11:31
三本滝レストハウスでなんだかんだと30分の大休憩となった。
お湯を沸かしたり料理を作ったりしていたわけではないのだけど、こうも雨が降っているとついついグズグズしてしまった。体力の回復を待っていたというのもある。雨だと、たぶん晴れているときよりも消耗が激しい。
乗鞍高原観光センターで買ったおにぎりを食べ、チョコレートを食べ、カロリー補充。
三本滝から先の道は、カラーコーンが置いてあって一時的に道幅が狭くなっていた。そして門番さんがいて、人や車の往来をチェックしている。
あ、そうか、三本滝レストハウスまではマイカー入場ができるんだ。で、ここから先が禁止なんだ。てっきり、休暇村のところで一般車両通行止めなのだと思っていた。
「許可車は許可書を提出して下さい」という看板が出ている。でも大丈夫、僕らは自転車だから。
しかし、なにやら「自転車通行止」という看板も見える。これにはヒヤッとした。よく見ると、「乗鞍スカイライン自転車通行止」だった。乗鞍スカイラインとは、僕らが目指している畳平を境に岐阜県側に下りていくルートのことだ。今いるこの道は「乗鞍エコーライン」。似ている。
門番さんに「雨が降っているから畳平を目指すのはやめたほうがいいよ」と言われるんじゃないか?と若干身構えたが、何も言われずに素通りできた。
そんな僕らの脇を、すでに畳平攻略を終えたサイクリストがシューッと高速ですり抜けて下っていく。
この道中、何人も山の上から下ってくるサイクリストを見かけたが、みんなガチ勢といえるしっかりした装備だった。全員、軽量のロードレーサータイプの自転車だ。一方の僕らはというと、「少々のデコボコや悪路には対応できますが?」という身重なマウンテンバイクだ。この自転車の重さだけでも、僕らにとっては脚に負担がかかる。
11:37
三本滝を過ぎたあたりから、紅葉が本格的になってきた。
標高をグイグイ上げていくルート、というのは言うまでもキツい。キツいけど、四季の移ろいを短時間で楽しめる場所とも言える。乗鞍高原あたりとは落葉樹の色づきが全然違う。
・・・ここで「落葉樹」という非常にざっくりした呼び名でしか木々の名前を呼べない自分の無知が恥ずかしい。図鑑を買おう買おうと思っているまま、今に至る。
とはいっても、こんな雨の中じゃ、図鑑は取り出せない。紙が水を吸って、後でぶよぶよになってしまう。
11:42
スキーゲレンデを横切っているということもあり、見晴らし良好。ただし晴れていれば。
気のせいではなく、明らかに木々の勢いが落ちてきている。森林限界に向け、徐々に植物たちは脱落していっている。
雨粒が写真にも写り込んでいるのがわかる。結構な雨だ。
こうなってくると、メガネをかけているとむしろ雨粒がレンズについて邪魔だ。メガネを外したほうが、まだ楽だ。
11:43
ギアを思いっきり低いポジションにしているので、キコキコ漕いでも漕いでも前に進まない。
なかなか変わらない景色にじれったい思いをしながらも、それに耐えてただ漕ぎ続けるしかない。
自転車を漕ぎながら記念撮影。一旦自転車を停めてしまうと行動再開がしんどいので、危ないけど漕ぎ続けながら。
このとき僕が着用していたゴアテックスのレインウェアは、今回をもって現役引退となった。さすがに10年近く?使ってきたので、撥水性能がどうやっても回復しなかったからだ。この日、身をもってそれを実感する羽目になった。
11:45
坂道を登りきれなくなって、歩き始めたいし。
こうなってしまうと、なかなか復活の糸口がつかめなくなる。なぜなら、この道はひたすら登り続けるから。橋のように、「登りはキツいけど、もうちょっと頑張れば次は下り」とはなってくれない。
12:12
雨がザーザー振りで、舗装道路がところどころ川みたいになっている。滑滝のように水が路面を滑り落ちていく。
12:12
摩利支天、というバス停を通過。
乗鞍岳の主脈に摩利支天岳という山があるけど、そことはまだ相当距離が離れている。このバス停、なんのためにあるんだ?という立地条件。
僕らが自転車で畳平を目指しているように、山腹から徒歩で山頂を目指す人もいる。この先、そういう人向けの山小屋だってある。「徒歩で登ろうと思ったけど、やっぱりギブ!」という人向けのバス停なのだろうか。いやそんなわけないよな。
12:12
ヘアピンカーブが続く道。「エコーライン」と言う名前は、こだまするように道がいったりきたりするから付けられたのだろう。ああ、しんどい。
ヘアピンはアウト・イン・アウトの最短距離で通過したい。しかしイン側の傾斜がキツいのでそれは無理だ。馬鹿正直に、一番アウト側で大回りしていくことになる。
12:16
晴れていれば気持ちよくこの紅葉を満喫できたんだろうけど。。。
でも、強烈な台風が通過した翌々日なので、倒木とかで通行止めになっていないだけありがたいと思わなくちゃ。
12:18
紅葉の中を走っていく。
この時間、写真枚数が増えているのは、このあたりだけ道がなだらかだったからだ。撮影する余裕が生まれる。坂がきついとそれどころじゃない。
(つづく)
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