冬の上高地に歩いて潜入!カフェ・ド・コイショでクリスマス【中の湯・明神】

08:06
1時間前は雲が残っていた穂高連峰は、今やすっかり快晴。今日は気持ち良い散策ができそうだ。寒さを除けば。

こうやって同じ構図で写真を何度も撮っているのは、山に登っている人ならよくある体験だと思う。

「まだ今は微妙だな・・・木が邪魔してうまく構図が決まらないや」とか、「雲がかかっていていまいち綺麗に山並みが撮影しないな」という理由で撮影を後回しにしていたら、絶好の撮影ポイントを逃してしまい写真が撮れなかった、ということがある。

または、時間の経過とともに雲が増えてしまい、さっき撮っておいたほうが良かった、ということもある。基本的に山というのは、朝が一番景色がよく、午後に向けて雲が増えていくものだ。

なので、「撮れるうちに撮る。重複してしまったり、後でもっと良い写真が撮れたなら、帰宅後に良くないほうを削除すればいい」という発想でばんばん撮影しておいたほうがいい。たとえ目の前の光景が微妙だったとしても。

・・・というコンセプトなんだけど。

後日、家で写真の整理をやっていると、その写真を撮った「理由」を覚えていない。「ええと、この登山道の写真、さっきの写真と似ているな。撮影している時間も数分の違いだけど、なんでだっけ?」と。

撮影当時、「これは意味があるから撮影しておきたい」と思った筈なんだけど、それを覚えていない。「念のため違う構図でもう一枚」の写真なのか、「さっきとは違う意味があるからもう一枚」なのか、わからない。だから結局、よくわからないけど似た写真がたくさん残ることになる。

せめてこのサイトで記事にする時くらい、そういう写真は間引けば良いのだけど、「文章を書いている間に何か思い出すかもしれない」と思って残してしまう。で、案の定書くことが特になく、今このような文章を書いている。

08:28
中の湯温泉旅館から釜トンネル入り口まで送迎してくれるバスは、9時を予定している。

8時半の便もあったのだけど、9時でお願いした。こういうのは早く移動開始したほうが良いのでは?とも思ったが、せっかくの温泉旅館なのだから少しはゆっくりしたい。バタバタバタっとチェックイン、風呂、ご飯、睡眠、チェックアウトとやるにはもったいない宿だ。

そんなわけで、朝食後の時間を使って露天風呂にやってきた。内風呂の大浴場から外に出たところにある。男女別。

朝食前にお風呂に入ったけど、そのときは時間がなくて入る余裕がなかった。なのでこの時間に改めて。

露天風呂。

とにかく外が寒い。ピーンと張り詰めた寒さがある。そのせいで、お湯の温度がぬるめになってしまっている。これなら長湯も可能だけれど、いつまで入っていてものぼせることなく、きりがなさそうだ。

これから寒い中上高地を目指すのだから、体をバーンと温めておきたい。「露天風呂に入りました。」という実績を作ったところで適当に切り上げ、改めて内風呂に入り直す。

09:01
チェックアウト。

玄関先に、部屋番号と名前が書かれた札を添えて靴を並べてくれていた。ご丁寧な配慮に感謝。

宿のサービス精神ということもあるだろうし、「誰かが靴を間違えて履いていった!」ということでトラブると面倒なので先手を打って予防策を講じた、ということもあるのだろう。

僕にとっては信じられないのだけれど、時折山小屋などで「自分の靴がない!誰かが履いていった!」というトラブルが発生する。まさか山の中で故意に登山靴を盗むやつはいないと思うので、似たような靴を間違えて履いて早朝に出発していった人がいるのだろう。

そういうボンヤリした人はもう山に登るのをやめなさいよ、と思うが、間違えて履いていっちゃった御本人を見たことがないため、実際にどういう人がやらかしているのか不明。

今回の僕らは、釜トンネルから歩き始めて上高地河童橋まで舗装道。ビジターセンターから明神までは大変よく整備された未舗装道を歩くことになる。普通ならスニーカーで十分だ。オンシーズンなら、ハイヒールやパンプスを履いた女性が歩いているのを見かけるエリアだ。

とはいえ、この季節、うっかり雪が降っていたら困る。つぼ足になるほど降るということは想像できないけれど、可能性としては否定できない。また、雪がなくても路面が凍結している可能性は十分ある。そんなわけで、ふたりともかなりガッチリした靴を今回履いてきている。

僕は、何年ぶりの登場だろうか?標高3,000メートルクラスの山にも対応する、ハイカットの登山靴。かなり重たくてソールが硬く、2,000メートルクラスの山には使いたくない登山靴だ。普段はもっと軽くてしなやかな登山靴を使うけど、今回はこれ。

一方のいしも、足首が隠れるほどのハイカット型のトレッキングシューズを履いてきた。今回のためにわざわざ新しく購入したものだ。

富士登山のときでさえ、スニーカーだったいし。

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でも今回は「万が一雪が靴の中に入って濡れたら困るから」と彼女を説得し、ハイカットのシューズを新調してもらった。

なにせお店も何も営業していない上高地だ。「やばい」と思ったら、現地でどうにかなることはない。撤退するしかなくなる。念には念を入れておいた。

09:06
送迎バスに乗車。僕らとは別に数名が上高地を目指すようだ。

僕らのようにかなりの荷物を背負い込んでいる人は他にいない。みんな軽装だ。なので、上高地を日帰りで散策するのだろう。

09:19
10分足らずで釜トンネル入り口。

改めて、明るい状態でこの釜トンネルを前にすると身が引き締まる。

いつもはバスでビューンと通過していく場所だけど、今日は一歩一歩歩いていかないといけない。

釜トンネル突入前に、記念撮影。

いしはザックに荷物が入り切らず、ボストンバッグを抱っこしている。彼女は良くも悪くも、こういうところの見栄えに一切こだわらない。

「僕の38リットルザックを使うといいよ、僕はこの際もっと大きなザックを買うから」
「ボストンバックを前に抱えればなんとかなるので、大丈夫です」

という会話が準備段階であって、この結果になった。おかでん、大きなザック購入の陰謀が潰えた。残念。キャンプ用品一式を全部1つのザックに格納できるよう、60リットルくらいのザックが欲しかったんだけどなぁ。

ちなみに僕はというと、今回にあわせて手袋を新調している。

よくある手袋ではなく、写真撮影用の手袋になっている。親指と人差し指の部分をぱかっと開けることができ、シャッターを切ったりカメラの操作をする際に手袋を脱がなくても良い作りだ。これは実際かなり重宝した。

ただし、寒冷地仕様というだけあって、かなりごつい。スキーで使うグローブに近い大きさだ。なので、街中で通勤通学の際に使うのには向かない。脱いだ後、カバンの中に入れるとかなりかさばるからだ。

09:21
改めて、中の湯売店を見る。昨晩は真っ暗で何も見えなかったから。

こうやって見ると、こじんまりした建物だということがわかる。

ええと、「中の湯旅館案内所」「洞窟風呂卜伝の湯受付所」などと書いてあるな。

「売店」と称しているけれど、実際に何かを売っているのかどうか、やっぱりわからなかった。なにせ、ここを歩く人なんてめったにいないんだから。むしろ、夏より冬のほうが僕らみたいに「徒歩で上高地」の人がいるので、ここを通る人が多いかもしれない。

卜伝の湯、「10時~16時」が入浴時間なんだそうだ。

釜トンネル入り口にあったプレートを前に記念撮影。
この表記、まじまじと見るのは初めて。そりゃそうだ、いつもバスで一瞬だから。

釜トンネル
2005年6月
延長 1310.0m 幅 6.0m(7.0m)
高 4.7m
施工 飛鳥・森本・松本土建建設共同共同体
施工延長 705.0m

釜トンネルは昔からある上高地の玄関口だが、現在供用されているトンネルは2005年築と新しい。

過去の釜トンネルを知っている人なら、今のトンネルがどれほど快適になったかアツく語れるだろう。だって、昔の釜トンネルは単線で、片側交互通行だった。

国道158号線で松本から上高地を目指した際、釜トンネルの分岐手前にやけに長い右折専用レーンがあることに気づく。観光バスが連なって後続の車が渋滞を起こすからだが、もともと釜トンネルに信号があって、信号が青になるまで中に入ることができなかったからだ。

今、旧釜トンネルの入り口はこちら側からは見ることができない。新しいトンネルを作った際に、口を塞いでしまったのだろう。

09:24
意を決して、釜トンネルに足を踏み入れる。

中はとても暗い。ところどころに明かりはあるけれど、歩く人を前提とした明かりではないので照明としてはほとんど役に立たない。また、ここを通行する車は素人ドライバーは皆無だ。プロのドライバーか、上高地に事務所やお店を構えている地元民だけだ。プロ用トンネルということで、無駄に明るくはしない。

何かにつまづくかもしれないから危険、というほどではないけれど、ヘッドライト持参は必須となる。

幸い、歩道はある。車道の脇をビクビクしながら歩く、ということはしなくて済む。

(つづく)

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