我が妻子堂々と静岡に退場す!お見送りテレワーク(その2)

普段ビジネスホテルに泊まる機会がほとんどない僕にとって、ビジネスホテルはそれなりにワクワクする空間だ。

「殺風景、味気ない、画一的」とも言える世界だけど、だからこそそのシステマティックな装いに興味がある。効率化、低コスト化を実現するためにあれこれ工夫が凝らされているはずだからだ。

さらには、2021年の現在はコロナによる警戒感むき出しのご時世だ。飲食・宿泊業はピリピリ感がMAXであり、その様子が垣間見えればそれはそれで興味深い。

ちなみに僕が住んでいる東京の家の近くのホテルは、コロナ陽性患者が施設での隔離療養を希望した場合の受け入れ先になったようだ。朝10時頃になると、続々と車がホテルの前に横付けされ、そこから隔離期間中の寝泊まり道具を詰めたバッグを抱きかかえた陽性患者が下りてくる。ホテルの玄関前には、看護師と思しき人や保健所の職員らしき人が重装備で待ち構え、体温検査などを行っている様子がちらっと見えた。そして、車から全員が下車すると、ブルーシートをカーテンのようにホテル玄関先に吊り下げて、ホテル内を見えないようにしてしまう。

こんな光景が日々行われる施設が自宅近辺に何か所かあるのだから、すごい時代になったものだと感嘆する。

それはともかく、今回宿泊した静岡の宿は、コロナ対策のための物々しい雰囲気は無かった。大浴場も利用可能だし、ハッピーアワーと称して18時から20時まではウェルカムドリンクが1階で飲めるし、翌日の朝食ビュッフェもある。

コロナ流行直後は、大浴場はナシです、朝食もナシですという宿が結構あったけど、1年を経て少しずつそういう厳戒態勢は緩和傾向にある。

へえーーー。

ビジネスホテルでもルームサービスという概念があるのか。

いわゆる「シティホテル」と呼ばれるタイプのホテルならばルームサービスがあってもおかしくないけれど、ビジホでこういうサービスがあるのは初めて見たかもしれない。

「さぞやお高いんでしょう?」と思ったが、「ビーフシチュー900円」「豚バラの煮込み丼(スープ付)700円」など、「えっ?」と二度見するほど安い。てっきり、手間賃として相当高い値段設定なのだと思っていた。これはむしろリーズナブルな部類だ。

他にも、ご飯物からピザから酒の肴、果てはワッフルのようなスイーツまで、いろいろなメニューがある。

こいつァ、部屋にあれこれ料理を頼んで、一人で大宴会を開催しても良いくらいだ。

僕はこれから半月の間、妻子がいない生活を送る。寂しくもあるが、開放感もある。「さて、どういう生活になるのだろう?」というワクワク感もある。それを祝って、部屋飲み(ただし僕は酒を飲めないのでノンアルで)をやるのは、ありだ。

とはいえ、静岡までやってきて、静岡らしさが微塵も感じられないルームサービス飯を食うのはもったいない。そもそも、ビジホの部屋なので展望もない密室だし。もうちょっと「らしさ」が欲しい。今晩の食事は外に買いに行こう。

なお、僕は結婚から1年半が経つが、未だに静岡の義父母の実家に泊まったことがない。結婚してしばらくしたらコロナが大流行したからだ。県外旅行に出ることさえ後ろ指を指されるご時世で、ましてや高齢の義父母の家に行き、さらには宿泊だなんてもっての外だった。

なので僕はまだ静岡らしい飯をあまり食べていない。

今日こそは!

夕食も気になるが、まずは大浴場に行ってお風呂に入る。

誰もいないので快適に入浴ができた。

コロナの感染についていちいち気にしていたらきりがないが、男風呂の場合、風呂に入ったおっさんが「ああぁーーー」と太く大きな吐息をつくことがある。それがダイレクトに風呂に浸かっている僕の顔に吹き付けられることがあって、それがとても不快だ。

平時でさえそうなのだから、コロナ警戒中の今なら、なおさらだ。

なので、誰もいない風呂というのは安心。

風呂上がり、食堂に向かう。ウェルカムドリンクを頂くためだ。

飲むのはソフトドリンクなのに、ついビールを飲んでいた時代の名残で、「飲み物を飲むからには喉をカラカラにしておかないと」という発想をしてしまう。

1ドリンクオンリーながらも、生ビールをはじめとしてお酒も飲むことができる。へえー、いいなぁ。

僕は大して飲みたくもないジンジャーエールを飲んで、喉の乾きを癒す。

ホテルから歩いて静岡駅に向かう。

静岡駅は「パルシェ」「アスティ」という立派な駅ナカ施設があって、成城石井で買い物をするもよし、その他いろいろお店があって買い物には困らない。

今回の僕の夕ご飯だが、買い出しをしてホテルの部屋で食べるつもりだ。

もちろんお店で食べたほうが楽しいのだが、このご時世、静岡まで旅行して、外食して、コロナにかかったとなると人様にあわせる顔がない。世間体というものがある。なので、料理はテイクアウトと決めていた。

幸い、駅内の居酒屋は「お店の味をご自宅で・お持ち帰りできます!」というメッセージを大々的に発していた。

コロナ真っ只中のご時世、どのお店も軒並みテイクアウトに力を入れている。その点では消費者にとってありがたい時代になったものだ。

今後いろんなお店のテイクアウトが簡単にできる時代になっていくのだろうな、と期待していたのだけど、コロナが一段落すると飲食店はすっかりテイクアウトに力を注がなくなってしまった。やっていたとしてもウーバーイーツ対応だったりして、気軽に店頭でテイクアウトできるよ!というのを売りにするお店は減った。お店としては面倒くさかったのかもしれない。テイクアウトはあくまでもコロナ期間中の糊口をしのぐ手段に過ぎなかったのか?

「しずおかグルメ 静岡の新鮮な海の幸」というポスターが貼ってあった。そうそう、これだよこれ。こういうのをテイクアウトしたいんだよ。

どこのお店の料理を持って帰ろうかとしばらくお店をウロウロしたが、結局「海ぼうず」というお店のお世話になることにした。

「元祖静岡グルメ店」という大風呂敷を広げているお店だから、ではない。テイクアウトしやすいお店の雰囲気だったからだ。店頭には「スピードお持ち帰りメニュー」のメニュー表示がある。

コロナ以降テイクアウト可のお店は増えた。でも、一体何がテイクアウトできるのか、値段はいくらなのか、テイクアウトにどれくらい待たされるのか、状況がよくわからないお店が実に多い。ふらっと通りすがりの人でも「おっ、ここにしよう」と選べるだけの材料を、店頭に掲示してほしい。その点このお店はわかりやすかった。

「昔ながらの静岡おでん」と「進化系静岡おでん」の両方があるのが面白い。静岡おでんが進化してしまうと、もうそれは静岡おでんではないのではないか?という気がするが、黒はんぺんが使われていたり魚粉がかかっている限りは静岡おでんなのだろう。

店内の様子を観察しながら、頼んだ料理ができあがるのを待つ。

当たり前だが、酒を飲んでいる人たちがいるというのにちょっとびっくりした。この人ら、世間体を気にしないのだろうか?

多分僕がここで「東京から来ました!」と叫ぶと、「うわ!コロナ大流行の東京?近寄るな!」という反応が返ってくると思うのだが、それはそれとして静岡の仲間同士で酒を飲むのはオッケーなのだった。

申し訳程度に取り付けられた、飛沫防止のビニールカーテンにしてもなんにしても、コロナ対策と偏見というのは2021年段階ではまだまだ混沌としている。

(つづく)

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