16:19
那須湯本温泉の民宿街を歩いてみる。
前回、この民宿街には「滝乃湯」の他に「川原湯」という別の共同浴場があることをあとで知って「えっ、行きそびれた!」となった。なので、その幻の「川原湯」を探してみよう、というわけだ。そういえば民宿街の端から端までは、前回は歩いていなかった。
雪道を歩いている途中、「那須温泉 昔語り館」という看板が出ている建物があった。サッシには、「入館無料」と書いてある。ほう、それはいい。帰り道に立ち寄ってみよう。
16:20
鹿の湯から滝乃湯までの間は、道路の両側にみっちりと宿が軒を連ねている。まるで長屋のようだ。
しかし滝乃湯から先は、風景に統一感がない。
おや、ちょっと大きめの3階建ての建物が見える。廃墟・・・っぽいな。昔はここも温泉旅館だったのだろうか。今はその痕跡が残っていない。わかるのは窓の内側が廊下になっているっぽい、ということだけだ。
これも謎の建造物。
雪が積もっているせいもあって、ますますなにがなんだかわからない。スロープ、または階段?
下ったところが、空洞になっているけどこれはなんだろう?
雪に道を阻まれ、近づくのはやめておいた。
16:21
小鹿の湯、という施設があった。「はなやホテル」という旅館の風呂が、日帰り入浴対応になっているらしい。
探せばこの界隈でも日帰り入浴を受け入れている宿があるかもしれないけれど、ぱっと見渡した限りはここしか見つからない。
今日みたいに鹿の湯が閉まっている場合、温泉目当てでやってきた人はここを頼ることになるだろう。
なにしろ、滝乃湯にしろ川原湯にしろ、民宿に泊まっている人でないと利用できない共同浴場だから。
建物の脇から湯気が出ている。
そこに、大きなつらら。
ああそうか、つららというのは熱気があるからこそ、屋根の雪が溶けて固まってできるのだな。何を今更、ということに気がつく。
16:22
おっと。これが「川原湯」だな。とくに看板など出ていないが、明らかに共同浴場だ。
当浴場は那須温泉浴場組合に依って維持管理されております
関係者以外の入浴を堅くお断り致します
と書いてある。あと、別の場所には
「組合費をもってこれにあてて居りますので入浴出来る方は組合員・旅館・民宿」とも書いてあった。
あと、「入墨の方の入浴をお断り致します。」と大きく書いてある。おや、そうなのか。日帰り入浴施設などでは、入墨を禁止しているところが多い。しかし、昔ながらの「銭湯」と呼ばれるような場所では、入墨の人も利用ができることが多い。公衆衛生という観点から銭湯が営まれているからだ。
しかし、この共同浴場は禁止なのだな・・・と思っていたら、あれ?そのすぐ下に
「※宿泊客を除く」
と書いてあった。出たな、米印。
宿泊客に限っては入墨オッケーなのか?でも、地元民なら、入墨NGなのか?謎だ。
川原湯の中。
民家が近いのか、ここは地元民がたくさん利用していた。この写真は、偶然人がすっといなくなった瞬間に撮影したもの。
湯船が2つあるのは、滝乃湯と一緒。ただし、サイズは小さい。
16:54
サイズが小さく、そして地元民でいっぱい。最初、中に入ったときはアウェイ感を随分感じて、ちょっと緊張した。風呂場にいる人たちが、「誰かな?知り合いかな?」と全員が一瞬こっちを見るからだ。
もちろん風呂に入っている人に悪い人はいない。みんな気持ちがおおらかだ。すぐに打ち解けて、「どこからきたの?」なんて会話になる。「ここのお湯は最高だろ?」という自慢話とか、聴かせてもらう。大変に面白い社交場だった。
ただ、心おきなくゆっくり過ごしたいと思っている今の僕にとっては、ちょっとしんどい。元気が良い時はまたここに来たいけれど、今回は療養が目的だ。宿の目の前の滝乃湯を今後使い続けることにしよう。
17:03
風呂上がり、さっぱりしているところ。
浴衣が小さくて、スネが出てしまっているけれど湯上がりだからへーきへーき。
とはいっても、気温計は・・・ええと?あれ?12度?
いや、違う違う、逆だ。メモリの見方が逆だ。「氷点」がゼロ度なので、ええと、マイナス3度!これは寒い。
さすが湯上がり、ビクともしないぜ。
17:09
先ほど見かけた「昔語り館」だけど、扉を開けようとしたら鍵がかかっていた。しまった、17時で閉館だったらしい。また明日訪れるとして、一旦ここは引き上げることにする。
昔語り館にある自販機を前に、立ち尽くす。
(つづく)
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