ライトかつエレガントな縦走【金時山】

12:11
金時山山頂には公衆トイレがある。

便利なご時世になったものだ。

もちろん有料で、1回の利用で100円となる。ただし、募金箱にチャリンとお金を入れる方式なので、全員がお金を入れているかどうか、随分怪しい。

いっそのこと、100円を入れないと扉が開かないようにすればいいのに・・・と思うが、そうなると「両替機を置いてくれないと、利用できないじゃないか!」とか、「すいませーん、1万円しかないんですけどー」などという人が続出してしまう。または、50円玉を2枚入れたんですけど、扉が開きませんヨ?なんて言い出したり。いやもう、しらんがな。

イレギュラーケースの面倒な運用を考えると、ある程度ザルな扱いにせざるをえないのだろう。

山頂には、2軒の茶店がある。

日帰り登山レベルの山で、山頂に茶店があるというのはそれほど多くはない。

この山には2軒も並んでいる、というのは、それだけこの山が人気だということだ。

グリーンの壁の建物は、「金太郎茶屋」というお店。

もう一軒は、木造の古めかしい建物で、「金時娘の茶屋」と書いてある。しかし、昔からあるのだろう、壁の色とほぼ一体化してしまって目立たない看板には、「元祖金時茶屋」と書いてあった。

どうやら、金時茶屋という名前だったけど、金時娘なるギャルが人気で、「金時娘の茶屋」というキャッチフレーズがほぼ正式名称になったのだろう。

もちろん、「金時娘」がギャルだとは思っていない。おそらく、そうとうご高齢の方だと思われるが・・・

12:20
せっかくだから、味わい深いお店でお昼を食べたい。金時娘の茶屋に入ってみることにした。

中は、いかにも山の中にある茶屋、という感じのレイアウト。

しかしここが独特なのが、天井からたくさんの短冊がぶら下がっていることだ。

なんだこれは。

「2,100回」「2,200回」・・・と、100回刻みでナンバリングされ、そこに人の名前が書かれている。輪廻転生した回数なのか?と思ったけれど、そこまで死んだり生き返ったりするのは大変だ。違う。

おそらくこれ、金時山に登頂した回数なのだろう。すごい人がいたものだな、こんなに登るのか。

毎日登ったって、1年で365回しか登れない。4,100回登っている人もいるけれど、こういう人は1日に2往復とかしているんじゃあるまいか。何者だ?永遠に道に迷い続けて、山麓と山頂をいったり来たりしているのだろうか?

もはや古文書の様相を呈している本が並ぶ。ここには「2006-18-6-5-7-7」のような数字が振ってあて、その意味は正確にはわからないけれど、登頂した人が記帳するものなのだろう。膨大な数だ。

登山回数について
1日は1回 途中まで下りて登っても回数は増えません。
名簿の記帳された回数が原則です。
自分の手帳からはダメ ルールは守って下さい。

という張り紙が棚に貼ってあった。なるほど、そりゃそうだよなあ。

これまでの長い歴史の中で、いろいろ怪しい事例というのがいっぱいあったのだろう。

グッズがいろいろ売られている。

先程の登頂名簿同様、色がすすけている値札があるけれど、これは税金が上がっても、物価が上がっても昔から変わっていない値段なのだろうか?

金太郎飴が置いてあるのは当然として、Tシャツや羊羹、栗せんなどが売られている。「金太郎」というコンテンツを持っている山は強い。

缶ビール600円。おっと、ノンアルコールビールも売られているぞ!350円。

嬉しいなあ、山頂でノンアルコールビールが手に入りやすくなってきたのを実感する。

でも、そりゃそうだよな、これから下山を控えているというのに、酔っ払うのはまずい。ノンアルコールビールで済ませて、下山してからガッチリ飲もう!という人が増えてもおかしくない。

ありゃりゃ?

金時ムスメは11/2転んで左大腿骨骨折して入院してました
2/16退院しましたがリハビリ中です

と書いてある。なんてこった。金時娘、いないのか。

でもそりゃそうだよなあ、と思う。日々ここに「通勤」していたら、怪我のリスクは常に付きまとうし、一旦怪我してしまうと当分復活できない。

3ヶ月間も入院していたそうなので、随分な怪我だったようだ。ぜひ復活を遂げてほしいけれど、大変なお仕事だとここからも伺える。

金時山山頂は、きのこ汁が名物なのだという。

さすがに山頂周辺できのこが採れるわけではなく、単に下界から運び上げているだけだけど、だけど「山に来たなあ」という気分にさせられる食べ物だ。すごく安直だけど。

たぶんこのしめじ、工場で生産されているんじゃないかと思うけれど。

頼んでみると嬉しい誤算が。なんだこれーッ、きのこがびっしり、お椀の表面を覆い尽くしているじゃないか。こんなきのこ汁を見てしまうと、今後どんなきのこ汁を見ても「きのこ入り味噌汁、だろォ?」とバカにしてしまいそうだ。それくらい、過去に見たことがないボリュームのきのこ汁だった。

すげえ、こんなの、自分ちで味噌汁を作るときだって、作らないよ。「きのこが余っているから、えーい全部お味噌汁に入れちゃえ」とやったからって、こうはならないよ。嬉しいなあ、ワクワクするなあ。

そしてもちろん、傍らにはノンアルコールビール。

(つづく)

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