13:35
大山山頂をあとにして、下山を開始する。
カメラのタイムスタンプを見ると、山頂滞在時間は20分弱だった。おおう、一人登山というのはこんなに地味なのか。スタンプラリー感が半端ない。
もっと山頂を満喫しろよ、と思うが、3月なのでまだ空気が寒い。長居するとしんどいので、現実的にはこれくらいの時間になってしまう。
山頂でコーヒーをドリップしよう、なんて欲張りだすと、家を出発するまでの準備が面倒になって、結局山にいかなくなってしまう。できるだけ「めんどくせー。登山はやめよう」という気持ちに倒れないように、あれこれ要素を詰めすぎないほうがいい。
見晴らしの良い尾根に、よく整備された木道が通っている。
こんなに日当たりがいいのに木々が密集していないのは、風が強かったりして植物には暮らしづらい環境なのかもしれない。
13:35
山頂から下り始めてすぐのところに、大きなベンチがいくつか並んでいるエリアがあった。
山頂が人でいっぱいで、お弁当を広げる余地がないときはここでくつろぐことができそうだ。
13:36
おや。
これからの下山ルートである「見晴台」が2.2kmなのはわかっていたが、「七沢(東丹沢七沢温泉郷♨7.7km」という標識も出ている。
温泉があるのか。しかも、「温泉郷」ということはそれなりのスケール感で、このあたりは温泉が湧くのか。
そういえば、新宿から小田急線で伊勢原を目指す途中に、「鶴巻温泉」という駅があったな。
ふーむ。
13:40
「♨」というマークに気持ちを奪われながら、下山を続ける。
13:41
今歩いている、「山頂~見晴台~下社」のルートは、往路で歩いた道寄りも大回りになる。なので、大山ハイキングを紹介している記事では表参道往復の記載になっているものをいくつもみかける。
ちなみに表参道登山の場合、標準コースタイムは上り90分、下り60分。
一方、見晴台経由で下ると、75分。
https://www.yamakei-online.com/yamanavi/yama.php?yama_id=385
見晴台からそのまま尾根を下り続けること90分で、日向薬師という山麓に下山できるらしいけど、そこまで信心深いわけではない僕は、このルートは考えていない。それよりも、スタンプラリーストおかでんとしては山の名前を冠した「大山寺」に立ち寄りたいし、そのあと名物の豆腐も食べたい。
しかし、「♨」も気になってきた。
13:45
あれ。小鳥が道をちょこちょこ飛び跳ねている。目立つけどあの鳥はなんだろう。
オレンジ色なので、コマドリかな?と思ったけど違う。ヤマガラっぽいので、そういうことにしておく。人懐こいのか、それとも僕が野生動物に愛される徳の持ち主だからなのか、大して逃げようともせずに動きまわっていた。
13:48
ぐねっと曲がった道を下る。それなりに標高差がある道だ。
13:49
不動尻分岐、と呼ばれているところにやってきた。
このまままっすぐ下っていけば見晴台経由で大山阿夫利神社下社、または日向薬師。
左に逸れると、「まだ山歩きが物足りないです」という人向けのエクストラモード。さすが丹沢山系、このあたりは登山地図に登山道表記がされていて、コースタイムも明示されているルートが縦横無尽にある。気が済むまで登ったり下りたりしていいし、できるだけ稜線を歩き続けて、最後にズドンと下ってもいい。
まあ、僕は常に「最短・最楽の道を行く」人であり、そんなあちこち行こうとは思っていないけれど。
しかし、「♨」が気になるなぁ。
分岐に設置されていた「大山七沢トレイルマップ」をガン見する。
七沢へお越しくださいませ、ということで、下社やケーブルカー方面は殆ど見切れていて、大山から北東方面にある七沢、そしてそこにある8軒の温泉旅館がクローズアップされている。
ううむ、俄然興味が湧いてきた。
眼中になかった方面だけど、下山後に♨というのは悪くない提案だ。最初、伊勢原に戻ってから鶴巻温泉でお風呂かな?という考えがあったのだけど、それよりも「下山したらそこに温泉が待ち構えていた」ほうがいい。
豆腐が食べられないのは惜しいけど、温泉のほうがよさそうだ。なにしろ、僕はついさっき山頂でお弁当を食べたばかりだ。こんな今だからこそ、「豆腐よりも温泉」という判断が成り立つ。
しかし、登山計画書はもう「見晴台経由で下社に下山します」っていう内容で提出しちゃってるんだよな。途中で登山計画を変更する、というのは良いことじゃない。万が一があったときには、各方面に迷惑をかけてしまうからだ。
調子に乗って、二段飛ばしで階段を駆け下りる、なんてことはしないように、注意深く七沢方面に行こう。決めた。
下山口のある広沢寺温泉まで、ここから150分のルート。一気に長丁場になったぞ。怪我だけでなく、道迷いにも気をつけないと。
13:52
進路を東から北に切り替え、七沢を目指す。
このルートを選んだのは、温泉があるということもさることながら、ルート中に「山神隧道」というトンネルがあるからだ。登山地図を見ると、この界隈の登山道が不思議な作りになっている。なんでこんな道になっているのか、それを現地で確認してみたい。あと、単にトンネルが好き。
(つづく)
コメント