屯田兵に帰れ【北海道ハタケ遠足】

成田空港第3ターミナルのバニラエアチェックインカウンター。

レモンイエローと水色の、威厳もへったくれもないカジュアルな看板が目を惹く。むしろこういう色だからこそ、「格安航空ですよ」という存在感をビシビシと発していて、インパクトがある。

その国の威信をかけたフラッグ・キャリアの場合はこうはいかない。もっと重たい色をしているものだ。

今回はそんなバニラエアを使って、札幌新千歳空港を目指す。新千歳を「札幌」だなんて御冗談を、と思うが、もともと成田空港だって「新東京国際空港」を名乗っていたんだからどっちもどっちだ。

09:18、チェックインカウンターで搭乗券を受け取る。

今回は機内持ち込み荷物だけなので楽だったけど、LCCの場合は荷物のサイズや重さの規定が特に厳しいので若干怖い。荷物預け入れは原則事前予約制で、当日になって「やっぱり預けます」ということになれば結構なお金を支払わなければならない。1,000円だったか1,500円だったかは忘れたけど、そういう4桁のお金だ。罰ゲームみたいなものだ。

往路は機内持ち込みで済んだとしても油断をしちゃいけない。帰りにお土産をたくさん買ってしまうと、機内持ち込みの制限を越えてしまうこともある。そうなると、やっぱりお金がかかる。

あと、LCCなだけあってか、チェックインカウンターの荷物預けは非常に簡略的だ。そのまますっと受け取って、行き先のタグを貼り付けておしまい。「このあとX線検査をやって、なにかあったら呼ぶからこのカウンター周辺で待っててくれ」ということだった。

なので、荷物を預けた人はおちおちカウンターから遠くに行くわけにもいかず、かといって「あなたの荷物はオッケーでした」という報告は特にないので、微妙に身構えていないといけない。

ちなみに飛行機の出発は10:15。まだあと1時間近くある。国内線にしてはかなり余裕をもって僕はチェックインを済ませたことになるけれど、これくらいやっておかないと不安だ。なにしろLCCだから。地上係員が「○○様!○○様はいらっしゃいますか!」と叫びながら搭乗間際に未搭乗の客を探すようなことはしない。定刻になったら容赦なく搭乗手続きを締め切って、飛行機は飛び立ってしまう。

これから乗る飛行機の場合、10:15の出発に対して搭乗開始は9:40、搭乗締切は20分前(09:55)ということになっていた。

まだ朝ごはんを食べていないので、ご飯を食べることにする。

昼ころに新千歳空港に到着して、その足ですぐにハタケに向かう予定だ。北海道で海のもの山のものを満喫するぞ!なんていう余裕はない。

まだ時間に余裕があるとはいえ、のんきに優雅なブランチを楽しむほどではない。さっと食べて出発できるようにしなくちゃ。

この緊張感がいかにもLCCだ。

そんなわけで、「宮武讃岐うどん」でうどんを食べることにした。

あーあーあー

朝から欲張っちゃったよ。つい、天ぷらを3つも。

丸亀製麺でもはなまるうどんでもそうなんだけど、こういうお店で自制がきいた試しがない。「よっしゃ!今回は天ぷらを少なめにしたぞ!」とガッツポーズしながらお会計を済ませ、油断した挙げ句にセルフで無料の天かすをどっさり丼にかけちゃったりする。

時間には余裕をもっているつもりなんだけど、先程からかなり逼迫感のあるアナウンスが頻繁に流れている。バニラエアのものだけど、搭乗を急げ急げとずっとせかしている。「最終の搭乗案内」なるものを、搭乗締め切りの15分以上前から唱え続けていた。焦らされるなぁ。

保安検査場で手荷物検査をし、制限エリア内に入る。

滑走路方面を見ると、そこには長いブリッジが見えた。ジェットスター専用の建物らしい。おそらくわざわざお金を払って、専用の搭乗口をこしらえてもらったのだろう。

無印良品のソファがずらりと並ぶ中、金網で覆われたエリアがある。

中でルールなしの完全決着ルールの地下格闘技が開催されそうな雰囲気だけど、この金網こそが搭乗口だった。150C、と書かれている。あ、それ僕が乗る飛行機の搭乗口っす。

制限エリアを別の角度から。

搭乗口の係員さんに急かされる。もう限界だ、やばい、みたいな雰囲気を醸し出している。まだ09:50で、「搭乗締切」まで5分あるのだけれど。できる限り巻きの進行を心がけているらしい。

搭乗口といっても、ANAやJALの搭乗口みたいな、鉄道の自動改札機のような機械は据え付けられていない。係員さんが搭乗券の二次元バーコードをリーダーで読み込んでいるだけだ。確かに、実際はこれで十分だ。まるでコンビニで請求書払いをするような感覚。

搭乗口から階段を降りると、そこはバスの待機所になっていた。

急げ急げとバスに載せられる。立ち止まる余裕がないくらいだ。

バスは空いていた。もう、この時間にしてあらかた客は搭乗してしまったらしい。

バスでびっくりするくらい揺られ続けた。第3ターミナルを通り抜け、第2ターミナルも端まで突っ走ってから駐機場と向かっていく。このままどこかに連行されるんじゃないか、と不安になるレベルでの大移動だった。

もちろん行き先は北海道なので安心。バニラエアの飛行機の前に無事バスは停車し、乗客一同、飛行機に乗り込んだ。

10:06。飛行機出発の定時9分前だった。

(つづく)



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