地上の楽園を普段使い【小梨平ソロキャンプ2019】(その01~20)

14:25
小梨平売店の様子を伺ったあと、また河童橋方面に向かう。

この時間から明神まで歩いていくというのは現実的ではなく、かといってキャンプ場でどっしりと読書をするにはまだ気持ちが落ち着かない。「縄張り」ともいえる河童橋周辺を一通り見て、なるほど2019年シーズンの上高地はこんな感じなんだな、というのを把握した上でゆっくりしたい。

その前に、一旦梓川沿いに出てみる。

ネコヤナギが美しい河原、そしてその奥に岳沢。

一体何度この写真を撮っているんだ?きりがない。

きりがないついでに、三脚とセルフタイマーで自分も入れた記念撮影を撮る。

なんの記念か、自分でもよくわかっていない。でも、被写体がキレイな風景であればあるだけ、自分という「汚物」というか存在が写り込んでいないと、非現実的に浮遊した存在に感じてしまうからだ。

美しい写真、特に岳沢と穂高連峰の写真なんて過去に何百万人以上もの人が撮影している。自分がそれらと全く同じ構図の写真を撮っても、あまり意味がない。しかし、自分がセルフタイマーによって写り込むことによって、「おかでんがここに居た証」という意味が写真に込められる。書画における署名捺印のようなものだ。

マンションポエムの研究や工場・団地写真で有名な大山顕さんが、写真やゲームにおける「人称」について深く考察している。

スマホにおける自撮り、という概念は人々が思っている以上に写真においてエポックメイキングな出来事だった、などと新しい切り口で写真について語っていて、とても刺激的だ。「写真を撮る、ということは自分がそこにいないことの証である。被写体と、撮影者という関係性があるから写真は成り立つ。しかし、自撮りはそれを覆す」などという考えは「なるほど!」と唸らされる。

一方僕はというと、自撮りについては「私が私を撮る」という意味だけではなく、「私がここにいる、ということを第三者(主にwebサイト読者)に見せる」という意味が入ってきて、メタ構造になっている。僕自身、写真とは一体何なのか、漫然と撮影していないで考察する機会をいずれ持ってみたい。

僕が陣取っているテントエリアはこんな感じ。スペースの空き具合を見ると、まだもう少し、テントを押し込むことができそうだ。既に入居していらっしゃる方からすると「おいちょっと勘弁してくれよ」という目をされるだろうけれど。

平和を嗜好する僕は、風光明媚な川方面にテントを向けず、ちょっと奥まったところにテントを張っている。写真だと、奥の方にちょこっと白いテントが写っているが、それだ。

奥穂高岳。

・・・からの、西穂高岳方面。

梓川。

雪解け水のおかげで、水流豊富。

焼岳が遠くに見える。このあたりの梓川は川の流れが早い割に水深が浅いようで、広い範囲でバシャバシャと波が立っている。上流からえぐってきた土砂が堆積しているのだろう。

ここでもおかでん自撮り。

メタ構造がどうたら、と語っているのはいいけれど、さも「今歩いている最中です」感をだすために手を握り、片足を前に出しているこの姿勢はちょっとダサかった。やるんじゃなかった。

大山顕さんの新写真論の話をしてごまかすと、RPGとかFPSといったゲームは一体誰目線でプレイしているのか謎、という話が面白かった。だいたい、主人公の右斜め後ろあたりからの構図で画面が構成されている。つまり、主人公が一人称ではなく、三人称だ。でも、コントローラーで操作して動くのは当然主人公だ。

そんなことを考えていると、自分も「目に見えない、サイト読者に知らずしらずのうちにコントロールされている」のかもしれない。気にし過ぎだけれど。

以前僕がお酒を飲んで、結果的に依存症寸前までいったために生涯断酒という厳しい選択肢を選ばざるをえなくなったが、これは「お酒を飲んで酔っ払うおかでん、というキャラクターが好まれると思ってそれを演じてきた」要素が多分にある。自分が自分を潰してしまった。目に見えない観客を意識しすぎて。

14:55
河童橋たもと、梓川右岸にある「五千尺ホテル」。白樺荘の隣だ。

ここに、「トロワサンク」というカフェがあるので、行ってみることにした。

お目当ては、「上高地人気No.1アップルパイ」だ。人気No.1をうたうならば、上高地を普段使いするぞ宣言をしている僕ならば食べなくちゃ。

でも、後で気がついたが、上高地でアップルパイを売っているのはここだけだった。なるほど、不戦勝でNo.1か。

それはそうと奥さん、山賊弁当980円が半額で売っていますよ。手書きの紙で「半額!」と書いてある。

上高地って、15時にもなるとタイムセールの対象になるんだな。そりゃそうか、お昼どきに売れなかったら、いつお弁当を食べるんだ?ということになる。

半額で売るとはたいへんなことだ。でも結構売れ残っている。買った!ここにある山賊弁当、全部くれ!・・・嘘です、1個でいいです。よく考えると、さっきお昼ご飯で山賊弁当を食べたばっかりなんだよな。

アップルパイのほかにいくつかケーキがある。大正ロマンケーキ、白桃のフロマージュ。

ちなみに「信州完熟りんごのパイ」は480円、ドリンクセットで890円。場所柄を考えるとそこまで高くはない。

アップルパイとホットコーヒーをいただく。

味?いや、あんまり覚えていない。

ひっきりなしにお客さんがやってくるレジ横の席だったので、どうにも気が散って落ち着かなかったから。お腹が空いたので食べに来たというわけじゃないので、ゆっくり落ち着いて本でも読める場所がいい。そうなると、河童橋周辺のお店というのは僕のニーズとは合わないだろうな。とにかく、人が多いから。

(つづく)

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