いいぞォ、山小屋はいいぞォ【仙丈ヶ岳】

12:47
霧が出てきた。雨は本格的ではないけれど、降ったりやんだりの状態。

もともと湿度の高い場所なのだろう、登山道脇に目をやると、苔が倒木を覆い尽くしていた。

南アルプスの山奥深くへ来た、という実感を感じる。

まだ広河原あたりだと、「山にドライブにやってきました」というお気楽感ある景色だけど、ここらへんまでくるとガチな山歩き感が出てくる。

このあたりは、車道に沿って歩く。

峠からスタートして、車道を歩くということは、今まさに標高を下げているということにほかならない。なぜなら、峠っていうのはそこがひとまず車道における標高のピークになるからだ。

登山のはずなのに、まずは下山からスタート。うっかり分岐を見落として、そのまま高遠の方におりてしまわないようにしないと。

12:48
車道の片隅に、「太平山荘」と書かれた看板が出ていた。おまたせしました、ここからいよいよ本格的な登山道になるようだ。車道との旅はこれでお別れだ。

良かった、分岐を見落として延々と下山を続ける羽目にならなくて済んだ。

この大平山荘の看板、名前の表示のすぐ下に「完全予約制」と書かれているのが 特徴的だ。まるで「会員制の飲食店」みたいな感じで、すごくハイソ感がある・・・ことはないか。

予約がない人が、完全予約制であることを知らずに当日飛び込みで「泊めてくれ」と言ってくることはどれくらいあるのだろうか?でもここだったら、「車道はすぐそこだし、バスに乗って下界にお帰りなさい」ということができる。宿泊を断ったらその人が死ぬ、なんてことはたぶんない。

バスの便がもうないんです、というなら、じゃあ北沢峠の待合所で一晩過ごして下さい、カップ麺くらいなら売り物がありますんでそれで腹ごしらえをしてね、と言うこともできそうだ。

太平山荘の矢印の他に、

「藪沢・重幸新道」「大平・馬の背」という看板と、「大平山荘まで約5分」という木の札が打ち付けてあった。

しかし、太平山荘へ下っていく登山道の脇には、 別の張り紙も貼ってあった。

太平山荘は本年度の宿泊業務の都合によって行なっていませんので、泊まることができません。予めご了承願います。管理人

と書いてあった。あらら、そうなのか。

「宿泊をやっていない」ということは、逆に言うとそれ以外の營業はやっていて、軽食の提供くらいはやっているのかもしれない。

車道から逸れ、坂道を下って行く。

さあこれから標高3,000メートルオーバーを目指していくぞ、と気合が入っているのに、どんどん標高が下がる一方だ。これは大変にざんねん。

12:51
濃霧に包まれて、 植物は生き生きとしてる。

しかし人間様である僕は、登山早々から湿度ほぼ100%の状況で蒸す。気温が高くないのは、幸いだ。これが真夏だったら、うっとおしい天気だ。

12:54
あれー、また車道に出てきた。おいおい、どんどん標高を下げるやら、車道と並走するやら、いつになったら登山が開始になるんだ。

そんな車道のすぐ脇に、太平山荘がひっそりと佇んでいた。

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