2020年9月/コロナ時代の静岡にひっそり帰省する

10:53
丸子宿は東海道のなかで最も小さな宿場町だったそうだ。

周囲を見渡すと、そりゃそうだよなあ・・・と思う。特に街として開けているわけではないし、何か便利な場所とも思えない。

それでも、そんな丸子宿に人が続々やってくる。まだ11時前だというのに。

それもこれも、丁子屋をめがけてだ。

自然薯のとろろ汁目当てで、次々と人が車でやってくる、車から下りてくる。

いしによると、うっかり昼時になると行列ができるお店になるそうだ。食べるなら開店前に到着したほうが吉、ということで僕らは今ここにいる。

営業時間は11時から19時まで(土日祝日の場合)。

「18時半以降、ご飯が無くなり次第終了」と書いているのがお茶目でたのしい。というのも、貴重な食材である自然薯が尽きることよりも炊いているご飯が無くなるほうを心配しているからだ。

自然薯は貴重とはいえ、在庫さえ確保しておけば保存がきく。オーダーが入ったところで在庫を出せばいい。しかしご飯ともなれば、オーダーが入ってから炊いていたんじゃ間に合わない。そんなわけで、ご飯都合でこのお店の営業終了時間が決まる。

茅葺き屋根の丁子屋。「とろろ汁」ののれんが目立つ。

さすがに茅葺きの建物一つでお店を切り盛りするのは無理がある。

大量に押し寄せるお客さんをさばくために、茅葺き屋根は玄関部分として使われ、客席はその隣に続く建物にある。

ああこれこれ。歌川広重のとろろ汁。

確かに「丸子」と左上に書いてあるな。

11:00
お客さんが多かったものの、開店と同時に中に入ることができた。やっぱり早く来て正解だった。

僕らより遅いと、待ち行列になるところだった。

丁字屋の店内。

広間になっていて、畳の間だけど全席が椅子席になっていた。足腰に自信がないご高齢の方でもこれなら安心。

コロナ流行から半年経過、まだ警戒感冷めやらぬ中だけど、特に席同士にアクリル板が設置されていない。これは、相席を想定していないからだろう。1グループ1テーブル。

まずは、静岡までやってまいりました記念ということで、ノンアルコールビールを頼む。

まだ何もやってないんだけど。墓参もまだだし、義父母へのご挨拶もまだだ。でも、つい癖で頼んじゃう。

なにしろ、「せっかくだから」というキラーワードとともに、とろろ汁と麦めしだけでなく、他のものも頼んじゃったから。

ちなみに、いしはノンアルコールビールを全く飲まない。ご相伴程度でさえ飲まない。それどころか、普段は麦茶さえも飲まず、水道水を飲んでいる。僕からするとちょっと不思議な存在だ。

定食は1,400円から。

一番安い1,400円の定食は、とろろ汁、麦めし、味噌汁、香物、薬味のセットになっている。

値段が高い定食は、この1,400円の定食にあれこれ追加された状態になる。

「お子様ぷれ~と」はエビフライやからあげで構成されていて、丁子屋っぽくない。・・・と思ったら、ポテトサラダが自然薯で作られたものだった。なにそれ、大人でも食べたことがないぞ。

2名様向けに「夫婦とろろ」というメニューがあった。4,700円。

小とろろ、麦めし、味噌汁、香物、薬味、揚げとろ、むかごの揚げ団子、梅とろ、切りとろ、珍味二種、甘味

の構成。せっかくだからこれにしようか?という話を2人で相談したけれど、これって一人当たり2,350円ということになる。あれこれついているとはいえ、ちょっと高い。僕ら、珍味とか甘味とかいらないし。

じゃあ、夫婦とろろを頼まないかわりに、気になる一品料理を頼もう!ということにした。

いかん、「4,700円」という値段の定食メニューを見た後なので、一品料理を頼むのがなんだか当たり前の感覚だ。気がついたら僕ら自身、客単価が上がってしまっている。

飲み物のページを見ると、清酒からメニュー紹介が始まっているのが潔い。「とりあえずビール」とはいかさないぞ、という感じ。

「鞠子の宿」「丁字屋」など、ご当地感あるネーミングのお酒が並ぶ。そしてビールも「東海道エール」だって。

オリジナルてぬぐいをお土産で売っているという用意周到っぷり。だれが買うんだ?と思うが、山小屋でオリジナルTシャツやピンバッジが売られていて、実際それを買う人がいるようにここでも買う人がいるのだろう。

特に「東海道五十三次走破」を狙っているドライバーやランナーなどは、立ち寄った記念に買うのかもしれない。

とろろを食べると口の周りが痒くなるので苦手、という人は一定数いる。そういう人向けなのか、それとも「とろろばっかりじゃ、厨房が飽きるんだよ!」と思ったのか、唐突に「味噌ローストビーフ」なんてものも扱われている。

そして自然薯からあげ、というのも面白いメニュー。

まずはノンアルコールビールをぐびり。

これ以降、旅先で昼間っからノンアルを飲む頻度は減った。やっぱりよくよく考えると、飲んでも酔っ払わないし満足感も高くない、そんな飲み物にお金を払うことがバカバカしいからだ。ワンドリンクのオーダーが必須なら頼むけど、どうせ小瓶で出てくる割には高いんだから、サンペレグリノみたいな量が多い炭酸水を頼んだほうがいいや、と思うようになってきている。

(つづく)

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • おじまるです、お久しぶりです。
    今回は地元静岡ということで、興味深く見ています。
    「まるしま」さん残念ながら、廃業されました。
    奥様がおっしゃるとおり、昔は6時半から開いていましたね。
    静岡のおにぎり屋には、たいてい「おでん」がありますね。
    静岡人はそれを普通と思ってます(笑)

  • おじまるさん>
    あー、まるしま、廃業でしたか。残念。
    いしが楽しそうに思い出話を語るので、いつか訪れてみたかったのですが。

    あと、いしが「夏、プールに行ったらよくおでんを食べていた」と言っているのは、おそらく大浜公園プールのことなんだと思いますが、それも今は閉まっているようですね。これもまた残念。

  • FDA、なんと小松にも来てたことあるんですよね。
    「誰が使うねん(w」と言ってたら数年で撤退しちゃいましたけど。

    今はチャーター便のみが飛来するようになりましたが
    小松空港の手荷物受取所には『FDA』の名札が輝いております。

    チャーター便のスケジュールまで公開してる珍しい会社でもありますね。

  • ティータさん>
    FDA、面白い航空会社ですよね。
    これまでいくつもあった地方航空会社は、経営の多くを羽田便に頼っていたと思います。なので、JALとかANAに戦いを挑まざるをえなかった。
    しかし、静岡空港という場所柄、羽田便を就航させるメリットがない。なので、静岡からその他地方空港、または地方空港から地方空港、という独自性の強い路線が生まれている。
    今後どうなるのか楽しみです。

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