11:48
お祀りされている大黒様には悪いが、穴大黒にわざわざ来ることはなかったな・・・と思いながら、穴大黒に通じている山道をそのまま歩いてみる。
「関東ふれあいの道」と書かれていて、一応ここはれっきとした遊歩道らしい。
関東ふれあいの道、というのは一都六県いたるところに存在していて、とりたてて珍しいわけではないし、スペシャルなコースでもない。たとえば東京でおなじみの高尾山にもこの「関東ふれあいの道」はあるし、埼玉の奥武蔵界隈にもたくさんある。
ただ、環境省などが一律整備費を負担してきれいにしているかというとそういうわけではないようで、この道は下草が刈られているものの人がよく歩いているような気配はなかった。
車道に戻ればよかった、と激しく後悔する。
なぜなら、歩道上が蜘蛛の巣だらけだからだ。歩くたびに蜘蛛の巣が顔にべちゃっと張り付く。そのたびに「うわぁ」と声を上げてしまう。
網目状に立派な蜘蛛の巣を張っているならば目視で発見できるが、まだそこまで至っていない、数本程度の細い蜘蛛の糸だと発見が難しい。
仕方がないので、落ちていた木の棒を振り回しながら、前に進む。
その振り回していた木の棒のせいで、蜘蛛の糸は断ち切れたものの上から大きな蜘蛛が落ちてきた。
「うわあああああああ!」
と叫びながら全力疾走し、車道に飛び出てきたところ。
顔をしかめっ面しているのは、カメラを意識した作り顔ではなく、蜘蛛の糸が顔にひっついているからだ。
白髪が急に増えたように見えるが・・・これは関係ない。この当時の僕は、白髪をぼかすためのトリートメントを2-3日に一度、洗髪の際に使っていたのだが、旅行に行くとそのトリートメントが洗い流され、白髪が急に増えて見えるのだった。なにせ、風呂に入る頻度が普段よりも増えるので、その分髪の染料も落ちやすくなる。
で、ここで問題発生。ずっとポッドキャストを聞きながら歩いていたので耳にワイヤレスイヤホンを装着していたのだが、今のドタバタで紛失してしまった。
車道に走り出て、しばらくして気がついた。あっ、片耳のイヤホンをおとしたぞ、と。
先ほどの僕が遊歩道から走り出てきた直後の写真を見返すと、確かに左耳にイヤホンが刺さっていない。あー、山の中で落としたか。
スマホのイヤホンのアプリを開いて確認してみたら、片耳はペアリングが切れていた。
つまり、今自分がいるところからBluetoothの電波が届く範囲には、イヤホンがないらしい。
このまま諦めるわけにはいかないので、スマホを片手に周囲を念入りにウロウロする。まるで雪崩遭難者をビーコンで探すようなものだ。イヤホンに近づいたら、ペアリングが復活するかもしれない。
しばらく遊歩道と車道、双方を行ったり来たりしたが、結局見つけられなかった。悔しい!蜘蛛め!
12:26
蜘蛛にびびって走ったらイヤホンを落として紛失しました、というのは情けないなあ、と思いながら先に進む。
ここからは車道歩きなので、もう大丈夫。
道中、キャンプ場があった。「パーク・ジョイナス」というらしい。
まるでマンションの名前のようだ。
ところで、なんでマンション名ってやたらと「パーク」を使いたがるんだろうね。パークホームズ(三井)、パークハウス(三菱)、パークスクエア(住友)。財閥系マンションデベロッパー大手がこぞって「パーク」を使うものだから、なにがなんだかよくわからん。日本人は「パーク」という言葉が好きなのだろうか?
ちなみに僕が昔住んでいた家は「メゾン」とか「キャッスル」とか名前が付いていた。賃貸アパートに関していえば、大げさなネーミングがやたらと多い。
キャンプ場の片鱗が見える。
「こんな山奥でキャンプをやるの・・・?」と思うが、それは徒歩でここまでやってきた人間の感想だ。車を持っていれば、高崎市街からビューンとあっという間だ。実際、Googleマップの口コミを見ると「近くて便利」というコメントが多い。
バンガローが見える。
ここのキャンプ場は、敷地入口付近に駐車場があるようだ。
オートキャンプ場ではないので、車をテントサイトに横付けできない。結構駐車場から歩きそうだ。
12:31
キャンプ場を見送り、そのまま先に進む。
(つづく)
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