いいぞォ、山小屋はいいぞォ【仙丈ヶ岳】

11:48
バスはさほどグネグネとうねった道を走ることなく、するすると舗装された道を進んでいく。

道は1車線分だけで、対向車とすれ違う時は待避所を使わなくてはいけない。しかしこの道を通るのは、バスと山小屋関係車両、そして工事車両だけだ。乗り合いタクシーも存在しないので、車の往来よりも道を横切る猿や鹿のほうが多いかもしれない。そんな場所。

前方に何か工事中のゲートが見える。

「ようこそ北沢峠へ!」と書かれた看板の修理を行っているのかな?と思ったが、そうではなさそうだ。

とりあえず写真を撮っておいて、あとで写真を細かく見て分析しようと思ったので撮影しておいた。しかし、あとになって写真を見返しても、やっぱりなんのこっちゃ全然わからなかった。きっとここにETCレーンでも作るのだろう、ということにしておく。

11:54
舗装された道ではなくなり、砂利道へと切り替わった。

すわ、ワイルドなエリアに突撃かと身構えたが、路面はしっかり平らにならされていて、乗り心地は悪くなかった。

南アルプスでダートロードといえば、悪沢岳・赤石岳に登ったときに使ったバスがものすごく揺れた思い出がある。畑薙第一ダムから椹島(さわらじま)の間だ。製紙会社の私有地を走る道路なので、これはしょうがない。

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安全な砂利道だけど、それでも「いよいよ大自然の中にダイブしてきたぜ!」という実感があり、テンション上がってくる。

11:55
せっかく上がったテンションですが、ここで残念なお知らせです。

未舗装区間はごく一部で、また舗装道路に戻りました。あれー。

しかしバッキバキに舗装され、ガードレールで囲われているような道ではない。ひび割れが全面を覆い、白っぽくなった古い舗装だ。そして、森の中を走る道。いよいよ、並走していた川は姿を消し、峠に差し掛かったようだ。

木々に囲まれた道を走るでも心地よい空間だ。

ザックを背負った人が歩いているのを数名、見かけた。この木々の先に、甲斐駒ヶ岳の登山口がある。そこに向かっているのだろう。

北沢峠は北に甲斐駒ヶ岳、南に仙丈ヶ岳があって、その狭間に位置している。そのため、北沢峠を起点に、8の字型に2つの山を連続踏破する人が結構いる。なにせ、ここまで山深い北沢峠だ。一度訪れたからには、せっかくだから2つとも登っちゃおう、と思っても不思議じゃない。

僕自身、今回両方登っちゃおうかということは考えた。しかし、縦走ならともかく、一度登った山を下山し、峠まで下って、また次の山に登り直すというのは面倒くさかった。「よっしゃー、下山したぞー、人が住む下界に戻ってきたぞー」という達成感とともに、退却したい。「はあ、今度は向かいの山に登り直しだよ」というのはちょっとしんどい。

・・・というと格好悪いな。まあ、北沢峠を1度でおしまいにするのはもったいないな、ってことで次回にもう一度お楽しみを残しておきたかった、ということにしておこう。

「死ぬまでに日本百名山を全部踏破したい」と思っている僕は、残りの人生と山の数との競争になっている。一度登った山をもう一度登り直すだけの、時間的な余裕はないと思う。あと、金銭的な余裕も。山深いところであればあるだけ、時間もさることながらお金の負担はデカい。たとえばまだ行っていないけれど、北海道の利尻富士なんて、一度行ったら一体どれだけのお金がかかるんだ?海外旅行に行ったほうが、まだ安心かつ廉価、という状況だ。

登山は一期一会。たとえ雨が降って視界が悪かろうが、「登った」という事実があれば、登頂済みということでスタンプラリー押印済みと同じ扱いだ。僕にとっては。「そんなのは、純粋な登山じゃない」と言われても、しょうがない。もし百名山を予定よりも早く完全踏破できたなら、残された人生で、気力と体力、財力が許す範囲で「ベスト・オブ・ベスト日本百名山」としてこれまでで良かった山、または荒天で視界が悪かった山を登り直したいものだ。ただし70歳オーバーだったりするので、体力が許さない山が多くありそうだけれど。

今回仙丈ヶ岳とセットで甲斐駒ヶ岳に登らないことで、「百名山踏破」という点では効率が悪くなった。でもその一方で、「また北沢峠を訪れる理由ができた」と言える。

11:56
バスは道路の両側に建物が立ち並ぶエリアにたどり着いた。

どうやらここが北沢峠らしい。

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