もうね、毎年おなじみの展開なのでサクサク話を進めていくよ。いちいち「レンタカー借りた!うひゃあ!」なんて写真入りの文章を書いていたんじゃ、きりがない。
結論から先に書いておこう。
今年もいつものメンツで八海酒造の「魚沼の里」に行きました、今年も上越市の「農家民宿 うしだ屋」に泊まりました、今年も「のっとれ!松代城」に参加し、事故なく無事にレースを終えました、今年も「やあ楽しかったね)と言いながら東京に戻りました。
以上。
ああなんだ、この旅行記の連載はこれで終わりじゃないか。じゃあみなさんごきげんよう。また来年お会いしましょう。
これじゃいかんので、気を取り直して文章書くぞ。でも、例年と違う内容のところをダイジェストで書こうと思う。
雪の状況は毎年越後湯沢に到着して、真っ先に気にすることだ。
「ああ、今年は雪が少ないねえ」
と毎年、決まりきったように言ってる気がするけどどうだったかな。とにかく、初参加だった2014年がすごかったので、その印象が強い。あのときは、ひたすら一面の銀世界だった。さすが豪雪地帯、パネエと思ったものだ。
今年は、やっぱり雪が少ない部類だと思う。昨年の写真と見比べるほどのガッツがないので、なんとなくの推測だけど。
高速道路で一路、「魚沼の里」を目指す。
越後湯沢駅から「魚沼の里」までは、だいたい30分前後の所要時間だ。Googleマップナビでは、少なくともそう言っている。で、面白いのが、高速道路を使っても下道を使っても、大して所要時間が変わらないということだ。せいぜい数分。
そんな馬鹿な、と思うけど、それだけこのあたりは下道でも道がまっすぐだし信号が少ない、ということだ。
だったらコスト節約のために下道でいいじゃねぇか、と思うわけだけど、まあ、高速道路だとねえ、ナビが想定しているスペック以上にスピードが出るんでねえ、実際には案外下道よりも差がつくんですよ・・・とかなんとか。
それは冗談として、Googleマップのナビ機能がどのようなロジックで到着予定時刻を算出しているのか、よくわからない。車載カーナビのカロッツェリアだったりすると、ちゃんと「下道は平均時速30km/hを想定、高速道路は80km/hを想定」みたいな設定ができるのでスッキリしているのだけれど。
今回、またもや「魚沼の里」にやってきたのは、新しくできた「猿倉山ビール醸造所」に行ってみたかったからだ。絶品メシが食えることで僕らの中で人気が高い「みんなの社員食堂」からやや奥に進んだところに、昨年のっとれ!時には建造中だった建物。それが、クラフトビールの醸造所とビアパブを併設した、「猿倉山ビール醸造所」だ。
僕がこっぴどく足をくじいて生活に支障が出た苗場山登山2018年9月(2020年2月時点で、まだ記事化されていません)の際にこの地を訪れたときはすでにオープンしていたけど、中には入っていない。今回初潜入だ。
三角屋根が映える。
感心させられるのが、いちいちこういうのにキッチリとデザイナーを入れて、ロゴを作っているということだ。素人の仕業じゃない。なんなら、ブランディングも含めてプロの仕業だと思う。
ロゴって大事だな、と思う。こういうのを見ると、ワクワクしてくるし。
この三角屋根の建物には、「ビアバー」と「リカーショップ」と「ベーカリー」の3つが入っているようだ。あれっ、さとやベーカリーって、独立した建物にお店を構えていたのに、ここに引っ越したのか。
昨年の「のっとれ!」時にここでパンを買って、「うまいじゃん!」と一同唸らされた、そんなパン。
ずるいわー、本当にずるいわー、八海醸造、何やっても美味いしかっこいいんだもん。
シャキーン、とまっすぐ伸びた屋根、明るい木目の壁が美しい建物。
それにしても驚いたのが、3月でまだ雪が残るシーズンだというのに結構なお客さんの数がいる、ということ。公共交通機関なんてないから、みんな車でやってきていることになる。
昔っから、この時期のここは閑散としていたのに。いつのまにか一大観光地に成長しちゃったらしい。嬉しいような、ちょっと残念なような。でもそれだけのポテンシャルがあるから当然だ。
丘の中腹にある猿倉山ビール醸造所から見た魚沼の景色。美しい。
良くも悪くも、何もない。だからこその開放感で、本当にすがすがしい。ここに来るまでの道中も、一面の田んぼで開放感が素晴らしかったけど、こうやって見下ろすとこれがまた心洗われる。
ちなみに、「八海山」という清酒でおなじみの八海醸造だというのに、「猿倉山」ってなんだ?と思うわけだが、八海山から派生する山の連なりの一つが、猿倉山(標高688m)というわけだ。その猿倉山からさらに連なる長森山があって、その中腹にあるのがここ、という。
うん、つまり「遠い親戚」みたいなものか。
「長森山ビール醸造所」だったら、なんだかもっさりしたネーミングだと思う。でも、「猿倉山」になると、「サル」という言葉の響きと意味もあって、なんだか俄然シャキンとした印象になる。
猿倉山ビール醸造所の内部。
おっと、あの三角屋根の中は完全に吹き抜けなのか。巨大な空間がそこには広がっていた。
いや、そこまで「巨大」というわけではないけれど、天井が高くて開放感が素晴らしい。しかも、丘の下に向けてはガラス張りになっていてバーンと開けた景色を屋内からでも楽しめる。これはちょっとすごい。
「あれっ、あそこに飾ってあるのは『トミオカホワイト』じゃないか」
誰だったかが、壁に飾られた絵の存在に気がついた。新潟出身の作家・ 富岡惣一郎氏の作品だ。独特な雪山の描き方がとても特徴的で、この魚沼の里の近所に「トミオカホワイト美術館」がある。彼が独自に調合した、雪を表現するための白色の顔料は他に類がなく、「トミオカホワイト」と呼ばれている。
アートに詳しくなくても、一度見たら忘れない。それがトミオカホワイトの絵だ。そんな絵がここにしれっと飾ってあるなんて。すげえな。
後で気がついたが、この敷地内の別施設でも、トミオカホワイトの絵は飾られていた。八海醸造自体が 富岡惣一郎の作品をシンボルイメージの一つとして捉えている。
猿倉山ビール醸造所の中にある「猿倉山ビールバー」。ここでは、醸造所で醸されたビールが瓶で売られているし、タップから注いだグラスビールも売られている。
ヴァイツェン、アルト、IPA、ピルスナー、ポーター、ペールエール。
銘柄だけ見ると、奇抜なビールを醸しているわけではない。最近のクラフトビールは、「何の冗談だ?」と目を疑うような、おもしろネームのビールを醸していたりする。果たしてどんな味なんだろう。
猿倉山、ということもあって、ラベルにはサルの絵が描かれている。なにか、もふもふのコートを羽織っているように見えるし、地毛のようにも見えるけどどうなんだろう。そこまで細かくはこのラベルを見ていない。
「猿倉山ビール」という名前ではない。ブランド名は「RYDEEN BEER」だ。猿倉山と名乗ったら、清酒っぽく見えてしまうからかもしれない。
まだ新しいブランドのはずだけど、早くも東京界隈でちらほらと見かけるようになってきている。ラベルの色がキラキラして目立つし、詰合せにして贈答用としてもかっこいいと思う。すげえなあ、八海醸造。芸が細かい。
ずらりと並ぶタップ。
その場で飲んで、気に入ったら瓶で買って帰るといい。
ビールとどう関係あるのか謎だけど、この猿倉山ビールバーのレジ横は「ハスキージェラート」というジェラート屋になっていた。
ハスキー犬がこっちを睨みつけている。ハスキーは可愛い犬だけど、目だけはマジないきものだ。それをそのまんま絵にすると、やっぱり目が怖い。でもこのロゴはすごく印象的で、記憶に残るしクールだ。
RYDEEN BEERと似てるな、と思ったら、同じデザイナーによるものだった。というか、そのデザイナーが所属する会社自体がジェラート事業をやってた。
いやすごい、あんたらクールだぜ。新潟発のデザインとして、とても良いと思う。
ひょっとして建築デザインもそうなのかな?と思って調べてみたけど、さすがに違った。この界隈の一連のいけてる建物群は、たぶん全部鹿島建設およびKAJIMA DESIGNによるものらしい。
ビールはレギュラーカップ600円、ハーフ300円、5種類飲み比べで1,200円。さすが製造直売なだけあって、お安い。
開放的な客席。
席数はさほど多くないので、行楽シーズン時になると混むと思う。ゆっくりしていられるのは今のうちだけだろうな。
この写真奥には、さとやベーカリーがある。間仕切りなく、ビアバーと空間を同じくしてパン屋があるという構造が面白い。
5種類のライディーンビール飲み比べセット。
魚沼の太陽を浴びてきれいに光っている。
そういえば、ここにはスタウトがないんだな。
「お酒を醸しているところの併設レストランにまずい料理なし」というのは、僕の体験に基づいた経験則なのだが、ここでもそう。うまい。
いや、酒造に限らず、発酵蔵系は全部うまいと思う。味噌や醤油を作ってるところのレストランも、「おやっ」というほど美味い印象があるし。
ここいらで一発、今回の「のっとれ!松代城」参加メンバー全員の写真を。トミオカホワイトをバックに。
ちなみに僕が飲んだのは、「八海山甘酒レモンソーダ」500円。
ノンアルコールビールがメニューにあったけど頼んでいないのは、おそらくそのノンアルコールビールが猿倉山と全然関係ない、大手ビールメーカーのものだったからだと思う。記憶が曖昧だけど、きっとそうだ。そうじゃないと、甘酒レモンソーダは頼まなかったはずだ。
(つづく)
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