ただいま、わが愛しの山小屋泊【焼岳】

焼岳登山道

12:29
焼岳登山、ようやく開始。

朝起きてからここに至るまで7時間半かかった。で、ここから山小屋までが約2時間半。だいたい15時くらいには本日の行程を終える予定だ。短い。

でも、久々の山中泊登山なのだから、これくらいのスケールの方がいい。無理して何時間も歩き通して、疲労困憊して足を滑らすのは一生の禍根だ。

そろそろ僕も「老化」と直面する歳になってきた。昔は、もし山で遭難したとしても「若気の至り」という形容をされただろう。しかし今ならば、「体力不足のオッサンが足を滑らせやがってよ」と失笑と侮蔑の混じった形容をされるに違いない。

恥をかかないためにも、にこやかに、華麗に山を歩きたいものだ。華麗、というのは無理だから加齢に、ということになるけれど。

うわやめろ、そういうのを「オヤジギャグ」っていうんだ。ダジャレを嬉々として口にするようになったら、本当にヤバいぞ。

きのこ

あーあーあー

しばらく美しいキノコの映像でお楽しみ下さい。

体勢立て直します。

焼岳登山道

12:42
何やら「お願い」と書かれた白い看板が、登山道沿いにある。

「死のうと思う前に、一度相談してみませんか」みたいな自殺予防キャンペーンなのかと思ったが、違った。

この界隈には土石流観測のためのカメラや計測器がたくさんあるけど、絶対さわらないでね!というものだった。

そりゃそうだ、計測器を揺すったりしたら、「大変だ!土石流だ!」って国土交通省あたりが大騒ぎすることになる。冗談でもいじっちゃダメだ。

でも、肝心の「カメラや計測器」は見つけられなかった。どこにあるのだろう?

焼岳登山道

12:46
森の中に、「あぶない」と書かれた看板。

ダム付近は危険ですから立ち入らないでください

と書いてあり、ギョッとする。えっ、こんなところにダムがあるのか!?と。

よく読むと、この先に砂防ダムが無数に存在しているらしい。焼岳は噴火でできた火山なので、深い谷があちこちに刻まれている。そこがガラガラと崩れるので、砂防ダムをこしらえているようだ。

はい大丈夫です、登山道以外に立ち入る気はこれっぽっちもありませんので!

焼岳登山道

あまのじゃくな僕は、安易に「癒やし」という言葉は使いたくないのだけど、山を歩いているとだんだん気持ちが落ち着いてくるのがわかる。

歩き始めてから30分くらいは、まだ雑念がいっぱいある。むしろ、黙々と歩いている間、ずっと仕事のこととか、やらなくちゃいけないこととか、悔しいこととか、いろんな考えが渦巻いている。

しかし、森の中を歩き続けると、だんだん感情がフラットになってくる。いい加減あれこれ考えるネタが尽きてくる、というのもあるけれど、てくてくと歩き、景色はさっきから変化がなく、心拍数はだいたい一定ともなると、心が落ち着いてくるのだった。

今更ながら、これはいいな。

都会暮らしに疲れた時、元気があるなら登山。元気が失せつつあるときは温泉逗留。この二つを使い分けることで、もう少し頑張れそうな気がする。

焼岳登山道

12:47
深い緑。

焼岳登山道

12:52
何やら前方にトーチカのようなものが見える。

色は地味だけど、直線の建造物というのは自然の中でとても目立つ。なんだろう、あれは。

おそらくあれが砂防ダムなのだろう。

てっきり、もうちょっと谷間になっているところに建造されているのかと思ったが、こんなさりげないところにもあるのか。道理で「立ち入り禁止」を訴えかけられるわけだ。

焼岳登山道

このあたりの登山道は、水平移動に近いのでさほど傾斜はきつくない。この先、富士山の「大沢崩れ」みたいな谷間である峠沢に登山道がぶつかってからが、傾斜がきつくなる予定だ。

とはいっても、今日は標高差500m程度の予定なので、そこまでキツいわけではない。

焼岳登山道

12:55
正面の視界がちょっと開けた。

焼岳登山道

ガラっている谷が見える。

後で思えば、これが峠沢だったらしい。

登山道から峠沢まで、標準コースタイムで40分。「ここが峠沢です」みたいな標識があると思っていたので、「峠沢はまだかなあ、随分時間がかかってるなあ」とこの後しばらく首をひねりながら歩いていた。

焼岳登山道

13:02
峠沢に沿って登山道は続く。

沢沿いに道が延びているので、傾斜は容赦しない。ほら、正面にはハシゴ段がある。

焼岳登山道

13:14
写真で見ると楽勝な傾斜なんだけど、実際こういうのがダラダラと続くと、地味にしんどいものなのです。

傾斜がもっとキツいと、「あかん!いったん立ち止まって息を整えるで!」となるのだけど、このレベルの斜面だと、休むタイミングを見つけづらい。

大沢崩れみたいなものが見える

13:21
残置されたハシゴがある。

おそらく、峠沢の調査をする人が、このハシゴを使ってここから沢に下りるのだろう。

(つづく)

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