結婚決定で天にも昇る気持ち、じゃなくて富士山に登る【富士山登山(富士宮口)】

15:36
富士山五合目、富士宮口登山口。

山頂方面は深いガスに覆われていて、視界が悪いようだ。それでも、雨がぼたぼたと降っていないだけまだマシ。今日はこれから2時間ほど歩いて山小屋を目指す稼ぐ予定なので、短期決戦だ。

富士山という山はひたすら単調につづら折れの道を登っていくしかやることがない。なので、今日はただただ、標高を稼ごう。お楽しみはご来光がある明朝だ。

登山道の入り口に、自立式のタープが張ってあっておじさんが待ち構えていた。

「富士山保全協力金 お願いします」と書いてある。

ああそうだ、確か数年前から富士山は入山料に近いお金を徴収しはじめた、っていうニュースを聞いたな。ユネスコの世界文化遺産に登録されたし、昨今は外国人観光客も含めたオーバーユースで山が傷んでおり、登山道やトイレの整備、体調不良者の対応などのためにお金を取るらしい。

そのお金、お一人様1,000円。

高い!

でも、「おっ!?」と思う値段に設定しないと、オーバーユース対策にはならない。「そんなに高い入山料なら、富士山には行かないよ」という人が一定数いてこそ、はじめて成り立つ木戸賃だ。

将来的にはどうなるかわからないけど、2019年時点ではちょうどいいバランスの値付けだと思う。

とはいえ、二人で2,000円はなかなかな負担だ。これまで、「山頂に立つためには神社にお金を納める必要があるよ」という立山や月山を登頂したことがあるが、中腹からガッツリ入山料を取るのは初めてだ。

そういえば山全体が神域とされている日光の男体山も、入山料を取っていたな。どあれっていくらだっけ。・・・ええと、ああ、男体山も1,000円だ。まあ、なのでこの協力金がべらぼうに高い、というわけではない。

缶バッヂなんていらないので、1,000円の全額を富士山の保全にまわしてほしい。こんなバッヂ、もらって喜ぶ人ってどれだけいるんだ?あ、でも外国人観光客は嬉しいかもしれない。

15:45
改めて。標高2,400メートル、富士宮口登山口から登山スタート。

いしは早速レインウェアを上下とも着込んでいる。若干の霧雨が降っているからだ。僕はレインウェアを持っているけれどこれくらいでは着ない。濡れるの上等。いくらゴアテックスだろうがなんだろうが、着脱が面倒だし歩いていると暑い。

いしのレインウェアは、ドン・キホーテで買ったものだ。僕が「この際だからちゃんとゴアテックスのレインウェアを買ったほうがいいよ」と何度もおすすめし、mont-bellまで彼女を連れて行ったのだけど、「高いからいらない」と言う。で、「近所にドンキか何かないか?」というので連れて行って、そこで買ったものだ。確か3,000円くらいだったか。

この頃はまだ二人の財布は別会計なので、彼女が何を買おうと構わないんだが、ドンキで売られているレインウェアはいかにも重たく、かさばって山用ではなかった。やっぱりこういう時、山用品の便利さというのがよくわかる。とはいえ、値段は桁が一つ増えてしまうんだけど。

白いレインウェアはとてもよく目立つ。チャックを閉めると、まるで防護服のようだ。

後日、結婚披露宴用に「二人の思い出の写真」をセレクトした際、この富士山写真も使おうとしたのだけど、防護服っぽい格好があまりイケていなかったので不採用になった。

15:53
過去3回の僕の富士登山は、まともに写真を撮っていないし記事にしていない。なので今回はじっくりとあれこれ写真で道中の解説をしていこう。

まず目につくのが、一見なだらかそうな道。わだちもある。通称「ブル道」だ。

富士山の各登山口には、ブルドーザーによる荷揚げ専用通路がジグザグに設けられている。そして日中はブルドーザーに荷物や山小屋従業員を積んで、上がり下がりをしている。さすがにボッカ(人力による荷物運び)は今どきやっていない。

このブル道は歩行者立入禁止だ。踏み固められて歩きやすそうに見えるけど、ブルの往来の邪魔になるからだ。チラっと見るにとどめておく。

15:56
このあたりの地面はこんな感じ。

もっと標高が上になると、さらにガラガラした岩だらけになる。でも五合目付近は岩が崩れ、土っぽくなっている部分が多い。まだ歩きやすい部類だ。

15:57
砂れきなのに、赤い花をつけた植物が咲いている。イタドリだろうか。

よく咲くよなぁ、だって、地面はザラザラして水はけが良すぎる石だ。しかも軽石みたいなものなので、根っこから水分を吸収するのは大変。風は強いし、朝晩の寒暖差は激しいし、よくここに住もう、と思ったものだ。

しかも冬になると雪に埋もれる。

それに比べて人間はクーラーだの暖房だのゴアテックスだの、か弱い生き物だ。

16:06
六合目到着。

富士吉田口は富士宮口同様に、「◯合目」ごとに山小屋がある。山の上を見上げると、ずっと伸びる登山道のあちこちにポツポツと山小屋が見えるので、「ああ、あそこが◯合目か」と目印になる。

それは夜になっても変わらない。ご来光目当てに深夜も登頂する人がひっきりなしに訪れる富士の山小屋は不夜城だ。夜になると、山小屋がある場所がこうこうと光り輝くので昼以上に目立つ。そして、人々のヘッドライトで登山道もどこにあるのかがよくわかる。人の数が多すぎるので、ジグザグの登山道の形がはっきりとわかるくらいだ。

そんな桁違いの集客力を持つ山が、富士山だ。

六合目雲海荘。

標高2,500メートル、と書いてある。スタート地点が2,380メートルなので120メートルほど標高を稼いだことになる。

ここでいう「◯合目」というのは標高を正確に10分割し、1合あたり約380メートル、という計算にはなっていないようだ。もしそうなら、六合目は標高2,266メートル地点にないとおかしい。なので随分アバウトだ。

だいたいの山小屋は横に長く、登山道はその軒先を通過していくようになっている。小屋を作るのにイイカンジな平地なんてどこにもない山なので、山小屋はひたすら「奥行きはあまりなく、細長く」作られることになる。

そして、多くの山小屋では通りすがりの登山客に対して軽食や飲料を提供している。標高が上がるにつれて物価が上がっていく、というのは富士山登山の醍醐味だ。みるみる値段が上がっていくのは、感動ものだ。

ちなみにこの小屋ではカップヌードル(お湯つき)で400円。

携帯酸素が1,200円で売られているあたり、標高が高い山だけある。あと、登山経験が浅い人も登るので、高山病で苦しめられる人は多い。僕も、初めて富士山に登ったときは頭が痛くて足がフラフラしたものだ。

そして富士山山小屋の名物といえばこれ。焼印。

富士山では、木製の杖を使って登っている人が大勢いる。八角形の形をした「金剛杖」と呼ばれるものだ。「登山の最中は体重の支えになるし、下山後は富士登山の記念になる」と言われているけれど、杖を家に持ち帰っても邪魔じゃないか?と不思議に思う。

実際、僕は昔御殿場駅で大量に破棄された用済み金剛杖を見たことがある。おい、ちゃんと家に持って帰ってくれよ。

で、その金剛杖だけど、道中の山小屋では杖の側面に焼き印を押してくれるのだった。1回300円。

それぞれの山小屋で焼き印のデザインが違うし、「◯合目」と書かれているので、スタンプラリー的な楽しさがある。そして達成感につながる。

・・・のだけど、山小屋の都度焼き印を押していたら、結構な出費になる。僕の知り合いでも、「途中で焼き印を諦めた」という人が何人もいる。

16:07
雲海荘の前にはベンチが並んでいたので、一旦ここで休憩。

標高が高いところにある山小屋の場合、こんな優雅なスペースなど何もない、というところもある。今はまだ、標高が低いだけあって余裕だ。

(つづく)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください