木道は、山頂をぐるっと取り囲むように敷設されている。山頂そのものには触らせないぞ、という状態。
まるで、沖ノ鳥島のようだ・・・とこれを見て、思ってしまった。
山頂から先、ジロウギュウに続く道がある。
ジロウギュウとは、剣山の隣の山のことで、漢字で書くと「次郎笈」となる。これは読めない!
剣山が「太郎笈」という別名を持つので、兄弟の山ということになる。標高1,930メートル。四国では、剣山に次いで高い山となる。
・・・らしい。何一つ、見えない。
登山解説の本を見ると、剣山山頂から次郎笈に続く、雄大な稜線写真が大抵掲載されている。森林に覆われていないので、さぞやこの稜線を歩くと楽しいだろう、と思わせるものだ。
片道1時間、往復で2時間。
うーん、やめた。
次郎笈にはすごく興味があるけれど、この霧の中で歩いてどうするんだ、という気持ちの方が勝った。
というわけで、山頂脇の木道で休憩中のおかでん。
いやあ、カタルシスがないにもほどがある。登山時間が短かった、というだけでなく、この情け容赦ない霧の濃さよ。何にも見えない。ただ単に「山頂に到達しました」という事実しか、残らない登山だった。
12:34
小雨がぱらつきだした。これ以上山頂に長居は無用。
上着を着て、引き上げることにした。霧に向かって。
12:36
テラスが見える。
わざわざここまで大がかりに作っているのだから、さぞや景色が良いのだろうな。
結果は分かりきっていたけど、テラスに行ってみた。
案の定、何も見えなかった。時間の無駄だった。
青い屋根の建物が見える。「雲海荘」という。
剣山頂上ヒュッテが満員の場合に限り利用される山小屋。今日はもちろん、使われていなかった。じゃあ一体、いつ使われるのだろう?例大祭がある時?正月?
剣山頂上ヒュッテの隣にあった、小さな神社「剱山本宮宝蔵石神社」。
その背後にあった岩が、これだった。
神社の名前からして、これが「宝蔵石」と呼ばれるものだということがわかる。安徳天皇が、宝剣を納めたといわれる場所だ。
こっち側(山頂側)に神社を作ったほうが広々と場所が確保できるのに、と思ったが、たぶんそれだと建物が風雪に耐えづらいので今の場所に落ち着いたのだろう。
(つづく)
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