負傷しながらの下山【苗場山】

11:34
写真を撮っているけど、これだけガスっているともうなにがなんだか、状態だ。

ただ、写真に残しておかないと、後々の記憶で「ガスっている中、キツい山に登りました。まる。」でこの山行が終わってしまいそうだ。だから、無駄とも思える写真を撮って、ディティールの補強に使っている。

とはいっても、この植物をどうして撮影したいと思ったのか、そのときの心境をまったく覚えていない。

11:35
鞍部に出てきた。

あとで答え合わせのように、晴れの日の写真と対比すると「なるほど」と納得が行く。森林限界をほぼ突破しているので、これまで歩いてきた道のりと、これからの道のりが全部見えるからだ。

しかしこの日の僕たちは、ガスっている中をひたすら歩いているだけだ。何がなんだか、全然わからない。目の前に下り坂があれば下るし、上り坂があれば登る。それだけ。

正面に、きれいなピラミッド型のピークが見えるけれど、これがどういう位置関係にあるのかさえ、もうどうでもよくなってきた。

11:38
鞍部には「お花畑」という名前がついていた。ははは、と乾いた笑いをするしかない。

当然この季節なのでお花は咲いていないし、咲いていてもこの天気じゃ、とても楽しめる状況にない。

山頂に向けての登り開始。

11:40
このあたり、何か所か「荒々しい匂い」がする場所があった。おそらく獣の匂いだ。ツキノワグマか、イノシシか。

ほんのり臭うのではなく、かなりがっちりと強く臭う。ひょっとすると近くに動物がいたのかもしれない。

11:49
稜線を歩いていく。

本当なら右も左も眺めがよいのだろうけれど。

地図を見ると、登山道の左右とも等高線の幅が狭い。急な崖になっているようだ。

「ようだ。」と推測でしかものを言えない有様。

11:55
さすが標高200メートル近い登り直しィィィ!かなりキツゥイ!

12:04
雲尾坂、という名前の場所。

ここから山頂まで20分。

苗場山の山頂は、山のてっぺんとは思えない高層湿原が広がっている場所だ。南米ギアナのテーブルマウンテンのようだ、というと大げさだけど、山頂周辺は比較的平らになっているらしい。

ということは、だ。

その湿原の縁にたどり着いて、山頂の標識まで水平移動にちょっとは時間がかかるだろう。その時間を差っ引くと、実質15分か・・・。

このキツさがあと何分で終わるの?ということを心配して、できるだけ少ない時間に見積もって自分を鼓舞する。

12:09
容赦なく標高を上げていく道。ただしこの雲見坂はよく道が整備されていて、歩きやすかった。

こういうとき、アルパインポール2本を使った「四本足登山」は本当にラクだ。ポールにぐいっと体重を乗せつつ、体を前に押し出す。太ももで無理して体を上に持ち上げるという感じではなく、腕の力を使って体を引き上げる感じ。負担が分散してラクだ。

12:13
ヘロヘロな御一行。

12:23
いつまでも階段があると思うな甘ったれ、とばかりにまたゴツゴツした岩を歩くことに。

この岩、苦手なんだよなあ。雨が降っているせいで滑るんだよなあ。

12:25
わかるかね?この岩だらけの道のエグさを。

いや、たいしたことないように見えると思う。そんなに段差がないし。でも、一つ一つが平らではなく、足を着地させるたびに体のバランスをコントロールしつづけないといけないのは本当にキツいんだ。わかってくださいよみなさん。ほんとなんだって。

(つづく)

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