
12:51
明神から徳沢まで、梓川左岸ルートを歩く。
この写真はいま来た道を振り返ったところなのだが、「地震による落石等」に注意を促している看板がでている。
梓川沿いの道は、槍ヶ岳や涸沢に向かう大動脈とも言えるルートだが、頻繁にあっちこっちで問題が起きている。大雨の後は川沿いの道が鉄砲水のため削られえぐられ、地震が起きると落石で道が塞がる。
少子化で国力が低下してくると、こういう道でさえも維持が難しくなってくる。いや、「こういう道から優先的に」維持が難しくなるのかもしれない。だって、登山道なんて娯楽だから。それよりも、生活に必要な道路や橋の維持にコストをかけてくれ、という意見の方が地元の方からは強く出るだろう。
そう思うと、本当に「山は登れるうちに登っておいたほうがいい。僻地の観光は早いうちに行っておいたほうがいい」。都会の娯楽なんて、後回しで十分だ。

上高地から徳沢までは、標高差でいえば50メートル程度しかない。
それでも、上高地はまだ葉っぱがついていた木々も、この界隈だとすっかり冬の装いになっていた。

静かな森歩き。
木の影が長く伸びているところも、「ああ、冬だな」と思わせる。

それでも、ハッと目を見張るような美しい黄色い葉っぱの木がそびえていて、僕らを驚かせる。
これはなんの木だろう?と思ったが、カラマツだった。バスターミナルあたりにあるのと一緒だが、こちらの方が堂々としている。バスターミナル近辺のは、きっちり並んでお行儀が良い。

対岸にも、黄色く染まるカラマツ。
手前の河原に生えているのはケショウヤナギだろうか?

以前はなかった看板。
「野生のクマが生息している地域です。人がいることをクマに知らせるため、鐘を鳴らしてお進みください。」
そして、鐘が用意されていた。結構大きな音で「カーン」と鳴る。
そうだった、落石、崩落だけでなく、クマという強敵も登山客に立ち向かってくるのだった。どんどん山に登りにくくなってきた。

この光景が見えてきたら、そろそろ徳沢。

13:40
ヒュウ、徳沢に到着。
芝が生えているキャンプ場には、テントが思い思いに張られていた。
このキャンプ場は、利用の受付は徳沢園で行う。しかし徳沢園のお風呂を外来利用として使うことはできないので、近くにある徳沢ロッヂのお風呂を使わせてもらうことになる。
しかしいまはコロナのご時世ということで、徳沢ロッヂのお風呂を外来では利用できなくなっていた。いろいろ世知辛い。

徳沢園の中にある飲食店、「みちくさカフェ」。
飲み物が保管されている冷蔵庫を見ると、ここも飲み物の在庫が随分と減っていた。もう補充はせず、シーズンオフに向けて売り切れじまいにするのだろう。
瓶ビールやワインがならぶ中、エナジードリンクのZone(500ml)がどーんと置いてあるのが目立つ。しかもノンカロリーのシュガーオフ版というのが渋い。

ツアー客が明神で岩魚を食べるように、僕らも徳沢に来たら「何か食べて帰らないわけにはいかない」という気持ちになる。

ちょうどお昼だし、ご飯をここで食べていく。
とはいっても、値段がかなり高いので商品選びに躊躇してしまう。
昨年、徳沢キャンプ場で一泊しているので、ここの飲食物物価は十分に知っているのだけど・・・それでも、「さて、どうしようかな」と悩む。なにせ、うどんが700円からだ。カレーは950円、ピザは1,400円。

頼んだのはカレー。
「ここまで来て、うどんという気分でもないよなぁ」とか考えていると、おのずと選択肢が狭くなる。

ピザも。
値段は高いが、カレーもピザも美味しい。その点はありがたい。山なので、「高いけど味は微妙」というものがでてきても文句は言えないから。

徳沢キャンプ場の開放的な空間を眺めながらの、テラスでの食事。
来年またここを訪れる機会があったら、テケテケと歩く弊息子タケを遊ばせたいものだ。いや、やめたほうがいいか?人様のテントのガイドロープに躓いて、テントを歪ませてしまったら申し訳ない。我が子が少々怪我をするのはしょうがないとして、人様に迷惑をかけるのは良くないことだ。
(つづく)
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