、ほぼ一直線に並ばないと歩けない。このため、ここを歩いている間はみんな口数が減る。

男たちは無言で、一歩一歩前へと進んでいった。あ、いかん、女性もメンバーの中にいた。

とても歩きにくいので、金沢街道を離れ、また味噌田楽の道・・・じゃなかった、ええと、田楽辻子のみち、に戻る。

実は寿司屋

11:39
それにしても恐るべきは鎌倉の裏道よ。

こんなさりげない民家風の建物だけど、なにやら表札にしては大きなものが軒先に出ている。近づいて確認してみると、「寿司席 和さび」と書いてあった。

びっくりだ!ここ、お寿司屋さんだったのか!

「隠れ家的なお店」という形容表現をするお店は都会にたくさんあるけれど、ここは「隠れていないけど、『なんでこんなところに?』的なお店」と言える。

寿司屋、といっても「うちは『すし太郎』をまぶしたちらし寿司しかメニューにないよ。それか、カッパ巻き」というシンプルすぎるお店じゃあるまいか?と心配になるけど、本格的なお寿司屋だった。食べログで見ると、「TOP5000」に入っているようなお店。すげー。

こういうのがひょこっと、住宅地の中にあるというのが鎌倉の懐の深さだ。

まてよ!ひらめいた!

ということは、僕も、自宅で寿司屋を開けば大人気になるかも!

やめろ、お前の家はただの住宅地の、単なる賃貸住宅じゃないか。風情もなにもないぞ。

報国寺

11:42
報国寺。

臨済宗のお寺で、1334年創建。「竹の寺」という通名があるそうだ。

さっきが「苔の寺」で今度は「竹の寺」か。いろいろあるものだ。

報国寺

報国寺に入る。

庭園

おお、苔が美しい。

いや、頭が混乱するからやめて。どっちが苔の寺だか、後で記憶がごちゃ混ぜになる。

とはいえ、本当に美しい苔だ。青々とふかふかしている。木漏れ日がところどころ模様を作り、涼しげで心地よい。芝生だとこうはならない。

報国寺

報国寺。臨済宗のお寺なので、作りはシンプル。

毎週日曜日朝、ここで誰でも参加できる坐禅会が開かれているそうだ。公式webサイトを見ると、「ある程度厳しい坐禅会ですので、多少覚悟を持ってお越しください。」という注意書きがわざわざ書いてある。本格的にやる、というのはむしろ歓迎なので、毎週通うのも楽しそうだ。どうしよう、悟りを開いてしまったら。というか、悟っちゃおうかなー、もうこの際。サクっと。

軽薄すぎる。

・・・あれ?ちょっと待った。竹は?竹の寺なんだよね?ここ。

竹の庭

あ。「竹の庭入り口」という立て看板が本堂脇にあった。

どうやら庭はこの裏手にあるらしい。

竹の庭に通じるところに、木戸がある。そこでチケットを売っていた。あ、ここから先は有料なのか。

拝観券

拝観券200円で、お抹茶付きだと500円。

中の茶屋でお抹茶が振る舞われるらしい。どうしようかな、と思ったけどせっかくなのでお抹茶を頂くことにする。

まさか「山サークルのイベント」なのに、お抹茶を頂くことになるとは思わなかった。

でも、モンベルの山用品の中に、「野天セット」というものがある。お抹茶茶碗や茶せんの組み合わせで、これさえあれば山のてっぺんでもお茶会が開ける!?という代物だ。

【モンベル】野点セット
コンパクトな携帯用野点セットです。茶せん、茶杓、いずれも携帯性を重視してサイズを小さくした特別仕様。茶碗はメラミン製で割れにくく、アウトドアに最適です。巾着の底部と側面には緩衝材としてスポンジを入れてあります。

「山でお抹茶」というのは決してマニアックな趣味ではない!・・・のか?僕はこれまでの山歩きで、抹茶を点てている人を見たことがないけど。

竹の庭

竹の庭。

竹の庭

さすが有料庭園だけあって、見応え十分。良いカメラを持っている人なら、いろいろな角度から、様々な光景をシューティングできそうだ。

竹の庭

「やぐら」が見える。崖に横穴を掘り、そこに石塔を建てて供養や納骨を行うという、この界隈独特の仏教様式だ。

竹の庭

おっと、竹が見えてきた。これぞ竹寺、これぞ竹の庭。

竹の庭

美しい苔と、お地蔵様。

竹の庭

竹が生い茂っている。

竹の庭

まだあちこちでタケノコが頭を出している。

このあたりの景色は、毎日どんどん変わっていくのだろう。昨日は何もなかったところに、次の日はタケノコ、翌々日には立派な竹、といった具合に。

竹の庭

日の光を浴びて神々しいタケノコ。

あの中にはかぐや姫がいるに違いない。きっとそうだ。

茶店

そんな竹林の片隅に、竹林を取り囲むようなカーブを描いた建物が建っていた。ここがお抹茶をいただける茶店らしい。

茶店

「茶房 休耕庵」という札がかかっていた。

茶店

中に入ってみたが、何やら独特の作りだ。

いわゆる喫茶店のような、テーブルが点在していて、席は向かいあわせで・・・という作りにはなっていない。

えーと、例えるなら、野球場のスタンド席?

みんな、竹林方面を向いて、横一列に並んでいる。なんだこりゃ。

茶店

この「スタンド席」の最前列にだけカウンターテーブルがある。そして、最前列の人だけがお抹茶をいただく。二列目の席の人は、「順番待ち」というわけだ。

最前列は、お抹茶をいただきながら青々とした竹林を鑑賞することができる。

茶店

席から見た、竹林。

竹の美しさもさることながら、苔が素晴らしい。そしてタケノコも素晴らしい。

茶店

お抹茶が届いたので、さっそくいただく。のんびりしていると後ろの人の迷惑になるので、三口でいただいて、とっとと席移動。あまりゆっくりはできない。

お茶請けとして、落雁が2個添えられていた。

「いやあ、くつろぎました」といえるほどではなかったけど、それでも座ってお抹茶をいただきながらの竹林鑑賞はしみじみと良いものだ。さて、気分をリフレッシュさせたところで、これから「登山」をするぞー。

登山、といってもこのお寺のすぐ裏手が山頂なんだけど。えーと、所要時間は20分程度、かな?

(つづく)



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