いいぞォ、山小屋はいいぞォ【仙丈ヶ岳】

08:49
甲府駅の改札を出て左折、南口に向かう。

エスカレーターを降りてみて驚いた!以前北岳を登る時に使った時と駅前のロータリーががらっと変わっている。

当然、バス乗り場も変わっている。昔は駅ビルの階段を降りた目の前に広河原行きのバス停があったのに、今はその姿かたちが残っていない。

前回北岳に登ったのが2013年なので、今年2017年の四年の間に大幅な駅前再開発が行われたらしい。そういえば駅ビルも全然様相が変わったな。きれいになった。

甲府駅南口駅前広場案内。

ここでバス乗り場を確認する。

昔は駅前ロータリーの中に島式でバス停が並んでいたけど、今じゃロータリーの周辺ぐるりと停留所が並ぶ。

さーて、どこに広河原行きのバス乗り場があるのやら。うっかり見落としてしまったら、便数が僅かしかないバスに乗りそびれてしまう。5分10分待てば次の便とはいかず、登山そのものを断念しなくちゃいけなくなる可能性がある。

特に、完全予約制の山小屋しかない北沢峠・仙丈ケ岳ともなると、バスに乗り遅れちゃったから一つ手前の山小屋に急遽変更!とはいかない。

バスの出発予定時刻まであまり余裕がないので、少し焦る。

「路線バス発車情報」と書かれたデジタルサイネージがあったので、そこで広河原行きのバス乗り場を探してみる。

バス乗り場は1番から6番まで合計6ヶ所あるが、そのどこを見ても「広河原」という文字は見当たらなかった。

うーん、「成田空港」や「新宿」といった遠距離の乗り場が6番だから、ひょっとして6番だろうか?

実は僕が知らないうちに、広河原行きのバス乗り場は駅の反対側とか全然違う場所に変更となりました!・・・なんてことがあるのではないか、と真剣にヒヤヒヤした。

過去、長野駅から白馬を目指した時、まさにそういう目にあった。駅西口にあったバスのりばが、いつの間にか駅東口に移動していたという。その時はおかげで乗る予定だったバスに乗れなかった。

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バスの発車時刻まであまり時間がないなか、看板をよく探してみる。すると、「広河原」の文字を発見。やっぱり1番乗り場が正解だった。良かった、これで甲府駅の段階で登山そのものを諦めるという大失態を防ぐことができた。

08:51
安心したので、駅ビル1階にあるファミリーマートで甘い物を買う。行動中に糖分を補給するためのチョコレートだ。

普段僕はチョコレートを食べることはまずないが、山に登る時に限ってチョコレートを食べる。どの銘柄が美味しいのかよくわからないし、これといって好みがあるわけではない。とりあえず目の前にあった森永の「ダース」を買った。

猛暑日ならばザックの中でチョコが溶けることを心配しなくちゃいけないけれど、もう10月だ。溶けることはないだろう。

本当ならば登山用品店で売られている「ブドウ糖の塊」や「黒糖の塊」を舐めるというのが通っぽくていい。一度やってみたいと思いつつも、これまで買ったことがない。思ったよりも値段が高いからだ。

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でも、いずれは僕もこういったものを登山に携行するようになるのかもしれない。高いのぅ、とボヤきながらも。僕が若い頃、山に着ていく服は上から下までユニクロで十分だった。しかし一度登山メーカーのウェアを着ると、その快適さ、そして肉体の負担軽減っぷりに驚きもうユニクロには戻れない体になってしまった。

登山はウェアやギアにお金をかければかけただけ、楽になれる。そういう趣味なので、食べ物についてもいずれは「お金で楽を買う」が増えていくのかもしれない。ただそこまで僕に財力が続くのかどうか、次第だけれど。

広河原行きのバスが発着する「1番乗り場」はどこ?と見渡したが、いちいち調べるまでもなくその場所が分かった。なにしろ、ロータリーの一角に、黄色や赤・青・緑といったアウトドア独特の色合いが密集していたからだ。ああ、あそこね、と色でわかる。

どういう理由かわからないけれど、山用のウェアやザック、テントなどは独特としかいいようがない発色だ。なので遠くからでもすぐにそれとわかる。・・・ああ、「遠くからでもすぐにわかる」からこそ、遭難した時に便利というわけか。なるほどスゲー機能的だな。

時々山で迷彩柄の服を着ている人を見かけたものだけど、その人はきっと「探さないでください、一人で遠くにいきます」という思いつめた人に違いない。

ロータリー脇に鎮座していらっしゃる、武田信玄さんにご挨拶。旅の安全を祈願。ご利益があるかどうかはわからないけれど。

1番乗り場。

既に集まっている大勢の登山客とともにバスの到着を待つ。7時ちょうど新宿発のスーパーあずさに乗車した人たちが、先んじて乗り場にやってきていたのだろう。

さすがに10月7日ということもあって、僕が知っているいつもの混雑よりも遥かに人が少なかった。土曜日の朝という絶好の登山タイミングだけど、10月に入ってから標高3,000メートルクラスの山に登るというのはちょっとマニアックな部類なのかもしれない。

実際、来週再来週辺りで山小屋は軒並み今季の営業を終了する。山はもう冬の訪れを間近に感じている季節だ。今回、なんとか山小屋泊登山に間に合った自分をとてもラッキーだと思う。

そんな感慨に浸っている間、ロータリーの真ん中に広河原行きと書かれたバスがやってきて待機した。その数、3台。今回は3台編成となるらしい。

09:11
広河原行きのバスに乗るのは今回で3度目だ。

1度目は鳳凰三山に登った時。甲府から乗車し、夜叉神峠で途中下車した。

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二度目は北岳。この時は終点の広河原まで行った。

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バスが混んでいるとイヤだなあ、と思う。何しろ、うねうねする山道を2時間だ。つり革につかまって立って時間を過ごすのは、登山口に到着するまでに疲弊する。

09:13
車掌さんに誘導され、並んでいる登山客はそれぞれのバスに分乗した。

立っているお客さんは一人もいなかった。しかし、このバスはあくまでも近距離路線バス用の作りで、座席が固くて座り心地が悪い。座って2時間耐えるのも、これはこれで修行だ。

09:39
バスが出発した後、車掌さんが乗客の一人ひとりに声をかけ、乗車券を販売しはじめた。この路線では毎度おなじみのことだ。

加速と減速、右折左折を繰り返すバスの中で、車掌さんは器用にバランスをとりながらお金を受け渡し、そしてチケットをもぎっていく。

広河原までは2000円。そのうち1900円がバス乗車券で、100円が「南アルプスマイカー規制利用者協力金」となる。

この協力金の支払いは任意なのだけど、「払いたくありません」と突っぱねている人は一人もいなかった。

夜叉神峠から広河原までの道は、深い谷沿いの崖に作られている。トンネルも多い。そんな道は頻繁に土砂崩れを起こして通行止めになる。その維持と復旧の困難さを知っていれば、100円を払うなんて安いものだ。

昔、アワレみ隊で広河原まで車で乗り付けたことがある。1998年のことだ。この頃はまだマイカー規制がなく、自動車は自由に出入りできた。

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もっとも、悪路だったために、僕はレンタカーを傷つけて、後で弁償する羽目になったけど。

(つづく)

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