おかでん結婚式前後のできごと【倉敷・吉備路】(その18)

寝台列車「サンライズ瀬戸」の中の探検はまだ続く。

鉄道好きにとっては「今更」という情報だし、鉄道が好きではない人にとっては「どうでもいい」情報だ。でも僕にとっては近年稀に見るエキサイティングな空間にいるので、「すごいすごい」と言いながら写真を撮り、車内を移動している。

こういうパートナーを見て、いしは何を思っているのだろうか。一緒になってエキサイティングしている気配はないけど、一応は「へえ、いろいろな部屋があるんだな」程度には興味を持ってくれているっぽい。

物事、特に人が作りしものには必ず道理や理由が存在する。

この寝台列車でも、なんでこれだけ部屋の種類があるのか、とか部屋の数の配分はどうしてなのか、とか。

そして今目の前に感じている「なぜ?」は、10号車はまるで普通の電車のように、車両の中央に通路が真っすぐ伸びていることだ。二階建て構造にもなっていない。

10号車は「ソロ」と呼ばれる部屋がある。サンライズの中では、ノビノビ座席を除けば一番安い個室で、寝台料金は6,600円。

えー、二階建てでキュウキュウに部屋が詰まっているところよりも快適そうなのに一番安いの?とちょっと不思議に思う。だって見てよ、この整然とした通路、そして各部屋への扉。

中を覗いてみる。

おっと、これはトリッキーな作りだな。ベッドが枕元から足元まで、封筒型に真四角なスペースを確保できていない。足元のほうは柱が邪魔していて、1/5ほど狭くなっている。

なるほど、安いのはこういう訳か。

じゃあなんでベッドの足元に邪魔な柱があるの?というと、お隣の部屋が二階にあって、そのための階段が設置されているからだ。

これ、すげえな。通路と同じ高さの扉をガラッと開けると、そこには階段が待ち構えている。

外から中に入るのは楽だけど、中から外に出る時は出入りに苦労しそうだ。度を越して太っている人は無理だし、足腰が弱い人は使えない。

これは僕らが寝泊まりする「サンライズツイン」に通じる急な階段と、ドアに向かって向きをかえないといけない狭い踊り場もそうだ。バリアフリーなんて完全に眼中にない。

これでもし、車内のトイレが車いすなどに対応する作りだったら、「えっ、車いすでこの列車に乗る人っているの!?」と相当びっくりするだろう。

1階のソロ部屋を覗き込んでみる。やっぱりここも足元が狭くなるベッドだが、1階ソロ部屋よりは狭くなる範囲が狭くて済みそうだ。

ただ、部屋に出入りする際に難儀するので、1階の部屋がいいのか2階がいいのか、好みはわかれそうだ。

2階だと、天井近くまで伸びたガラス窓があって眺めが良い。とはいっても、翌朝7時に東京駅に到着する便なので、大して外の景色を楽しむ時間はない。

ソロ2階の枕元。こちらもオールドスタイルなパネルが備わっている。

23:40
探検を一通り終え、サンライズツインの部屋に戻ってくつろぐ。僕はノンアルコールビール、いしはサワーを飲みつつ「いやあ、一連のイベントが終わったねえ」と振り返る。

そうだ、SNSをエゴサしてみよう。僕らが結婚式当日、川舟下りしたときの写真をSNSに掲載している人はいないだろうか。いたら何てコメントしているだろうか。

・・・しばらく二人であれこれ探してみたけど、見つからなかった。誰も話題にしなかったらしい。ちぇっ。

自分たちの喋り声がどの程度上下左右に響くのか、ぜんぜんわからない。そもそも、お隣さんがいるのかどうかも、わからない。一旦部屋に入ってしまうと、みんなそこからほとんど出て来ないからだ。

そんなわけで、声のボリュームには必要以上に気をつけつつ、ぼそぼそと会話をする。

00:39
サンライズは大阪駅に到着。もう終電となった駅は、まだ明かりが灯っているもののホームに誰もいない状態だった。

この時間からどやどや客が乗ってくることはなかった。大阪からこの列車に乗る、というのは本当に趣味人だ。寝て起きたら東京、ということにメリットを感じるかもしれないが、逆に言えばそのために高額な寝台料金を払うことになる、とも言える。

01:14
「せっかくの寝台列車なんだし、できるだけ起きて満喫しなくちゃ!」

と貧乏根性丸出しで外の景色を眺めていたが、やめ時がわからなくなってしまった。

夜行高速バスのばあい、カーテンがピッタリ閉まっているし、カーテンの外をちらっと見ても単調な高速道路だ。飽きるので諦めて寝る。

しかし、寝台列車の場合は違う。数分おきにホームの明かりが灯る駅を通過していく。「おっ、今の駅はなんだ?」と気になる。そして、「ああ、この駅の近辺は栄えているな」とか、そういうこともわかる。しかも、ガタゴトゴト・・・と線路のポイントを大きくまたぐことがあったら、「なんだなんだ、なにかポイントがたくさんある大きな駅なのか」と気になる。

つまり、延々と寝るチャンスを失ってしまうのだった。

いしは大阪駅まで僕に付き合って粘ってくれたけど、その後白目を剥いて寝落ちした。「起きてますよアピール」のため目を開けているのだけれど、脳は寝ちゃったというやつ。

僕はその後京都駅まで粘ったけど、ここで終わりにした。ここで寝ておかないと、本当にタイミングを逃す。

おやすみなさい。

2019年12月11日(水)

06:41
小田原を通過した頃に目を覚ました。

冬至が近い季節ではあるけれど、既に空は白んでいる。

列車が戸塚あたりにきたところで、熟睡していたいしを起こした。ギリギリまで寝ていても構わないのだけれど、「サンライズに乗って、車窓から景色を楽しむ」という経験は今後まずないだろう。無理して起きてでも、景色を見たほうがいい。

07:12
サンライズ出雲/瀬戸は定時に東京駅に到着。

途中、通勤列車をビュンビュン追い越し、通過する駅では大勢の通勤客の姿を見て、僕らが平日に大胆な休みを取って過ごしていたことを改めて実感する。

お土産など多くの荷物を持っていると、部屋から外に出るまでが大変。小さな毛糸のセーターを無理やり脱ぐような感覚で、苦労して荷物一式とともに車両から脱出。

(つづく)

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