上高地、COVID-19の間隙を突いて【徳沢キャンプ2020】

12:15
河童橋手前から、奥穂高岳とその中腹の岳沢が見えてきた。

つくづく、上高地というのはお手軽な高原リゾートだと思う。バスから降りて延々歩いた先に絶景、というわけではなく、バスから降りてちょっと歩いたらこの絶景だ。

しかも、お手軽な観光地といっても、上高地そのものはマイカー規制があるために一般車両が立ち入ることができない。ツアーバスか、タクシーか、僕らが利用したように路線バスでここまでやってくる必要がある。

その結果、ひと手間はかかっているものの肉体的な疲労はなく、絶景が楽しめるという場所になっている。

上高地に到着してすぐ、河童橋からのこの景色を見ると、頬が緩む。これまで何度も何度も見てきた光景なのに、未だに見飽きない。それだけ素晴らしい景色だ。山と川、そして緑が素晴らしいバランスで見ることができるからだ。

上高地と似たシチュエーションの場所が他にないだろうか?と思ったら、富山県・立山の室堂が思いついた。室堂も、マイカー規制がある。

立山を見上げる位置にある室堂はもちろん素晴らしい。しかし、標高2,450メートルと標高が高くて森林限界に達しており、開放感がありすぎる景色だ。変化に富んだ景色という点では、やはり上高地を僕は推したい。

なお、室堂から歩いて1時間のところにある雷鳥沢に、キャンプ場が存在する。ここでキャンプをすればさぞや楽しいだろう・・・といつも思っている。ただし、みんな同じことを考えているようで、売店も何もない雷鳥沢なのに、シーズン中は大量のテントが張られ、キャンプ客で賑わう。

オートキャンプ用の重たい装備を担いでいける場所ではないので、山用のキャンプ装備を持っている人が利用する場所だ。それでも人だらけになるというのだから、いかに人気の場所なのかがわかる。

一方で、トイレに行こうとすると1時間待ちになることがあるとか、テントの中の装備品が盗まれた、という悪い話をよく聞く場所でもある。トイレで1時間待ち、というのは地獄だ。それを聞いただけで、僕はもうこのキャンプ場は利用できないな、と思う。

それと比べると、上高地はまだ混雑が少ないし、便利だ。

12:18
お昼ごはんは河童橋界隈で食べるつもりだった。

河童橋のすぐたもとにある、五千尺ホテル上高地。その脇から階段を登った2階にある「五千尺キッチン」はこの界隈でご飯を食べようとすると、少しだけ安い印象がある。とはいっても、下界と比べるとギョッとするくらい値段が高いのだけれど。

今回、この「五千尺キッチン」に行ってみたが、お店の前には待ち行列ができていたので入店するのをやめにした。かなり待ちそうだったからだ。いっつもそうだ、五千尺キッチンは常に混んでいる。

せっかく上高地にやってきて、行列に並んで時間を使うのは本当にもったいない。なのでこのお店の利用はやめることにした。

バスターミナルに戻れば、お弁当とかちょっとした気軽な食物を手に入れることができる。しかし、片道わずか5分とはいえ、いま来た道を戻る気にはなれなかった。

というわけで、覚悟を決めて五千尺ホテルのメインダイニングでご飯を食べてみることにした。

なんで覚悟を決める必要があるのかというと、このホテルは1泊2食付きで一人あたり3万円を越えるような宿だからだ。お昼ごはんも、当然そんな宿の格に見合うだけの値段になってしまう。

いしは言う。

「来年は子どもが生まれているし、上高地に来られないかもしれないです。上高地に来られたとしても、こういうホテルでご飯を食べることはできないかもしれないですよ。だったら今年食べておく、という考え方もできますよね」

なるほど、そういう考え方もあるか。

いしの妊娠がわかってからの僕らはというと、独身、そしてその延長線上にあるDINKS時代に対する郷愁を感じつつ、日々を過ごしている。来年からは生活がガラッと変わるぞ、ということを強く意識しているので、「今のうちにラグジュアリーな体験はしておいても良いのではないか」という発想が少しだけある。

このお店のメニューを見ると、食事だけで済ませればそこまで高額のお支払いとはならないことがわかった。ケーキがとても魅力的に見えるメニューなので、ついケーキやコーヒーも頼んでしまいたくなるが、そこまで注文するとかなりの出費となる。今日は食事だけにしておこう。

・・・ここ、「メインダイニング」かと思ったら、実際はスイーツカフェ&バー「LOUNGE」というお店だった。メインダイニングは2階にある。店名の通り、スイーツを提供するのがメインのお店なので、食事メニューはおまけ程度に用意されているだけだ。2種類だけ、食事メニューが用意されていた。

12:21
椅子や机が上品な空間に通される。

ザックを背負った僕らが店内に入るのがはばかられる場所だ。

コーヒーを淹れているカウンターが客席の片隅にあった。

KEY COFFEEと書かれた青い缶が目立つ。

このあたりは急に街の喫茶店の雰囲気がある空間になっている。

ビーフシチューサンド。単品1,800円、スープセット2,200円。

メインダイニング「GRAND」の名物料理であるビーフシチューを手ごろに食べられるようにしました、とメニューには書いてある。確かに手ごろではあるが、値段は手ごろとは言い難い。でもホテルのビーフシチューって高くて当然な料理だからなー、しょうがないよなーと思う。

スープとセットにすると、2,000円を越える。お昼ごはんの予算としては随分高くついてしまう。

ポークスライダー バーベキューソース(800円)。

ビーフシチューサンドの値段の高さを緩和してくれるのがこのメニュー。800円でハンバーガー的なものが食べられるなら、これは助かる。

ポークスライダーとは、豚肉を煮込んで、それをほぐしたものだ。

二人で合計3,000円。税別価格なので、税込3,300円となる。高いけど、味は確かにうまい。ホロホロと崩れる肉の繊維の食感がとても良い。

上高地を訪れるたびに、コストについてあれこれ考えてしまう。なにしろ、東京から上高地の往復交通費だけでもかなり高くつく。なので、食費は節約したほうが良いのではないか?という考えがある一方で、「ここまでお金を払って上高地まで来たんだから、ケチケチするのはやめようよ」という考えもある。

毎回、悩みながらご飯を食べている。

なお、この文章を書いている2023年夏時点では、ビーフシチューサンドが3,000円、ポークスライダーが2,000円に値上がりしている。こんな値上がり、人生で初めて見たかもしれない。

河童橋。

平日に訪れたということ、そしてCOVID-19に対する警戒感から団体ツアー客が殆どいないことから河童橋の上は人が少ない。

昼間でここまで人が少ない河童橋を見たのは、初めてかもしれない。改めて、COVID-19の影響力を感じる。

僕らだって、最大限警戒して、水曜日から旅行が始まるという特殊な日程で今回の旅をプランしているくらいだ。人との接触はできるだけ避けたい。

(つづく)

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