車道国内最高地点を目指せ!レンタサイクルでヒルクライム【乗鞍岳】

13:42
位ヶ原山荘の土間の隅には、大きなだるまストーブが設置されていた。今どき、なかなかおめにかからないサイズだ。

なにしろ、上に乗っかっている鉄瓶が小さく見える。こいつだって、人の頭くらいのサイズがある巨大なものなのに。

うっかり近づいてやけどを負わないように、ストーブの周辺はベンチのような、学校の下駄箱近くにあるすのこのようなもので囲われている。ベンチだと勘違いするなよ?うっかり座ってしまうと、背中が焼けるか、「おーい」「何?」と振り向いた瞬間に身体の一部がストーブに触れてアツゥイ!ということになる。

もちろん、10月とはいえ、ストーブはしっかり焚かれている。雨にずっと濡れてきた僕らは、山荘の方に誘われるがままにストーブそばに座らせてもらった。

温かいお茶を出してもらい、一息つく。いやあ、太ももがパンパンっすよ!みたいなことはないんだけど、雨はたまらんなー。

雨はともかくとして、ゴールにたどり着く前に「時間切れ」になるとは思っていなかった。あり得るとすれば、「キツい!もうだめだ!」といしがギブアップすることだと思っていた。または自転車がパンクしたり脱輪したりのアクシデント。

体力が懸念されていたいしだけど、疲れているので若干ぶっきらぼうだが、それでもまだ戦える体力は残っているっぽかった。若いってすごいな。坂道を登る自転車なんて殆ど経験がないだろうに。あ、でもそれは僕も一緒か。

今回自転車でヒルクライムをやってみてわかったけど、体力配分という点で登山とサイクリングは似ていると思った。無理せず、ちまちまと前進していくという点で。心肺への負荷のかけ方は登山の応用がききそうだ。

ぜひ、リターンマッチを組みたいッ!・・・ギブアップを決めた直後でもそう思う、そんなヒルクライムだった。もちろん今度は天気が良い時だ。

天井からアルコールランプがぶら下がる。

雨が降っているせいもあって、客は僕らしかいない。静かな時間が流れる。ああ、イイカンジだ。

一服しようとしていしがザックからお財布を取り出している。しかし、財布の中まで濡れてしまい、お札を出すのに苦労していた。僕も同じだ。濡れたお札は、取り扱いが難しい。無理をして破ってしまうわけにはいかないからだ。

壁に、位ヶ原山荘の宿泊料金が掲示されていた。

1泊2食付で7,500円。年末年始および2月~5/14までは500円増しだ。つまり、この500円増しの時期もここは営業をしている、ということだ。冬山登山や春スキーのためにここまでやってくる人がいる、というわけだ。

もちろん道路は雪で封鎖されている。バスも通っていない。乗鞍高原から自力で上がってくるしかない。すごいな。しかも、ここから稜線に出るまではまだしばらく登りが続く。ここから出てすぐにアクティビティがあふれている、というわけではない。

きっと冬は猛者が集うのだろう。いや夏でもそれなりの猛者だろう。だって、バスでビューンと素通りできる道路沿いにわざわざ建っている山小屋なんだもの。

「道路沿いの小屋」といっても、雰囲気は山小屋そのものだ。

山奥の山小屋ほど窮屈ではなく明るいけれど、売店も兼ねているカウンターテーブルの様子は、いかにも山小屋だ。

ビールをはじめとするドリンク類が並び、カップ麺、チップスター、ウィダーインゼリー、カロリーメイト、アーモンドチョコが並ぶ。

おっと、ノンアルコールビールのドライゼロも置いてあるぞ。これは嬉しい。

山小屋なので、冷えたヤツが冷蔵庫に入っているわけじゃない。ビールでもコカ・コーラでも、常温でお召し上がり下さい。

冷えたヤツがいいなら、生ビールもメニューにある。さすがだ。「中」で600円、「小」で500円。実際のジョッキ?グラス?タンブラー?のサイズがわからないけれど、良心的な値段のように思える。

オリジナルの手ぬぐいやバンダナ、Tシャツが置いてあるのは山小屋でよく見る光景だ。

山小屋の名前が入ったこういうグッズ、欲しいと思ったことがないのだけど、需要があるのだろうか?よっぽどその小屋のことが気に入った人が、信仰心の証として購入するのだろうか。それとも、「寒いから」「濡れたから」「忘れたから」という実需向けだろうか?

この小屋に限った話ではなく、僕は一度もこういうところでグッズのお買い物をしたことがないのでよくわからない。山の中で、敢えて荷物を増やすようなことをしたくないからだ。

おそらく、小屋に「こういうオリジナルグッズを作れますよ」と持ちかける業者さんがいるのだと思うけど、どうなんだろうか。

ただ、この小屋はなにやら景色がちょっと違う。オリジナルTシャツは、ネパールの職人さんが縫い付けた刺繍のものだ。ロゴをプリントしたものではない、本格的だ。

そして、ブランケットやニットキャップ、ソックスといった温かくなる系のものが多く売られていて特徴が出ている。へええ、これは独創的だ。しかも、よく見ると「手書きの絵ハガキ」なんてものも売っている。これはすごい。こんなオリジナリティは初めて見た。

頼んでいた品が届いた。

おやき、500円。梅こぶ茶付き。

おでん、600円。

ストーブで身体の外を温め、おでんで身体の中を温める。いやあ、一息つけた。

お手洗いは建物の外にある仮設トイレを使う。

徒歩で登山している人や、サイクリング途中の人も使えるように配慮されている。ただし、無料でどうぞ!というわけではなく、受益者負担ということで100円のチップ制になっている。

さて、時刻は14時過ぎ。そろそろ下山を開始しよう。

(つづく)

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