「ちょっと、百名山に寄ってくわ」【伊吹山】

なんだこの選挙ポスターは?

山頂という場所に似つかわしくない、俗世間の看板がそこにはあった。

まるで、地方自治体の議会選挙立候補者公示板みたいだ。

ええと、僕はマロンさんに一票!

そう、この選挙ポスター、近づいてみるとすべてアイスクリームの「味」を示すものだった。

選挙だったら立候補届け出順第一位に相当するところに、「黒ごまアイス」があるのがアツい。バニラ味なんて、今更紹介するまでもない・・・という判断なのだろうか。何しろ、第二位が「北海道小豆」だし。攻めるなあ。

それはともかく、アイスクリームだけで21種類、かき氷は16種類もあった。すごい品揃えだ。

アイスはスジャータ製だ。「ネスプレッソ」のように、カプセルを交換するだけで1杯ずつ違うフレーバーのアイスクリームを抽出することができる。

https://www.sujahta.co.jp/tomi/machine.html

滑らかさはさすがにガチなソフトクリームと比べるといまいちだ。でも、いろいろな味を楽しめるのが楽しい。

それにしてもこんなに山頂に「電気があることが前提となる」冷凍品が売られているとは。時代だなぁ。

下界から、直射日光をさんさんと浴びながら登ってきた人にとって、このアイスクリームは癒しとご褒美になるはずだ。

渋い「癒し」も売られていた。「伊吹薬草」だって。

「薬草の宝庫 伊吹山」という売り文句とともに、薬草が売られている。山頂で薬草が売っている日本百名山なんて、ほかにはないぞ多分。

平安時代から薬草の産地として知られていて、時の朝廷や幕府に献上されていたのだというからガチだ。

この、草しか生えていない山ではあるけれど、薬草が生えているとは。

いや、だからといって足元に生えているのは単なる雑草だと思うけれど。なんでも薬効があるわけがない。

山頂のすぐ近くに、弥勒菩薩が祀られている石堂があった。お寺があったり、菩薩様がいらっしゃったり、ここは仏教色がとても強い。

むしろ、神道に関するものがないように見える。

伊吹山山頂一帯。広大な野原。これが山頂というのが驚きだし、日本の真ん中あたりで、標高がわずか1,377メートルにしてこの光景。信じられない。とても快適だ。車で来られるのも最高だ。

山頂一帯は天然記念物のお花畑になっている。さすがに11月ともなれば咲いている花はないようだけど、多種多様な花がシーズンになると咲くらしい。

目隠しされてここに連れてこられたら、「あの世に逝ってしまったのかな」と思うかもしれない。

扇形に組まれた石畳。

階段状になっているので、ここで野外コンサートでもやるのかな・・・と思ったが、たぶん違う。コンサートをやるなら、扇の要部分がステージになるので、一番低い位置になくちゃ。

山頂広場の片隅に、農業用モノレールが設置されていた。なるほど、これを使って山頂の茶店に大量の物品を運び上げているのか。いちいちヘリで運び上げるのは大変なことだけど、9合目まで車道がある山なのでこれなら楽だ。

そのモノレール線路に沿って、駐車場に向けてストーンと降りていく登山道がある。

帰りはこの道を通って帰ろう。

見下ろす駐車場。

500台収容できるといって侮れず、気候が良いときは午前中の早い時間に到着しないと空き待ちの渋滞ができてしまうという。

渓谷にしろ、滝にしろ、この手の「どん詰まり」が目的地となっている観光地は、いったん渋滞が起きるとエグいことになる。途中であきらめてUターンしようにも、そんな空間がなくてにっちもさっちもいかなくなる。ただひたすら、前に進めるようにお祈り申し上げるしかない。あとは膀胱との闘いだ。

伊吹山からみた景色。雄大だ。

登山道をトトトン、と下っていく。

あっという間に駐車場に降りてきた。

正味15分、といったところか。

手ぶらで行って帰ってこられる山頂。その噂は嘘じゃなかった。一応トレッキングシューズを履いてきたんだけど、これならスニーカーでも登れただろう。でも、安全であるにこしたことはない。

今日みたいに天気が良いと、サングラスがあると少し楽だ。

サングラスをかけていると、疲労感が全然違う。別に僕は「まぶしいからサングラス」という発想はなく、「楽して山に登りたいからサングラス」という発想だ。

(つづく)

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